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日本丸元実習生に語りたい

先日、帆船日本丸に実習で乗船した元実習生のブログを見る機会があり、帆船に携わり、仕事としている僕はショックを受けた。
このまま誤解したまま海や船の世界に入ってほしくないなと思いました。
他の船乗りの方の意見も見ましたが、

「実習船で文句があるなら商船でもやっていけない」
「商船はもっと辛い」
「実習船で習うことは現場では役に立たない」

という意見がありました。確かに実習船より商船で働くということは厳しい世界です。
けれどもっと実習生自身が納得して実習に集中できる、自分の実習船での経験が後々役に立つ実習にならないものかと前々から思っていて、
特に帆船での実習は必要か?ということが書かれていたので、帆船の経験がどれだけ有益かを伝えたい。そして一般商船に乗ったら、もう乗ることはできない帆船での経験をもっと大切にしてほしい。そう思いました。

そのブログはこちら


この文はその元実習生に向けて誤解を解きたいと思って書いています。

と言ってもお前誰だよ。って感じなんで、自分の自己紹介をさせてください。
僕は水産高校を卒業して、19歳の時、民間の帆船で乗組員として働いていました。
会社の事業終了に伴い内航タンカー船にトータル7年ほど乗船しました。
海技士免許は働きながら定期で5級から取得し、履歴を付けながら現在は4級実免、3級の筆記までとりました。
海外の帆船を勉強したいと途中3年ほど海外の帆船で働いていましたが、帰国後も内航タンカー船で航海士をしたり、
また帆船で航海士をしていましたが、4年ほど前に独立して帆船や海の体験がもっとたくさんの人にできるようにと会社を設立して、海のイベントや研修事業などを行なっています。
だから日本丸や海王丸に乗船したことはなく、民間の帆船しか働いたことはありません。
知らないなら口出すなと思うかもしれませんが、海外も含めた民間の帆船、商船の経験や水産高校実習船での経験から、言えることだってあると思うし、聞いてほしい。
元実習生さんの言っていることに理解できることもありながら、帆船での実習というものへの意見や、表面的で残念な捉え方と誤解をどうしても解きたいと思っています。そうでなければこれから海に出て仕事をする上で、もっと踏み込んだ考え方というか、納得いかない出来事や自分にふりかかってくる不公平感や理不尽に対して向き合う姿勢、捉え方は決して一つではないという事を知ってほしいなと思っています。

海では理不尽なことは逃げても逃げられないほどまるでバケツをひっくり返したように降りかかってきます。
僕は船酔いがひどい体質なところからまず辛かったです。
人間関係、寝不足、荒天での海での恐怖。

僕も何度もくじけて、船を降りたことも、胃腸炎になり病院送りになったことも、ひどい痔になって緊急で運ばれたこともありました。
何度も枕を殴りながら声を殺してベットで泣きました。泣き言を友人に聞いてもらいました。
自分の不甲斐なさや不注意、経験不足から他の乗組員に迷惑をかけたこともありました。
他人のせいにしたことも、知らないふりをしたことも、大きなことを言って実力がなく恥ずかしい思いもしました。

それでも船での仕事は本当に素晴らしい経験をくれました。
陸上での仕事の割合が増えた今でも、船や海の経験と魅力は僕を支えてくれます。


前置きが長くなりましたが、これから元実習生さんが書いていたブログを引用させてもらいながら、民間での帆船と商船の経験から実習で感じた理不尽や不公平に対して、誤解や、是非知って欲しいこと、僕からの捉え方を書いていきたいと思います。


