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안と못に白黒つける


教科書は何度も読み直してる。
理屈はわかってるつもり。
それなのになぜか使い分けるべき時が来ると間違えてしまう。
なんで???

こんな方がきっとたくさんいるでしょう。

「안」と「못」。
正しいことはテキストにいくらでもありますから、今日は敢えて教科書とは少し異なるアプローチで、ゆるっとした姿勢で書いてみます。ちょっぴりヒントになればな~と。


基本の理解

안 👉「自分の意志で」しない
내일은 안 가요(自分の意志で行かない)

못 👉不可抗力だったり、何か理由があってできないとき、今の自分ではどうしようもない (≒ㄹ 수 없다)
내일은 못 가요(何か理由があって行けない)

悩んでる人には、ここは重要ではないと思うので、これだけにしておきます。


あなたの気持ちが邪魔をする

안と못が難しく感じられる理由は、話者の気持ちがその選択を迷わせるからです。先ほどの안 가요, 못 가요の文の状況設定をもう少し明確にしてみましょう。

내일 동창회가 있지만 저는 안 가요(行きません=行く意志がない)
내일 동창회가 있지만 저는 못 가요
(行けません=行きたいけど何か理由があり行けない)

こう書けば明確なように感じますが…
状況を先に置く=普段韓国語の文を作ろうとする時の「日→韓置き換え」では、少し迷うと思いますよ。

A.土曜日に同窓会があるけど、用事があるから行かない
B.土曜日に同窓会があるけど、用事があるから行けない

これ、実際同窓会を前にした人物からしたら、どちらでも正解なんじゃないのか?と思わせるでしょう。
この時A.は、同窓会よりは用事の方が大事だとハッキリしている、或いは同窓会に特に興味がない。
そしてB.は、行きたいけど…外せない用事だからなぁ…
と感じていませんか。
結果としてはどちらも「同窓会には参加しない」わけですから、行きたいのか?行きたくないのか?という「話者の気持ち」が曖昧な場合は当然안/못の区分も怪しくなってくるわけです。

一緒に行こうよと誘ってきた友人にいわれるかもしれませんね。
「えぇ、行けないの?行かない=(行きたくない)んじゃなくて?」
「用事があって」…なんて、断りを入れる時の常套句ですし。あはは。

もうひとつ例を出します。

A. 저.. 술 안 마셔요.
B. 저.. 술 못 마셔요.

これも、理屈では飲まないか飲めないか、ただそれだけですが…状況さえ変われば、誰でもA,B両方言う機会がありますよ。
A.「今日は車できちゃったので」飲まないですよ。
B.「(すごく飲みたいけど…)今日は車できちゃったので」飲めないなぁ。

起こる事実は一緒ですから。飲まないことと飲めないことに大きな差がなく、結果「どっちみち自分はシラフ」なわけですね。

または、お酒に弱い体質の方で元々一滴も飲まないのなら 안 で言うことが当たり前になっているでしょうが、例えば酒好きの人達に囲まれ、気分で言ってるんじゃなく体質的に無理なんです!飲ませないでほしい!と伝えたい時にはその方もBを言うかもしれませんよね。


人間であるからゆえ

ひとは、自分の能力に対して見栄を貼ったり、または出来ないことを隠したりしたいときがあるかと思います。自然な感情です。
特別ストイックになる必要がないものに対して、ぼんやりと言いたい。못「できない」で言うべきところを안「しない」と言うことも沢山あります。
特に食べ物の好き嫌いを言うときなど。これは、안と못が両方使えますよ。
あなたの気持ちと、見栄ゴコロ(笑)で、決めてくださいね。

実は魚が苦手なんですよ…
👉실은 제가 생선을 잘 안 먹어요..
👉실은 제가 생선을 잘 못 먹어요..

一緒ですね、一緒です。結局魚は食べません。
話者の気持ちの違いで言い分けていますよね…。

その他の注意点


알다 ↔모르다
있다↔없다
이다 ↔아니다

この辺りの単語は注意が必要、ということも覚えておいて下さい。
これらは単語自体に否定の意味が含まれている単語と、その対義語です。

안 알다, 안 있다..絶対に無理…ではないけれど、相当限界を感じます。言葉遊びする時くらいでしょうか?
まずはそれぞれ모르다, 없다で言えるのではないか?の方向に注意を払いましょう。

このくくりの中で言うと、
못は、알아듣다、알아보다などの単語に付けることが出来ますよ。
있다も「あまり長くは居られないけど(すぐに帰るけど)」や「じっとしていられない」などの文で 못 있다 が使えます。
이다は、못がつけられません。分かち書きをせず名詞にくっつけて書きますし、못を入れる余地もありませんね。


それからもうひとつおまけに。
書類にサインが欲しい時。部長を探していますが見当たりませんね…
「ねぇ、部長見なかった?」→ "아..저는 못 봤는데요." 
「見なかった」んですね…「見る+ない」だけど、못を使います。
こういう「日本語の綾」、文脈が隠れやすい言葉にも気を付けましょう。


理屈は理屈でしかない

教科書では明確な違いを表記するために、シンプルで「個人の事情や感情には寄り添わない」文が例文になっていることが基本です。理屈は理屈でしかないのです。そして、韓→日の理解の中で説明されます。文法書というのはこういった意味で、ちょっと片思いの様な雰囲気があるんですね。

だからこそ、自分の感じていることを韓国語の単語選びに反映させる能力を身につけなければいけません。区別に慣れるまでは、しっかりと状況と感情を見据えて、理屈に掛け算する判断ポイントを掴みましょう。

못を選ぶポイントは、自分の思い通りにいかない時です。能力が足りないとか、しがらみ・対人関係の問題があるなどして、自分はこう!と思っていてもうまくいかない時、分かっていてもうまくできないときなど。

안を選ぶポイントは、意志があるかどうか。
自分の意志で「しないぞ!」と決めたなら안です。

そして、自分以外の、誰かのなにかの影響で「できない=못」が決まった後、それを自身が理解して納得、受け入れていれば、안も使えるようになります。沢山ありますけれども例えばこんな場合です。

え~、そんなに買わな〜い。
👉그렇게 많이 안 사요 (買わないと決めた)←ただそれだけを伝えます。
👉그렇게 많이 못 사요 (お金足りない、冷蔵庫に入らない、持って帰るには重すぎる、一人暮らしなのにこんなにどうやって消費するの、などなどなど)←これらの理由が自分に「買わない」ことを決断させた場合、안にするりと変わります。

理屈は理屈でしかなく、人間のこころには勝てないです。
貴方の心が決めた안 / 못、白黒つけるかつけないか?
難しいと思うかもしれませんが、そんな時こそハッキリ決まっているルールを基本として持っておく必要があります。するかしないか。できるかできないか。このふたつです。
そしてそれと共に、自分の気持ちがどっちなのか?はっきりさせれば選べるんだということを、充分分かっていてくださいね。


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