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優勝するかわからないのに「優勝グッズ」はなぜ作れるのか【実践!スポーツビジネス道場#23】

←第22話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


酒井)ちなみに荒木さん、ちょっと質問なんですが、今ホットマーケットで優勝に合わせてグッズを作るという話があったかと思いますが、万が一優勝が決まる試合で優勝が決まらなかった場合、すぐ販売するためにはもう作っていなくてはいけないと思うんですが、作ってしまっていた場合、ファナティクスやマジェスティックはどういう対応をするんですか?

荒木)ファナティクスとかマジェスティックみたいにスペシフィックな、特定な例じゃなくて、一般的に考えると優勝グッズでいうと賭けで突っ込むしかないんですよ。なぜかというと優勝みたいなところって一番デカいのはその場で買って帰りたいみたいな気持ち。優勝の瞬間に選手がTシャツとか着たりするので。それと同じ商品が売っているかどうかで売れ行きが全く違う。
でもそれの専門の業者だと考えて。そればっかやっている業者はそこで0勝1敗では終わらないんですよ。他のいろんなスポーツも含めてそのマーケット全体で見たときに年間どうだったかを考えると勝率もそこそこで勝ちゲームができてくる。なぜならそこに負けないゲームを仕掛けている。例えば記録のかかったゲームとか。

酒井)はいはい!

荒木)実際どれだけ売れるかわからないし、野球で言えば何百勝とか、サッカーで言うと通算何百得点とか。この話ってどれだけ売れるか分かんないから100個かもしれないし1万個かもしれないし。そこで例えば1万個作っちゃったけど実際蓋開けたら100個しか売れませんでした~ってなったら大負けしちゃうじゃない?でも優勝グッズってある程度読めるのよ。それ以外のホットマーケットがなかなか読みづらい時にどういう手法が考えられるかというと、ネットなんですね。
さっき言ったお財布の緩い時にポチっとさせるという事をやる。そうすると2つやり方があって、1つは突っ込んでやりたい時は限定500個とか、優勝限定グッズシリアルナンバー付き限定100個とかやるとこれは瞬殺される手法。あるいは何百勝記念で受注販売やると、要は申し込まれた分だけ作ればいいから在庫リスク0なんですよね。グッズMD系の商売って、当然在庫リスクが価格コンポーネントの中に入っていて、トータル合わせての在庫リスク含めてのコンポーネントを作っていかないとだめなワケだけど、ホットマーケットってうまくすると在庫0なんですよ。極論言うと。

酒井)そっか。例えば、今思いついた話ですが、それを全部ネットで買えるという風にしてしまって、限定何百個にするもしくは事前申し込み制にするとすれば…!

荒木)そこに大事なのはデザインね。ボディとデザインで今はどうにでもなるのでTシャツの上にこういうデザインでバーンと記録が達成できた瞬間に今から限定何個で販売!ってやれば買いたくなるじゃないですか、気持ち的に。

酒井)そうですね。

荒木)それが100個売れようが、500個売れようが、1000個売れようが、1万個売れようが、受注の後に、もちろん価格はロットによって違うからある程度想定をして値付けをしなくてはいけないけど、基本的にはほとんどリスクなく、ゼロリスクで商売が成り立つ。その上に優勝かかっていて在庫で一発勝負かけるようなホットマーケットも含めて考えれば、トータルでそんなに大きなインパクトはなくなるよねというね。これは一社じゃできないんですよ。さっき言ったように、そういうのを積み重ねているベンダーだからこそできる芸当。そういう強いところができてくればその世界で独り勝ちになる。それってその業者にもいいし、結果的には球団とかリーグにとってもファンに対するいわゆるロイヤリティ、ブランディングを高めるツールになる。そこにユニフォームも絡めればば、まさかのさっきの例で言うとナイキのマークがついたものがバカ売れするみたいな。そうするとナイキにも悪い話ではない。もちろんスポンサーが付いていればスポンサーロゴも付いているみたいな。本当にいろんな意味でメリットがあっていいよねという話。

酒井)なるほど、ありがとうございます。
僕今純粋に気になったんですが、荒木さんも千葉ロッテマリーンズ時代、優勝も経験されているかと思いますが、そのタイミングの時はどんな事を、特にグッズの部分では工夫されたんですか?

荒木)当時は私もスポーツビジネス素人一年目だったので「いけー!」とか。「ちょっと怖いからやめとこうぜ」とかそんな感じ。(笑)

酒井)ははは(笑)!荒木さんもそんな感じだったんですね…!

荒木)「いっちゃえー!」って。だってわかんないですよ、ホットマーケットなんて知らなかったし。一か八かで作っちゃって。でも良かったです。すべて交流戦も優勝だし、パリーグも優勝、日本一だしアジア一だし。全部優勝したので無駄は出なかったですが(笑)

酒井)良かったです(笑)

荒木)はは、結果論ってやつね!

酒井)ふふふ、ありがとうございます。


≪第23話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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