堀江貴文著『東京改造計画』言葉拾い
またしてもインパクトのある本の名前が...そしてタイミングもすごい。コロナ禍で世間がぐらぐらしていて、都知事選挙も見えてくる。そんなところを突いてこんな強烈な本を書くのは、編集者含めさすがと思う。
悪平等意識
みんなに平等に機会均等を保証する考え方のこと。著者はこれを凄く嫌う。お金持ちには高い出資とハイリターンを用意することで機会を得やすい権利を与え、その出資を"庶民"に還元することで並の出資でワンランク上のサービスが受けられるようになる。
演目のS席A席、飛行機のビジネスシートエコノミーシート、そのようなランク付けを更に高めることで、ビジネスとしてのサービスは大成していくはずだ。僕は納得できる。
でも「悪平等意識を捨てること」に否定的な人もいるのかなあ。
3%の確率で不正が起きるのなら、切符代を3%高くすればいい
ここ上手く腑に落とせない。不正は電車のキセルのことだけど、まず自動改札がキセル防止に繋がる理屈が分からない。続いてキセルを容認することでその損失を切符代でカバーする思想だとキセル乗車は加速するように感じる。
江戸城再建
個人的にはこれは興味ないかな...。僕含め多くの国民には新たな偶像崇拝は根付かないと思う。建造物が国民の心の支えになり、大震災や台風や感染症から立ち直る勇気を与えてくれる、なんてことにはならないと思う。
とはいえ同名のマンガを読んでから言ったほうが良いかもですね。
ピルの使用を公費で助成し、生理や避妊に関する悩みを軽減できれば、女性が手がける仕事の生産性はグンとあがるはず
提言の14文字だけで炎上した件はさておき、PMSはどうにかして解消すべき難題だと思う。症状に大きな個人差がある上に、PMSが軽い人と多くの男性に体験がないことがあって解消する必要性の訴求すら難しい。ピルで症状を軽減できるとしても、副作用は考えられる。そして性に関する投薬に否定的な人もいる。これらも話を進めるのに難しい要因かも。
公的支援としては生理休暇があるはずだが浸透率は低い。まずは多くの人にPMSの理解が行き届くこと、そして生理休暇の使用が浸透することが必要。著者は更に公的支援のメニューに低用量ピルの公費助成を追加し、その使用が浸透することも目指したいと提言。納得できる。
アンタッチャブルな領域であることは重々承知だけど、そういう問題に触れていかなければ理解・制度の浸透などまだまだ先になる。でもリアルの場で話題を振ることはさすがに難しい......。ひとつには女性からの発信があると思うが、男性からは何もできないものなのか。
僕らはもう暇なのだ。そしてこの流れは加速する。しかし、これはポジティブなことだ。
企業内で働かない「妖精さん」「サボリーマン」を否定しない考え方。これをポジティブに捉えられる社会はまだまだ先だろうなあ。
多くの問題は「孤立」から来る
知識は他人から得るのが一番手っ取り早い。その他人が信頼できる人であればなおさら。仕事にせよ趣味にせよ、広いコミュニティを持って知識を入手するよう動くことが大切だ。著者は孤立することで言葉の交換が発生せず、認知症が進むケースもあると指摘。
★全体を通して★
著者らしいきっぱりさっぱりとした物言いに相変わらず溢れている。相変わらず時代が追い付かない世界を見据えてはるし。読破が骨になるほど難解ではないし、文字数も多くないし、オススメできる。何より都民は自分ごととして捉えて考えてみると面白い。
僕は都民ではない。すべてに同意できるかと言うとそうでもない。ただしこの提言通りに進めば面白いやろなあというのが大半である。もしこれらを大阪で進めまっせと言われたら、僕は大いに同意したい。電車のダイナミックプライシングなんかいますぐやって良いと思う。
とはいうものの、いますぐやると言っても反対意見が多いものもあると思う。しかし特に長い目で見たときに考えるべきは第五章「未来の生き方」で述べられている内容である。60歳で労働をリタイアしたあと100歳まで生きる、となったときに40年間何をするのか。というかそもそも60歳まで労働するのか?労働以外にやりたいことはないのか??いまいちど考えなおしてみたほうがいい。
同志を探すツールとしてのオンラインサロン、何か入ってみようかなあ。