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試合に出るまでのプロセスで求められるインテグリティ【実践!スポーツビジネス道場#24】

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ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


酒井)みなさんこんにちは、TOKYO.CITY.FCの酒井翼です。
普段仕事の中で気になっていることとか、考えてる事をお伺いしているのがこのポッドキャストなんですが、今回は普段のニュースの中で気になったことを荒木さんにもご意見や考えてることをお伺いできればなと思っております。
今回お伺いしたいのが、今サッカー界の中で話題になっていることとしてネガティブな話なんですが、最近インテグリティ、いわゆるピッチ外のところでいろんな問題が起きて選手が解雇されたりとかチームが社会から批判を受けたりとか、そういうことがすごく多くあるのかなと思っています。例えばアルビレックス新潟の選手が飲酒運転してしまったり、べガルダ仙台の選手が家族にDVしてしまったりとか。内容に関してはスポーツ選手って子供たちとかいろんな人たちに夢を与える存在だからこそ批判は言うまでもなく避けられない事なのかなと思っているんですが、このニュースを見ていて、僕らもサッカーチームとして全く他人事ではないなというのが、特にこのごろすごく感じています。
その中で僕らもシーズン開幕前にSNSの使い方はこう気を付けてほしいとか、チームとして見られる行動に対しては気を付けてほしいとかの話しはもちろんするのですが、こういった事に備えて普段からチームとして準備するのが良いのか、なかなか答えが出なかったり難しい話かなと思いますが、もし荒木さんの中にお考えがあればお伺いできればと思っています。

荒木)そうですね~。サッカーはあんまりそういうイメージ無くて、野球は過去いろんなことありましたけど、サッカーは優等生のイメージがあったけどここにきて色々出てるよね。こういうのって難しくて、答えはないし、こうすれば問題が起きないという唯一無二の方法論ていうのは無いわけだけど、これはあくまで私見というか考え方ですけど、ヒントになるかどうかわからないけど、私昔は日本IBMって会社にいたんだけど、その中の行動指針の中に「完全性の追求」ってい言葉があって、これはインテグリティ。完全性の追求ってどんな事かというと、当然IBMはシステムを作っている会社なので、出来上がったアウトプットの商品があるでしょ?出来上がった商品のインテグリティはどこにあるかというと、出来上がる前にあるわけ。見た目の商品は目の前にあるけど、インテグリティはどこに求めるかというと、世の中に出るまでのすべてのプロセスがインテグリティ。つまり準備がインテグリティで、商品がクオリティなんですよ。

酒井)はい

荒木)飲食で言ってもトレイサビリティって最近言うけど、この食がどういう風に育てられて、どこ産でどう流通されて、そうやってきているとかのトレイサビリティとか、最近だとオリンピックもワールドカップも一つ一つのMDにもトレイサビリティって言っているけど。何ならここの記念Tシャツ はどこ産でその工場はどんな工場でそこで働いている従業員に変な負荷をかけていないとか人種差別していないかとかすべてトレイサビリティで見ながら、これ正にインテグリティなんですよね。そこで安全性、クオリティを担保してっていう話はスポーツに限らずすべての産業でそういうことになっている。
今回の問題もそうだけど、スポーツ選手の価値みたいなところで、よく「する・見る・支える」っていうけど、「支える」ってスポーツの価値ってゲームと思いきや、「する・見る・支える」の「支える」がピンとこないよね、応援するならわかるけど。「支える」てなんだと考えるとスポーツ選手の特徴問うのは、我々が普段使っている消費財とかサービスとかってその瞬間瞬間のタッチポイント、手に触れて使う瞬間がサービスで、その価値を買っている。色々使っているけど、その製造ラインの事とか働いている人の事って考えないじゃない?

酒井)そうですね

荒木)でもスポーツの場合って選手が商品なわけですよ。その選手が商品であり、選手が作り出すゲームが商品。そうするとアスリートの特徴っていうのはそこの試合のフィールドに足を踏んでからが商品ではなくて、その選手がどういう思いで、どういう努力でこの日を迎えているかを含めた応援、サポートなんですよね。それが「する・見る・支える」の「支える」の部分だと持っているんですよ。
ましてやプロ選手は自己責任でそのプレーでお金をもらっているという感覚が強いかもしれないけれど、まさにオリンピック選手とかそれ以外のプロじゃない選手の中でお金をもらっている人は、ゲームそのものでお金をもらっているわけではない。彼らの生き様とか頑張っている姿に、我々は勇気づけられたり、そういう努力をする事によってこの晴れ舞台で活躍できるというすべてのストーリーを買っているわけ。なので普通のサラリーマンとかプロの選手とはちょっと違う、彼らの行動一つ一つのプロセスに商品価値がある。なおかつ特にスポーツでオリンピック絡むと公的な資金も使われている。練習とか努力をしている最中に金銭的な対価は商品として生まれていないけれど、お金が選手にちゃんと払われているという前提に立った時に、何に払われているかというと、すべての本番に至るまでに当たる時間のプロセスを選手は商品として提供しているという事なんですよね。なので普通の人とは違うだからそこに対する試合外の行動に関しても普通の人たち以上にその時点でスポンサーやファンが付いているんですと、そこに対する責任を果たす責務がアスリートにはあるんですという事だと思う。なのでそれを裏切る行為っていう事になるからそれはやっぱり、やったらいけない。こんな事言うと芸能界に怒られるかもしれないけど、芸能界はプロセスうんぬんより、ステージに乗ったところから商品という気がしていて、その芸とか歌とかそういうもので商品価値が計られてファンが付いて、お金をたくさんもらっている・かっこいい・僕らができない遊びもできる芸能人たちがいるから、それはそれで違った意味の夢を与えてくれているというか、自分にはできない特別な世界、芸能界というところにいる人の楽しませ方みたいな。だから悪い事やっても良いって事じゃないけど、自分の責任でできると思うんですよね。芸能人って国からお金もらってるとかではないので。

酒井)そうですね

荒木)だけど、プロサッカーですら公的施設を使ったりとか行政が絡んだり地域住民と一緒にとか地域の資源資産になっている事を鑑みると、彼らはやっぱり普通の人以上に日ごろの行動に責任をもって、それ自体が何らかのカタチで賃金が入っているのでプロセス自体が消費なんだという事を常にクラブ側としては教えてあげる、教育してあげる事がすごく重要なのではと思うよね。
なのでややもするとスポーツ選手だから結果出してなんぼという言う人もいるかもしれないけど、ファンはそこだけを見ているわけではなくて、この人が結果を出したのはなぜならこうだからという、フィールドにいないか時からのストーリーで応援している。フィールドに立っていないときに悪い事をしていたらファンに対する裏切り行為なんだと思うよね。子供のころからスポーツマンシップみたいな教育の中の一環なのかもしれないけど、なかなか子供にはわからないと思うので、いわゆるプロアスリートを目指しているようなアスリートは当たり前のように自覚して、インテグリティは試合場だけのフェアプレーではなく、日ごろの行動から晒されているんだというとを、理解するということは、いわゆるクラブの教育責任とかになるんじゃないかな、と思うよね。答えはないよ!

酒井)そうですね、プロセス自体が商品というのは他とは全く違う考え方だなと思いますね。


≪第24話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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