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バランスを、整える。


最近化粧をしはじめたら同僚から褒められ、「なにか心境の変化でも?」と問われた。いや、別に心境はいつも通り変わらずなのだが、だんだんわかるようになってきたのだ。自分の顔になにが足りないのか。

これはリモートワークの副産物。Web会議が続くと、どうしても自分の顔面とも向き合う時間が増える(だってねえ、自分の顔も映さないといけないし、それが自分にも見えるじゃないですか)。すると、「あぁ、私ってこんな顔だったのか」、「だったらここにもうちょっと要素を足せば、バランス取れるようになりそう」、「あ〜、昔読んだメイクのハウトゥーはこういうことを言っていたのかも」などと発見が増えていく。そして実践してみると「なるほどちょっと違って見えるな」と実感が積み重なってきたのだった。

きっと女の子の大半は中高生のうちから自分の顔と向き合って、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返すのだろう。けれど、思春期の私は家の内外を問わずルッキズムにさらされまくっており、自分の見た目と向き合うのが本当に苦痛だった。鏡はなるべく避けて通りたい代物で、朝の洗顔の時間がきらいだった。

そりゃあ私だって化粧に興味はあった。でも、コンプレックスから生じる過剰な自意識のせいで他人の視線が気になり、「なにがんばっちゃってんの」と思われるのがこわくて、なかなか踏ん切りがつかなかった。大学生になると周りも「化粧することがふつう」になってきたので、それに乗じてしていた時期もあった。でもやっぱり、自分の顔をじっくり見るのがいやで、さっさと済ませていた。

あと、不器用すぎて細かい作業ができない(まつ毛の隙間を埋めましょうとか、グラデーションをつくりましょうとか、なに?)、世の中の大半の化粧術はふたえのきれいな子にしか適用されない(奥二重のアイシャドウとかなんの意味もなさん)などの障壁もあった。

それでも私なりにがんばっていたのである。が、社会人になってから同期から言われた「スミスって化粧しとらんよな、もっとやればいいのに」のひと言で、「一応朝起きて10分くらいかけて化粧しとるのに、やってないと思われるんやったらもうやらんでええやん。その分寝たいわ」と思ってしまったのだ。そこからほとんどをやめた。日焼け止めを塗って、眉毛を書く、以上。それだけ。

そんな私の姿を見て、周りがどう思っていたかは知らない。いや、そもそも化粧をしていること自体気づかれていなかったのだから、「ずっと化粧をしていない人」としか思われていなかったのかも。でも、この度の気づきによって足りないものを少しずつ補いはじめたら、他人から褒められるところまではきた。長かった。28歳だよ私。

メイクで特別きれいになるとか、別人になるとか、そういうのは技術的にも自分の時間的・気持ち的余裕からも難しい。でも、なんとな〜くバランスを整えるくらいのことはできるようになった。ていうかそれでよかったんだよな。コンプレックスをまるっきり隠すフルメイクじゃなくて、部分的に足して、埋める。それだけでよかったんだ。

だから、化粧をすると言っても、アイライナーとアイブロウ、マスカラとリップしか必要ない。いまもファンデーションは塗っていない。でも、それで良いということもわかった。キラキラかわいいアイテムやメイク道具にも心躍るけれど、私にとっては見ているだけで十分みたいだ。衝動的に買いたくなることもあるけどね。

色が白すぎてもはや青く見える肌質(どブルベ夏!)で、しかも面長なので、本当は色を足して余白を埋めるチークはほしいのだけれど、頬を塗るとどうしても幼くなってしまうのが悩み。かっこいいチークをご存知の方は、ぜひお知らせください。


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