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アニュアルレポート | 2022年現在のキャリア観あるいは人生観 (3/3)

社会人一年目は悩みと熟考と発見の年であった。
初めて大企業という枠組みの中で自分の大半を時間を使ったわけだが、自由度高く複数の団体やプロジェクトで活動してきたそれまでの経験に比べるとギャップが大きく、強く違和感を感じた。それは、四月の研修から始まり、その後アサインされたプロジェクトの中でも継続した。ただ現在は、課題意識を持つ精神は忘れずにいようという心持ちの半面、新たな見方により今の環境を肯定できるようになっている。ここに、どういった課題を感じ、それがどういった風に自分の考え方を変え、あるいは曖昧だった考えを固め、将来への展望に結びついているかを三記事に分けて記す。

※この記事は特定の人や組織への非難・否定を意図しておらず、自分が感じたことを記したまでである。異なる考えを持つ人がいることは承知しており、それも尊重する意思がある。

①何が違和感であったか?

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②結果としてどんな考えに至ったか?

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③今後の展望として何を考えているか?

ケニアの保護区で電気・水道なしの生活をしていて面白かったのは、自分に与えられた環境や性質の特殊さが際立って見えてきたことだ。それは日本という先進国で生活し、教育を受けてこられたという表面的なことに留まらない。例えば、ケニアの水準と比べるとずっと高い給与をもらえていること、生態学という(比較的マイナーな)学問分野の修士を持っていること、それでいて経営コンサルティングという分野でビジネス経験を積めていること、自分の新しい環境への適応能力がわりと高いこと(シャワーをしっかり浴びたい・毎日メイクをしたいなどの細かいことに拘らず、異なる文化や考え方に右往左往されることにもそこまでストレスを感じなくて済み、シンプルかつ毎日似たような食事でも楽しむことができる)。これらは自分のユニーク性であり、それを活かさないわけにはいかないと考えられるようになった。
 
ここから、「経営コンサルティングという分野でビジネス経験を積めている」という点をもう少し深堀すると、今できること・すべきことがさらに見えてくる。例えば、野生動物保護というキャリアをグローバルで積むにあたり、堅固なグローバル体制を敷いている今の会社で、グローバルな働き方や知見を可能な限り積むべきであること(ビジネスで使える英語力の構築を含む)。ビジネストレンドを追い、いち早く体系化しようとする取組の中に入ることで、先端の知見を積むべきであること。また、そういった人と繋がるべきであること。先端のものだけでなく、現在市場で確立されつつあるサステナビリティとビジネスの知識を自分も効率的に学ぶべきであること。
また、異なる見方もできる。私の会社では1か月程度連続した休みを取ることが可能な恵まれた環境であり、それを活かして新しい場所に行き、企業内で得られない人との繋がり・知見・経験を積むべきである。具体的にはより多くのアフリカの国に行き、ケニア・マサイマラ国立公園とは異なる野生動物保護の現場を見てみたい。
給与に関しても、ケニアとの給与水準の差を活かすことで、私レベルでもそれなりの金銭的貢献ができるし、実際に行いたいと思っている(具体的にはオロイスクット保護区という場所に、レンジャー用の車を寄付したい。今は広い保護区の保護に当たっているにもかかわらず、数十人のレンジャーたちがたった一台を共有しているにすぎない状況だ)。
 
上記は企業内でのことだが、もう少し長期的な目線でもユニークさを探っていきたい。たとえば、「自然保護の専門家」になる上で、今より学問的なコアもしっかり持ちたいと思っている。だから、PhDコースに入り、集中して特定分野を探求することも選択肢の一つだ。また、働く国も多様化したいし、一緒に働く仲間も多様化したい。そのうえで、自分が使う能力も多様化したい。
私は正直に言うと、今の仕事で自分の本当の強みが十分に活かされているとあまり感じられていない。現時点で自分の強みと考えているのは、強い根拠がなくとも将来の社会トレンドを掴み取る感覚、それをたとえ小さいとしてもユニークなアクションに落とし込む行動力、そしてそのユニークなものを仲間と楽しく作り上げていくリーダーシップ、である。今の仕事内容と役割では、強みを伸ばすというよりは強みを発揮するための土台作りをしているような感覚があるので、その土台作りを早く終えて、自分の強みを最大限生かせるステージに行きたいと思っている。それは同じ会社内でも、その外の機会においてもである。
 
早川千晶さんという、出会った瞬間から「素敵な人だ」と思ってしまったケニアの活動家の方に言われた言葉がとても胸に刺さっている。
「あなたはきっともっと動物のことを勉強したいはず。そして、あなたには今よりももっとできることがまだあるはず。あなたが本当に議論し、取組みたいことを一緒にできる人たちが、この世界の中には絶対にいる」
これを信じたいからこそ、勇気を持って、力強い選択を重ねていくつもりだ。

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海外生活経験や、自然に関する研究等を通して培ってきた私なりの視点で、ほっと一息つけるような楽しいエッセイを書いていきたいと思っています。支援いただけましたら、ぜひ活動の幅を広げるために最大限使わせていただきます。