見出し画像

第13話・1934年 『室内国際ルールの制定』

スポーツイベント・ハンドボール2022年8月号(7月20日発行号)で特集の通り、日本のハンドボールは7月24日、「伝来100年」を迎え、新たな発展に向け力強く踏み出しました。
積み重ねられた100年はつねに激しく揺れ続け、厳しい局面にも見舞われましたが、愛好者のいつに変わらぬ情熱で乗り切り、多くの人に親しまれるスポーツとしてこの日を迎えています。
ここでは、記念すべき日からWeb版特別企画で「1話1年」による日本のハンドボールのその刻々の姿を連続100日間お伝えします。
テーマは直面した動きの背景を中心とし、すでに語り継がれている大会の足跡やチームの栄光ストーリーの話題は少なく限られます。あらかじめご了承ください。取材と執筆は本誌編集部。随所で編集部OB、OG、常連寄稿者の協力を得る予定です。
(文中敬称略。国名、機関・組織名、チーム名、会場名などは当時)

バックナンバーはこちらから→マガジン「ハンドボール伝来100年」

国際アマチュアハンドボール連盟(IAHF)は8月30日、ストックホルム(スウェーデン)での第3回総会で「室内(7人制)ルール」を公式に制定した。

「屋外(11人制)」の国際ルールはドイツ関係者が主体となってまとめ、それまでの「ドイツ・ルール」(1920年制定)がほぼ全面採用された。1927年8月11日版と言われていたが、第7話(1928年)で紹介したように、IAHFはドイツ語、フランス語、英語に翻訳し発行、その年月を採って1928年12月版とも呼ばれるようになった。

この時点で「室内」は各国で親しまれていたが、国際ルール制定との“時間差”でハンドボールと言えばドイツ、オーストリア、スイス、チェコスロバキア(当時)などの「屋外」=フィールドスポーツを指すことになる。

夏・秋の短い北ヨーロッパの国は古くから「屋外」よりも「室内」が本流で、歴史を誇った。国際ハンドボール界では「元祖論争」が長く交わされたが、1990年、デンマークに落ちつく。

「室内」の国際ルールは「屋外」以上にコートサイズや競技時間が各国まちまちで完全に統一されるまでには、さらに時間がかかる。

1934年8月版は「40m×20mが理想」とし、ゴールは「ホッケーのゴール(高さ2m、幅3.6m)と同じ」の注釈つきだ。競技時間も競技会は10分×2、単発の対抗戦(1カードのみのイベント)は25分×2、女子および14歳以下の少年は7分×2あるいは15分×2と各国のルールを引用し、ケースによって対応の印象が濃い。競技(プレー)面でも同様のニュアンスが各所にある。

日本では体育研究所によってすぐに翻訳され、1935年2月には同研究所内の体育研究協会機関誌に全文が掲載された。

敏感な教師が授業で屋外のゴールに工夫を加えながら7人制として試していれば話題となっただろうが、関心は示されぬまま時が過ぎていく。

「室内」で初の公式国際試合(男子)は、1935年3月8日コペンハーゲン(デンマーク)でのデンマーク-スウェーデン戦(18-12でスウェーデン)である。

第14回は8月6日公開です。

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートはよりよい記事を作っていくために使わせていただきます。