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【コラム】佐賀県のお酒


 佐賀県工業技術センター食品工業部です!


 今回は、佐賀県で製造され、国内外で広く販売されている「お酒」について、ご紹介します。
 お時間のあるときに、少しずつでも読んでいただき、佐賀を知ってもらえればありがたいです!



佐賀県におけるお酒製造の環境


 佐賀県は、九州北西部に位置し、北は玄界灘、南は有明海に挟まれています。

 県の面積の約3割を占める佐賀平野は、米や麦、大豆といった穀物の生産が盛んな穀倉地帯であり、耕地利用率は日本国内でトップクラスです。

 佐賀県では、県北東部に位置する脊振山系、県南西部に位置する多良山系の良質な伏流水に恵まれていたことから、古くから酒造りが盛んでした。


 現在、佐賀県内に22の蔵元があり、その中には江戸時代に創業した蔵元も含まれています。


佐賀県内の酒蔵マップ


 佐賀県の清酒の酒質は、一般に “濃醇・甘口” といわれており、国税庁が毎年行っている全国市販酒類調査の結果にも同様の傾向が表れています。


国税庁全国市販酒類調査の結果(令和元年度調査分)より



佐賀県原産地呼称管理制度


佐賀県では、2004年より「佐賀県原産地呼称管理制度」を導入し、県産酒の認知度向上に向けた取組を行っています。

【原産地呼称管理制度とは】
 この制度において、対象となる酒類は、清酒及び焼酎です。以下の3つの要件を全て満たすことで、「The SAGA認定酒」として1年間認定を受けることができます。

1.県産原料100%であること
2.県内の蔵元で製造されたこと
3.原産地呼称管理制度官能審査会において、香味の審査を受け合格していること

「The SAGA認定酒」の認定を受けた酒類は、ロゴマーク(下部をご覧ください。)を瓶等に貼って販売することができるようになります。


佐賀県原産地呼称管理委員会認定ロゴマーク


 官能審査会は、福岡国税局鑑定官室や酒販店関係者、観光業関係者から構成される管理委員10名及び消費者の中から公募によって選ばれた一般審査員20名を合わせた合計30名で、消費者目線での評価を重視して行われています。


原産地呼称管理委員会官能審査会場の様子


 このような取組を続けてきたことで、「The SAGA認定酒」は、一定のブランド評価を得ており、佐賀県内の酒販店では、「The SAGA認定酒」のシールが貼られた製品が店頭に並んでいます。



酒類の地理的表示(GI)保護制度の指定


 佐賀県酒造組合では、日本酒の原産地として「佐賀」の名称を使用することを、酒類の地理的表示(GI)保護の制度を活用して、国税庁長官からの指定を受けています。



 佐賀県内からは初めての指定であり、清酒としては九州で初めてとなるGI指定です。
 「GI佐賀」は国内産の米、佐賀の水を使用し、県内で製造すること、GI佐賀管理委員会が設置した官能審査会において認定されていることが条件になります。

酒類の地理的表示保護制度ロゴマーク




佐賀県工業技術センターの取組


 佐賀県と佐賀県酒造組合では、それぞれのアプローチから県産酒のブランド力向上に取り組んでいます。

 工業技術センターでは、そのブランド力強化のために技術面からのサポートを行っています。

 その一例として、工業技術センターに設置している分析機器を活用し、佐賀県産清酒と他県産清酒に含まれる成分の違いや、佐賀県産清酒の特徴的な成分を明らかにすることに取り組んだ「佐賀県産清酒の市場競争力向上を目指した評価技術の開発」(平成26(2014)年度~平成28(2016)年度)を紹介します。

 純米吟醸酒を対象に、メタボローム解析と呼ばれる手法を活用して、特徴的な成分の探索を行いました。その結果が、下図になります。



 分析の結果より、佐賀県産清酒の特徴である「濃醇・甘口」に関与するアミノ酸成分と糖・糖アルコールの成分が関係している可能性が示されています。


 現在は、清酒酵母などの醸造微生物の育種開発や佐賀県内の蔵元への技術的な相談対応に取り組んでいます。
 それぞれの詳しい取組については、機会を見て後日紹介させていただきたいと思います。


 このコラムに関するお問い合わせは、下記までご連絡ください。

-----<お問い合わせ先>-------------------------
  佐賀県工業技術センター 食品工業部
【E-mail】 food_rds-sec@pref.saga.lg.jp
【TEL】 0952-30-8162
【FAX】 0952-32-6300
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