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marina:地球とあなたのための「ぼく」の物語 (2020/11/25)

地球上のすべてのものは、この絵本の主人公「ぼく」につながっている。
地球とあなたにとって、大切なものがなにかを見つけることができますように。


『 ぼくは・・・ 』

文:Marina 絵:Terumi
ぼくは いつもじっとしていて
あまり動くことはない

それでいて さみしがりやで
だれかが きてくれないと
ひとりでは 生きていけない


そんな面倒な性格をしているけど
ともだちは たくさんいる

まいにちのように 虫や動物たちが
ぼくの近くに 遊びにきて
食事をしたり 昼寝をしたりもする


ぼくは
季節を感じることも とても好きだ


夏は虫たちが たくさんぼくのところに
きてくれる季節で
ぼくも一年で一番元気になれる


木々のすき間から木漏れ日が
落ちてきて
時折 心地よい風が吹き
ぼくの上でちょろちょろと流れる水も
冷たくて気持ちよい


秋はだんだん肌寒くなってくるけど
上からふわりと落ち葉が
次々とかぶさってきて
ぼくを暖かくしてくれる


落ち葉の中には
いろいろな虫もやってくるんだ
夜には虫たちの大合唱がはじまる


冬はぼくもやっぱり寒いけど
ぼくの中は暖かいから
虫や小動物たちがやってきて
穴を掘り、ぼくの中にもぐりこんで
冬の間 ぐっすりと眠る


そして春になると
冬の間 ぼくの中でおとなしくしていた
種たちが 一斉に元気に踊り出し
たくさんの色とりどりの花が咲いて
チョウやハチが蜜を求めてやってくる


鳥の歌声も聞こえてきて
ぼくも楽しい気持ちになる


でも ある時
誰かの足音が聞こえてきた
ぼくは いつも遊びにきてくれる
動物たちかなと思ったんだ

その足音は近くまでくると
何かをぼくの上にどさっと置いた
なんだろう・・・


よく動物たちが食べた果物を
落としたりするから それかな
いつもはしばらくすると
種から芽がひょこっと 顔を出して
よろしくねと話しかけてくれる

でも何日たっても
何もしゃべらない・・・
動かない・・・


それから しばらくして
また足音が聞こえてきて
何かをぼくの上に置いていく
今度は前よりも重い・・・

そんなことがしばらく続いた
そういえば最近は
動物があまり遊びにきてくれないな
なんだか元気もあまりでない


季節も前より感じられなくなった
だからそれからどれくらい
月日がたったかわからないけど
ある日 近くでものすごく大きな音がした
それも一瞬ではなく ずっと鳴り響く
ゴゴゴ・・・ ガガガ・・・


そして 急に明るくなった
ぼくの上にあった重たいものもなくなったけど
草や木も すべてなくなったんだ


見えるのは空だけ
妙な気分だ
虫も動物たちも 誰も近くにいない


何日かして また大きな音がする
今度は ぼくの上に 黒くて熱い
ドロドロしたものが覆いかぶさってきた
匂いも今まで嗅いだことのない
ひどい匂いがする


そして真っ暗になった

ドロドロしたものは しばらくすると固くなり
ぼくは全く身動きができなくなった


虫も動物も草木も空も何も見えない
鳥の声も聞こえない
あるのは ひっきりなしに響く
不快な振動だけ

力が出ないな・・・
そしてぼくは 深い深い眠りについた


何年も 何年も・・・


ある時 大きな音がして 目が覚めた
かぶさっていた固いものが はがされていた
あたりが一気に明るくなる


久しぶりに空が見えた
そして誰かが ぼくにそっと触れてくれた
いのちを感じられたのは何年ぶりだろう


植物が植えられた
雨が降り 太陽の光が降り注いで
草木が育ち 花が咲いた
動物や人の足音や鳥の歌声も聞こえる

ぼくの心はふるえた

いのちの輝きが 感じられるのは
なんて すばらしいんだろう


ぼくたちは 共に生きることで
いのちの輝きが 増していくんだ
と ぼくは気づいて
この地球にいるすべての仲間たちを
心から愛おしく思ったんだ


どうか忘れないでいてほしい


あなたがどこにいても 何をしている時でも
その下には 必ず ぼくがいることを


***
文: Marina Takasu
絵: Terumi Takasu
協力: Permaculture Design Course 2019
         Spiral Club
Special thanks!: Takefumi Takagi
***

***
この絵本は以下で販売しています。(英訳付き)

ペーパーバック版(A5サイズ):

ペーパーバック版(B5サイズ):

Kindle版:
※英語版と表示されていますが、日本語も含まれています

***

この絵本の主人公「ぼく」は、いつも私たちを支えてくれている、です。

大切な存在なのに、都会で過ごす人の多くは普段見ることもなければ、触れることもない。

あなたにとって、土とは、自然とは、何ですか?