・集合時間に遅れたら全員の前で謝罪

〜引用〜
実習なので当然全員が集合する時間というのがあります。
その時間は明確に決められていて、時間になるとアラームが鳴るんです。
 しかし、どうしても遅刻してくる人はいます。乗船実習では、遅刻をしたらその人はみんなの前に行って帽子をとり、班名と名前を言って謝罪をしなければなりません。
 このとき、声が小さいと怒られます。船には数百人乗っていますからこれは精神的にきついです。
 遅れてきて怒られるのは当然ですが、これだと見せしめみたいだなと思います。謝るだけなんだからいいし、みたいな人もいますが私は絶対に嫌です。
もっとエスカレートすると、遅れて来た人は15分前集合、次はその部屋の人も、その班の人も…、という風にどんどん罰が増えていきます。
私のときも班の男子が何回も遅刻して、連帯責任で私たちまで15分前集合になったことがありました。
 でも、同じ部屋の男子が集合時に声かけをしなかったから連帯責任というのならまだわかりますが、我々女子も同じ罰というのは納得できなかったです。
 そもそも女子は決まりで男子の部屋には入れません。だから、集まらないからって女子にできることはないんです。それなのに、遅刻の人と同じ班だというだけで何も対策のできようのない私たちまで罰が与えられる…。
 正直、私たち女子には彼が遅刻するのを回避しようもないし、班だってたまたま一緒だっただけで自分たちは何もしていないのに、私たちも罰のような扱いをされて意味がわかりませんでした。
とはいえ一等航海士の教官に逆らえるはずもなく、これも、単なる見せしめなんだなって思いました。
まあ、大人になったら理不尽なんて五万とあるのでしょうからこんなことでどうこう言っていられないのかもしれませんね。
〜引用ここまで〜

確かに「見せしめ」的に罰を与えるのは良くないと思います。
しかし、船での時間管理は最重要事項と言えます。ワッチ(当直)に遅れる、ということは誰か別の乗組員の貴重な時間を奪うことにつながります。
ワッチに遅れることは謝ったら許してくれるかもしれません。

時間に遅れるということを時間の管理として捉え、もうちょっと考えを広げて、時間を管理できずにポンプや運転時間を見誤る、出入港時間を誤る、航路イン時間を見誤る、としてみたらどうでしょうか、これは大きなアクシデントに直結するのではないでしょうか。航海士は常に時間を逆算して考えることが必要で、時間の管理をまず第一に考えることは海で仕事をする上ではけして軽く考えられないことです。

「何も対策のできようのない私たちまで罰が与えられる…。」
「班だってたまたま一緒だっただけ」

とありますが、確かに遅刻した人に非はありますよね。しかしこれから一緒に働く乗組員もたまたま一緒になっただけ、の人たちです。
その乗組員を信じてワッチをまかせて航海中眠り、荷役作業を行うわけですよね、出世すれば上司になるかもしれないということは同じ班の時間管理もお互いに対策をしてクリアすべき課題だと思います。

部屋に入れないというのは対策が大変でしょうが、集合時間の前にどこか共通のスペースに事前集合して、そこに遅れるようであれば、他の男子生徒に声をかけてもらえるように頼むとかもできるのではないでしょうか。


・居室が8人部屋
 〜以下引用〜

これは、船側には何も非はないのですが、実習で私が特につらかったことです。

船の中はスペースが少ないので居室はたいてい4〜8人部屋です。
しかも部屋はみんなが床に立つともう動けなくなるくらいの狭いスペースなんです。だから不自由なことこの上ありません。もちろん士官たちは一人部屋です。
私たち高専生が実習するときは、最低でも17歳です。そんな年齢で8人部屋、それも、修学旅行とかであればまだしも、数カ月という長い期間だなんてなかなかないですよね。でも、高校生の年齢ならまだいいんです(よくないけど)
 私たちは6年生になれば21歳なんです。
こんな年になってまで、あんな激せまの、8人部屋とかで半年過ごす人なんていますか?!練習船の中か、監獄くらいのものでしょう。
まあもちろん、私だって船の性能とか勉強していますから、こういう不自由はわかっています。でも問題の理不尽はそこじゃないんです!
相部屋なら少なからず周りの人に気を遣わなくてはなりませんが、なかなかにいろんな人がいます。
人が寝ていても気を遣わず騒ぐ人や部屋で音楽をかける人、物を散らかす人、公共スペースの使用マナーが守れない人などがいます。そういう状態であっても大人数で一緒の部屋だということ、環境が精神的にきついですよね。
 一応気づいたことは傷つけないようにに言うようにしてますが、すごく我慢しなければならないこともあるんです。個室なら散らかそうが騒ごうが勝手にやってくれって感じですが、相部屋でこうだとすごくストレスがたまるんです。
 音楽とか、自分の全く興味ないものを大音量でかけられた日には地獄ですよね?生活のペースとか習慣も違うし…。まだまだありますが、キリがないのでストップします。
 逆に、私だって高い人口密度の中、必ず誰かの邪魔をしているはずです。
 とはいえ、一緒に実習をする仲間だし、大事にしなくてはいけないという面があるのも事実で…。
 船なので相部屋になってしまうのは仕方のないことですが、いろんな人と密接に過ごすのでトラブルに発展しやすい環境でもあります。
〜引用ここまで〜

