アイデンティティー:辛く苦しい出来事に意味を作り出す
今回ご紹介するTEDTalkは、「ゲイっぽい」「周りと違う」という理由で子どもの頃にいじめられるという辛い経験をした作家のAndrew Solomonが"How the worst moments in our lives make us who we are" (人生の中で最悪な出来事か自分らしさを作る方法)というタイトルのスピーチをしたものです。
結論から言うと、noteのタイトルにもあるように「辛く苦しい出来事に意味を作り出す」ことで過去のネガティブな出来事を自分のアイデンティティとして強みに変えることができる、というのが今回の話のあらすじです。
多くの人が、辛いことにも意味がありそこに何か素晴らしい真理が隠されているから「意味を見つける」のだと考えているのではないでしょうか?「意味を見つける」のではなく「意味を作り出す」という表現の方が合っているとAndrewは言います。
ゲイであることが理由で、逃避と忍耐の連続の子供時代を送ったAndrew Solomon。
-自分以外のクラスメイトがボビーの誕生日会に呼ばれて、何かの間違いだと思い理由を聞くと「好きじゃないから招待しなかった」と言われた
-スクールバスではバスに乗っている生徒たちから行き45分帰り45分の間中、「ゲイっぽい」と言う理由でからかわれ続けた
-女の子といればからかわれ、男の子といれば女の子といるべきだとからかわれるため、高校を卒業するまで一度も学食に行けなかった
-思春期には、ストレートに戻すためのセラピーに通った
ゲイであるAndrewにとってこれらの経験は自分を否定される苦痛な時間でしかないことは容易に想像がつきますよね。しかし、それらの辛く苦しかった経験は意味を作り出す第一歩だったと後になって分かったそうです。意味を作り出したあと、その意味を取り入れた新たなアイデンティがきるのです。
トラウマを受け入れ新たな自分の一部にする
人生の最悪な経験を自分の勝利の物語に織り込む
辛かった経験があるから今のより良い自分がいるのだと考える
「喜びがなくても自分らしくいられるが、意味の探究に向かわせるような辛く苦しい出来事がなければ自分らしさは生まれない。もし自分がゲイでなかったらもっと楽に生きることができたと思うが、それは私ではない。楽になるために自分らしさを消して他人になるよりも、自分らしく生きる方がいい。」と言います。
Andrewはパートナーと結婚し養子を迎え入れたことで新しいアイデンティティが生まれたそうです。ゲイであるという理由で困難の中にいたAndrewがその中でようやく見つけ出した幸せがパートナーとの出会い、そして子どもを育てることであり、困難な中で自らの幸福の種を見つけ出したからこそ、その幸せはストレートであった場合と比べ物にならないのではないかと考えます。いじめの経験に意味を作り出したことでよりいい父親になれたから、過去の辛い経験も今では自らのアイデンティティを作った出来事として受け止めることができています。
"Ladies and gentlemen! May I have your attention, please? I'm glad it's daddy's birthday. I'm glad we all get cake. And Daddy, if you were little, I'd be your friend."
自身の50歳の誕生日会に、4歳の子どもが一人前にスピーチをしてくれたそうです。「お父さんの誕生日にみんなでケーキを食べることができて幸せです。お父さん、もしお父さんがもっと小さかったら、僕と友達になってたと思う!」
この言葉を聞くために自分は生きていたのだと幸せを噛み締め、自分をいじめてきた人にさえ借りがあるとさえ思ったそうです。
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被害者ぶって(実際に被害者だとしても)悲劇の物語の主人公を演じてしまうことはよくありますよね。しかし、人生の最悪な経験を自分の『勝利の物語』に織り込むには、トラウマを受け入れ新たな自分の一部にする過程を経る必要があります。辛かった経験があるから今のより良い自分がいるのだと考える。
変えられない過去の事実や経験を嘆くのではなく、解釈を変える。そのためには悲観し続けるのではなく何らかの行動を起こして自己実現することで過去の事実を正当化できるのだと思いました。
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