-この物語ができるまで-

物語の構成のアイディアは、昨年参加したパーマカルチャーデザインコースの同期がつくった、水の話がもとになっています。
秋に予定されていた文化祭で劇を演じるため、受講生達でそれぞれシナリオを考えました。その中で、同期のひとりがつくった話に感銘を受け、姉妹作として土の話をつくりました。

なぜ、私が土の話をつくろうと思ったかというと、
デザインコースでまずはじめに教えてもらって印象に残ったことが、土についてだったからです。

土の中に微生物が多く住んでいて栄養素が豊富であるなど、その土の状況によって育つものが違う。
土が豊かであれば、植物がよく育ち、それを食べる生き物の連鎖が広がっていく。
土はすべての命の源のように感じました。

そして、これほど大事なものに、普段触れずに生きていて大丈夫だろうかと思ってしまうほどでした。

土は大切なものと思われるどころか、むしろ、汚れて汚いものとして扱われてしまうこともある。

コンクリートやアスファルトの下に埋められてしまった土たち。
少しでも、これ以上不必要な場所で埋められてしまわないこと、そしていつかまた陽の光を浴びられることを願ってこの絵本をつくりました。

-この絵本の制作にあたって-

絵は、私の母が描いてくれました。
この絵を見て温かい気持ちになっていただけたら嬉しいです。

ペーパーバック版、Kindle版の英訳は、デザインコースをはじめ、その後も色々とお世話になっている、ちゃこさん<kotohogi.me>に訳していただきました。
この絵本の世界観を、英語で美しく表現してくださいました。

友人、知人、お世話になった人、子供たちへ、日本国内外問わず、
土や自然の大切さに触れるための贈り物として、選んでいただけたら最高に嬉しいです。

-この物語の続きを私たちの未来へ-

土を大切にするにはまずは土を知ること。
私たち一人ひとりがまずはじめにできることとして、私は次の3つに取り組んでいます。

①コンポスト

コンポストは、土が生きていると感じることができて楽しいし、生ゴミを減らすこともできて環境にも優しいです。
なぜ、生ゴミが減ると環境に優しいのか?
それは水を沢山含んでいる生ゴミを燃やすために、沢山のエネルギーが必要になるからです。

私が使っているのは手作りのこちら!

FIELDGARAGEによるワークショップでつくりました。

部屋に置いていても可愛いし、台にもなって便利です。使い始めて特に問題なく約1年が経ちました!

コンポストには大きく2種類あって、嫌気性と好気性があります。簡単に言うと、嫌気性は密閉されているもの、好気性は通気性を良くして使うものです。私が使っているのは好気性のコンポストで、市販の嫌気性のものも試しましたが、好気性の方が臭くなくて、使いやすかったです。
虫の発生を防ぐために、風通しの良い室内に置いておくのがお勧めです。

※コンポストの材料に、ピートモスがよく使われますが、採取することによって環境を壊しているとのこと、、!
ピートモスの主な産地はカナダや北欧で、主としてミズゴケなどの植物が堆積したものです。水を浄化する役割や、空気中の炭酸ガスを体内に取り込んでいるため、温室効果ガスの排出を防いでいるとも言われています。
ところが、ピートモスは500年から1,000年でたった1メートル分ほどしか蓄積されないとのことなので、消費するスピードが速ければ、いつかなくなってしまいます。
また、海外から輸入しているため、輸送に伴うCO2排出も気になります。
これから始める方は、腐葉土や竹パウダーなど、日本でもとれる材料でぜひ試してみてください。

②家庭菜園

ベランダで、少しだけど野菜やハーブを育てています。コンポストの土を使って育った野菜を食べて、残った部分や枯葉などはコンポストへ。小さな循環になります。

育て方のコツなどはこちらのYouTubeがわかりやすくてお勧めです。
『Agri Channel』

③援農

自分の畑を持っていなければ、誰かの畑を手伝うのも楽しいです。
私は友達の畑に行ったり、イベントやワークショップに参加して、野菜の育て方や畑の作り方などを学んでいます。
運動不足解消にジムにいくなら、畑で汗をかいた方が格別に気持ち良いし、美味しい野菜も食べられるかも!

手伝いを受け入れている農園、または、シェア畑や市民農園なども、探してみると近くにあるかもしれません。

私がお勧めする3つの土との関わり方でした。
土の物語の続きを、それぞれの生活の中で感じることができますように。

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