民間の帆船や、海外の帆船ではほぼ全員が相部屋です。確かにマナーがない人と相部屋なのは厳しいですよね。
確かに一般商船で相部屋はありえないですし、士官ともなれば部屋も広くて快適です。僕の乗船していた帆船では「船内は全て公共のスペースである」という考え方でした。
商船の部屋も自分が下船したら誰かが使いますし自分の部屋という感覚ではないのが普通だと思います。元実習生さんも我慢をたくさんしてきつい思いをしたと思うのですが、トラブルになりやすい環境をいかに整えるかもとても重要な経験だと感じています。

もしこれから船で働く実習生が相部屋での経験がなかったら、「自分の部屋だから好きにしていい」という考え方では長い期間乗船する船の衛生管理、乗組員としての船の公共性「他の人と空間を快適に共有するためにどう行動すべきか」ということがどういうことかわからずに船の世界に入ることになるはずです。


・ 教官の言動がほぼパワハラ
 〜以下引用〜

「やる気がないやつはオレ、帰校届け持ってるからいつでも手続きしてやるよ」とか、「下船できるのは当然じゃなくて船長の許可を得て船から降ろしてもらえるんだからそれをわかってろよ」とか、「お前らにはここもここも欠けてるんだから余計なことはするな」とか、何度言われたか知れません。
 
細かくあげればキリがないですが、とりあえず、安心できるようなことを言われることはまずありません。口を開けば事務連絡か脅迫まがいで、学生に圧力をかけるために言っているとしか思えません。
 
しかも上下関係がはっきりしているので口答えは一切できず、教官の機嫌を損ねれば「文句あるならいつでも船降りていいからね」と言われるだけです。
〜引用ここまで〜

これが本当ならひどいと思います。元実習生さんのブログを読んでショックだったのがこの部分でした。帆船日本丸は世界的にも有名な日本を代表する帆船です。そこの教官は僕ら帆船に関わるものの憧れでもあります。
コミュニケーションがうまくいかなかったということはありながらも、
確かに僕も初めて実習船に乗船した時、船員さんの怖さに度肝を抜かれました。まず水産高校の実習船の船員は先生ではないので、リアル船員のおっさん達でしたので高校生の僕にはそれはそれは迫力がありました。
乗船中に信頼関係もでき、卒業してからは同じ船員として食事に連れて言ってもらったりして先輩としてお世話になりましたが、安心して実習を受けるられるように配慮することはとても大事です。民間の帆船ではわざわざ船乗りになるわけではないのに船乗りの体験をしにお金を払い乗船してくれる人、研修で帆船の航海に参加してくれる人がいます。そこでは乗組員と参加者では経験の違いから不安に感じることや精神的に負担になることが多いのでそのケアをして、プログラムの内容や量を調整します。
安心して航海に集中できる環境づくりは仕事として行うべき職務だと思います。
今回、ぼくが元実習生さんに向けてこの文章を書いていますが、本来であれば日本丸の教官が説明すべきことなんじゃなかなとも書いてて思います。


・私の高専だけ制服のスカートを履けない

民間の帆船でもスカートはお断りしています。高専の制服に詳しくないので、他校についてなんとも言えないのですが、
一校のみ着用が許されないのであれば問題だと思います。
ちなみに僕の卒業した学校は女子の制服はスカート風のキュロット(ズボン)でした。
もしかしたら他校はスカートではないのかもしれない、ということはないでしょうか。

急遽ズボンの購入をしたということなのですが 毎年乗船するのに学校からは説明がないのおもおかしいですね。
制服を購入するときに学校から事前に説明があってしかるべきですね。


