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今こそ、グローバルに挑戦すべきとき【Spirは何を実現しようとしているのか④】

Spirでは、2022年4月に英語のサービスをβ版としてローンチ。創業当初から目指してきた、ワンプロダクトによるグローバル展開に向け、いよいよ本格的なスタートを切りました。Spirがなぜ、今、国内初のPLGスタートアップとして、グローバルへ挑戦するのか。その背景をCEOの大山晋輔に聞きました。

大山 晋輔 Founder CEO 東京大学経済学部卒業。戦略コンサルティングファームのコーポレイトディレクション(CDI)の東京・上海オフィスでの勤務を経て、2014年に株式会社ユーザベースに入社。ユーザベースではSPEEDA事業の事業開発・プロダクト開発の責任者、営業部門を経て、2017年にNewsPicks USAのCOOに就任し米国事業の立ち上げ責任者として事業戦略策定やプロダクトマネジメント、マーケティング等に従事。2019年に株式会社Spirを設立。

世界で通用するプロダクトをつくる

Spirがどうしてこれほどグローバルにこだわるのか。ひとつには、僕自身がUZABASE、NewsPicks時代にグローバルで思うような結果を出せなかった悔しさを今度こそリベンジしたいという想いがあります。

ほかにも日本からグローバルに挑戦している企業はたくさんありますが、実際にうまくいっているところはまだまだ少ないのが実情です。メルカリやスマートニュースは、米国で一定の成果を上げていますが、実は国内とはほとんど別もののプロダクトになっているように見えます。

グローバルで成功している日本発のプロダクトがほとんどないということは、スマートフォンのアプリを見ると一目瞭然です。そのほとんどが海外系のアプリで、国産アプリはニュース系、交通系、会計系など日本国内だから使えるものに限られます。

これが今の日本の現実です。海外勢に押されたままでは、悔しいじゃないですか。日本からグローバルで勝負できるプロダクトを生み出せると証明したい。だからこそ、Spirでは創業時からグローバルを目指せるワンプロダクトにこだわって開発をしてきたのです。

スーパースターでなくてもチャンスは十分にある

もうひとつ強く持っているのは、グローバルの壁は確かに厚いけれども、国内から想像するほどではないという感覚です。日本らしい強みを生かして、やり方さえ工夫すれば、まだまだ十分チャンスはあるはずです。

日本は、必要以上に「できるわけがない」「グローバルは日本には無理」と最初からあきらめてしまっているところがあります。それは、グローバルを知らないから。スーパースターじゃないとメジャーでは通用しないという思い込みに過ぎません。

そもそもグローバルを考えるときも、「まず国内で成功してから、海外へ」というステップ自体、日本特有なもの。グローバルに展開しているどのスタートアップも、最初からグローバルの土俵で勝負する前提でチャレンジしています。

僕は、日本のスタートアップも、もっと最初からグローバルを視野に入れて挑戦すべきだと思います。SpirがPLGでグローバル展開に成功すれば、ほかのスタートアップのロールモデルになれるはずです。「自分たちも世界で通用するプロダクトを生み出したい」「グローバルで戦うほうが楽しそうだ」。Spirが刺激となって、一緒に世界を目指す仲間が増えてくれたらうれしいですね。

プロダクトの完成度アップを経て、次の戦略「グローバル展開」へ

Spirでは、2022年4月にいよいよ英語のβ版をローンチし、本格的にワンプロダクトでグローバルに挑んでいます。国内向けの正式リリースは2021年5月ですから、グローバル展開には約1年ほどかかりました。

プロダクトを一定のクオリティにするまでは、むやみにグローバル化したところで意味がありません。特に開発当初は、日程調整の主体者となるアクティブユーザーをどう集めるのか、エンゲージユーザーがどう変化していくのかなど、ユーザーの動きに合わせてクリアすべき課題も多くありました。

ここにきて、グローバルにドライブすることを決断したのには、2つの理由があります。ひとつは、約1年間、ユーザーの声をもとにしたアップデートを繰り返し、その結果、アクティブ率が大幅にアップしたこと。ユーザーからも好意的な反応が多く寄せられ、「このレベルなら英語版で勝負できる」と確信できました。

グローバル展開に必要だった2億円の調達

グローバル展開にはプロダクトの成長と同時に、資金調達も考える必要がありました。Spirは創業してから2年以上、自己資金で経営。自分のお金を投資してつくるほうが、面白いことを自由に追求できそうだ、というのが主な理由でした。

しかし、グローバルにチャレンジするなら話は別です。国内に比べると、グローバル展開に必要な資金は桁が違います。資金調達には2021年初頭から動き出しましたが、投資家の方々にPLGという成長モデルの核心部分をご理解いただくことがなかなか難しく、かなり苦労しました。「PLGでグローバル展開」というビジネスモデルを説明しても、前例がないためイメージがつかず、ピンとこないんですね。

加えて、当時はSaaSビジネス全盛ですから、MRR(Monthly Recurring Revenueの略。月次経常収益・月間定期収益)に対するマルチプルで投資価値を評価するというのが一般的でした。どのVCにも、MRRでできるだけ早く売上を立てて、そこから仮説検証すればいいと言われることが多くで、PLGの可能性をきちんとお伝えできない無力感に打ちのめされましたね。

そんなこともあって、逆にPLGモデルを理解してくれるエンジェル投資家に絞って調達すると方針を切り替えることに。そんな中、クロージングの直前に、One Capital代表取締役CEOの浅田慎二さんが投資の申し出をしていただいたのです。

当時のSpirにそれほどの金額を提示してくれるVCはほかにいませんでした。グローバル展開を控えたタイミングを考えると、エンジェル投資家に加えて思い切ってOne Capitalからも調達すべきだと最終的に判断しました。


グローバルで普及する共通点は「業務ツール」であること

2億円の調達ができたのも、日程調整カレンダーツールがグローバルで通用するプロダクトと評価されたからです。

海外展開へのハードルが高いプロダクトやサービスの領域があります。私自身が海外展開にチャレンジしたNewsPicksのようなニュースのサービスはまさにその領域です。ニュースのようにローカル性が高いものはそれぞれの場所にローカライズするというハードルが生じます。

ほかにもメルカリのようなサービスは海外での物流という課題が大きく絡みますよね。Moneyforwardやfreeeのような会計サービスは、国ごとに法律が違うため、単純にグローバル化するのは難しいでしょう。

そう考えていくと、グローバルで普及するプロダクトの共通点は、Salesforce、Slack、Zoom、Notion、Figmaのような「業務ツール」であること。その点、日程調整カレンダーは、グローバルの土俵で戦う条件をしっかりとクリアできています。

現時点で、カレンダーツールとしてグローバルをリードしているのは、米国のCalendlyです。GoogleやZoomなどとの外部連携が特徴で、日本語対応はまだしていませんが、世界では1000万人以上が利用しています。グローバルで勝負するうえで、CalendlyからいかにSpirにスイッチしてもらうかが最初の課題となります。

もちろん、Spirでもリモートワークの普及に合わせて外部カレンダーやオンライン会議ツールと連携を進めています。さらに、日程調整にとどまるCalendlyと違い、Spirの強みはカレンダーのプラットフォームを見据えていること。将来的に日程調整以外の領域でもサービスを展開していくことが、武器になると信じています。

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