・使わない知識を勉強する

〜以下引用〜

まず、私の乗っていた日本丸という船は帆船なのですが、ここからがそもそもおかしいのです。
 
帆船なんて、イマドキ海技教育機構の船にしかありません。帆船というのはエンジンが発明される前、昔に使われていたんです。もう今は、資源を運んだり私たちが就職したりする実際の船は、全て機関で動いています。現代ですからね。
 
それが、私たちは将来汽船にしか乗らないというのに帆船で実習するという意味のわからない状況…。
なんのためにわざわざマイナーもマイナーな種類の船で学ぶのか理解に苦しみます。
もちろん、風と船の動きの関係はいつの時代も重要ですし、帆船での実習も別にマイナスではないと思うんです。
でも、どうせ半年も実習するなら、将来乗るであろう船と同じ環境で実習した方がより役に立つに決まってます!汽船で実習した方が、将来の職場に近い環境で実習ができると思うんですけどね。

なぜ私がここまで汽船にこだわるのかと言うと、自分の将来のためというのもありますが、汽船の方が過ごしやすいからです。
ただでさえ狭く、過ごしにくい船内で半年も暮らすのですから、これは重要な問題です。汽船の方が広さも広いし、揺れも少ないし、マストの整備とかもない…。将来汽船に乗るという動機に加えて、どうせならより快適な方に乗りたいですからね!
使わない設備 
救命艇の振り出しから水面への降下まで、全部ロープを引っ張ったりして作業するんです。
実際に就職したあとはもっと新しい、ちゃんとした自動の救命設備が普通で、そんな大勢で時間をかけながら救命艇を降ろすなんてないそうです。
だからただ時間をかけて大変な思いをしてやるだけで、活かせることはないだろうという、なんとも残念なことです。

しかも、これを大勢でオールで漕いで陸まで行く、という実習があるんです。日本丸はそんなに浅いところに錨泊できませんから、陸まではけっこう漕がなくてはいけません。これも船乗りらしいといえばそうなのですが、将来こんなに漕がなければならない状況があるのかというとちょっと微妙です。
 
普通の救命艇はエンジンで動くものですから、今どき十数人でオールで漕いでこんな疲れる距離を行くことはないと思います。何でこんな、使わなそうなことばかりするのでしょうか…?

 
実際に就職したあとはもっと新しい、ちゃんとした自動の救命設備が普通で、そんな大勢で時間をかけながら救命艇を降ろすなんてないそうです。
だからただ時間をかけて大変な思いをしてやるだけで、活かせることはないだろうという、なんとも残念なことです。
また、陸と船をつなぐ係留索という太いロープがあるのですが、日本丸はそれを巻くのも手動です。もちろんこれも手動とか今どきないそうです!
 
現代では全て、機械で巻き取れば係留できますが日本丸では実習生6人が力を合わせて係留索をぐるぐる巻き取ります。
そもそも普通の商船では一本の係留索にそんなに人員をさけるほど乗組員はいませんし、これも無駄にアナログで、就職したあとは使わないこと必至でしょう。それなのに上官に従ってやらなければならない実習生たち、不憫ですよね。
できれば将来の貿易を担い、日本を支える船乗りの卵たちですので、なるべく実のある内容を凝縮して実習したいものです。
 〜引用ここまで〜

ここは帆船乗りとして是非言わせてもらいたい。帆船での実習は汽船でも必ず役に立ちます!

理由に「汽船が快適だから」と書いてらっしゃいますが、表面的なことを理由として捉えるのは、これから船で働くにあたってとても不利になると思います。楽をしに船に乗るわけではないでしょう。確かに快適なことは大事ですが、イギリスの言葉に、
・A ship in harbor is safe, but that is not what ships are built for.-- William Shedd
・No one would have crossed the ocean if he could have gotten off the ship in the storm.
・Smooth Sea Never Made a Skillful Sailor.

とあるように、悲しいことですがそもそも快適な世界とは程遠い世界を覚悟して船で仕事しなければならないのが船乗り。僕も船酔いがひどいのでとても苦労しましたが、続けるためにはもっと楽な世界があるということでなく、いかに今の状況から経験として学ぶかだと思います。

人力で重たい救助艇を操作することは、滑車やロープの理解につながります。将来クレーン操作の助けになるはずです。救助艇訓練での事故例もあります。機械から覚えると、実感なくボタン操作のみで覚えることになるのではないかと思ってしまいます。

救命艇を漕ぐ実習も、エンジンが壊れたらやはり漕ぐしかないと思うんですよね。長時間漕ぐことでの体力の消耗、もしエンジンがなくても助かるためにひつような体力、海では本当に危機の場合、頼れるのはアナログなことと自分の経験と体力です。経験だけでもしておけることは有効だと思います。

係船ロープのこともおっしゃっていますが、帆船では構造上ウィンドラスをデッキに置くことは向いてないこともありますが、ウィンドラスは非常に危険な装置です。係船ロープには人を簡単に殺してしまうほどに力がかかります。ウィンドラスだけしか経験がなかったらそのロープの恐ろしさ、どれほどの力がかかっているかも理解せずに現場で本番を迎えることにはならないでしょうか。
自分だけならまだしも、他の乗組員を危険にさらす可能性すらあります。

そして、帆船は世界中の海軍の士官候補生の訓練船として現在もエリート教育の一環として重要な役割を果たしています。
実はインドネシア海軍はつい最近「ビス・マチ」という帆船を建造し、海軍の士官育成に力を入れていますし、中国海軍が帆船を注文したというニュースもあります。これは帆船での経験が優秀な士官を育てるということが証明されている結果ではないでしょうか。


・遠洋航海に女性教官がいない
これは辛いですね、民間の帆船では必ず女性の乗組員が乗り込んでいます。女性の教官を乗り込ませるべきだと思います。
教官の足跡の件もひどいと思います。


・裸足で甲板流しをする
〜以下引用〜
何で裸足かって、「昔からやってるから」とかって理由ですよね、どうせ。伝統とかいって何の意味もない、悪しき風習だけが残ったいい例ですね。
少なくとも女子にさせる仕事じゃないと思います。
あ、別に私は自分が女性だからといって実習で女子を優遇するべきだとか、内容を変えるべきだとかは全く思っていません。むしろ自分で選んだ道ですし、女子だって同じ実習内容をして当たり前だと思っています。
私は将来船乗りになったときに役に立つ、航海計画etc.の実習なら好きですよ。
 〜引用ここまで〜

「昔からやっている」ということでははないんです。教官からの説明が不十分だった、もしくは教官自身が理解していないのかもしれません。
海外の帆船でもデッキウォッシュは基本的に毎朝、裸足で行います。これは「裸足で作業しても大丈夫なくらいにきちんとデッキを磨く」ということから来ています。ネジや金属片などは落ちていないか、けがにつながる異常はないか、という確認のためです。
安全靴やブーツで作業しているとつい足元にある危険をおろそかにしてしまうことってありますよね。

確かに伝統的に「汚れたデッキは不幸を呼ぶ」として帆船乗りでもデッキウォッシュは必ず行う側面はありましたが、その日の作業を行う基本として重要な日課でした。

ヤシの実ではなかったですけどね・・・


ここまで長く書いていましたが帆船に携わり、仕事にしているものとして、元実習生さんが納得して実習を受けられなかったことと帆船の経験を必要ないと感じてしまったことはとても残念です。教官たちも何してんだと思いましたし、元実習生さんの他のブログも読ませてもらいましたが、船の仕事に就くことと学校を誇りに思われていることが感じられました。

残念になってしまった帆船での実習ですが、捉え方次第で活きた実習になることをねがっています。実習で感じた自分に降りかかる理不尽に対してもう一歩下がって俯瞰する、この経験はどんなことに役に立つんだろうかと、全体を捉える考え方をして見てほしいなと感じました。

これから実際に仕事で船に乗ると、大変なこともあると思います。
船での仕事は経験が全てです。人間経験していないことは理解できないし想像すら難しいものだと思います。登場人物やシーンは違いますが、同じような場面に出くわした時、実習での経験はきっと役に立つと思います。

元実習生さんに良い風が吹くように願っております。

帆船バカより


あなたのサポートのおかげで僕たちが修理している船のペンキ一缶、刷毛一つ、ロープ一巻きが買えます。ありがとう!!