勝敗を分けたのは表現者としてのマインド【七海と氷渡考】
はじめに
金色のコルダシリーズ20周年おめでとう!!!どもども、奴裳嵐(どもらん)すぴかです☆最近すぴかが皆に一押している七海宗介(ななみ、そうすけ)と氷渡貴史(ひど、たかふみ)の関係性の妙についてところどころで語ってたら、「論文にして!」とほうぼうで頼まれたので、しました。これを読めばこの二人の関係性がわかる!特に、表現者としてのマインドの違いが、我々表現者へのメッセージになっているので、是非彼らの姿勢から学んでほしい。
※どちらかというと、「七海宗介の強さとかっこよさ」に焦点を当ててみました。皆に知ってほしいから。可愛いだけじゃない!
概要
この二人は乙女ゲーム『金色のコルダ3』の登場人物。横浜星奏(せいそう)学院に転入したヴァイオリニストの主人公♀️が、同じ学校の生徒とアンサンブルを組み、全国学生音楽コンクールで優勝を目指しつつ、時に恋に落ちるかも…!?という、青春ラブストーリーだ。
コンクールなので当然「他校」が登場し、今回注目する二人は、ラスボスポジションである横浜天音(あまね)学園の生徒である。
(あと『3 Another sky』、『4』、『オクターヴ』にも登場)
キャラクター概要
二人とも同校室内学部部長「冥加玲士(みょうが、れいじ)」に魅せられてこの修羅の学園・天音学園を目指した。氷渡は特に冥加に心酔しており、「すべてをなげうって」入学してきたと言う。
天音学園とは
一言で言うと、音楽の男塾である。天の頂きに選ばれしものだけが立てる、閉ざされた楽園。それが天音学園だ。三学年で90人しか入学できない、音楽の超高等教育を施す高校。そこのトップが先の冥加であり、同校の三年生でありながら理事長代理もつとめる(事情は長くなるので割愛)。冥加は幼い頃から音楽の男塾的教育を施されてきたので、海外での活躍が当たり前レベルである。周りに求めるレベルもそれほど高いし、非情だ。
・冥加は名実ともに「学園の支配者」であり、誰も逆らうことができない
・音楽の技術が求める水準に達していないと、部活から即除籍されたり、もっと言うと、即退学勧告を受けたりする
※『Another sky feat.天音学園』というゲームでは、主人公と響也が天音に転入して、その日のうちに、冥加の前で演奏を披露した際、即退学勧告をされる。
はっきり言って、頭のおかしい学校である。
常にデッド・オア・アライブ!
ちなみに、校訓は「愛し、奉仕せよ」。軍隊か新興宗教のようだ(笑)。その校訓通り、天音の生徒は心身をなげうってでも日々音楽の鍛練をしなければならない。それでも求められる水準に達しないと…。容赦なく除籍や退学の憂き目に遭う。勝負の非情さをこれでもかと体現した学校なのである。マゾヒストの養成機関。
※コルダの作者陣であるルビーパーティは、天音学園のコンセプトを「(学生の頃)誰も体験したことない夏」としている。そりゃそうだ。
全国学生音楽コンクールでは、三年生の冥加のヴァイオリン、三年生の天宮のピアノ、もう一人チェロの三人構成だ。このチェリスト(以下、「正チェリスト」)の座をかけて七海と氷渡は争うことになる。チェロ二本構成でいいじゃん
さよならオレの音楽。さよならオレのチェロ…!
そんな学校に入った彼らがどうなったか。
七海宗介。主人公とこの少年との出会いは衝撃的だ。
「さよならオレの音楽。さよならオレのチェロ…!今日で、お別れだ…!」
天音学園に入学した七海は自信をすっかり喪失していた。曰く、冥加に認められず「雑音」等と厳しい言葉ばかりをもらっていた。室内学部から除籍処分にもされていた。ひでー学校w
※でも冥加の耳と腕は確かなので、単なる理不尽なパワハラというわけではない。男塾すぎて言い方とやり方がキツいだけで。。。w
それで思い詰め、チェロを投げ捨てようとする。物理的に。
それが七海名物、「さよならオレのチェロ」である。余談、この見た目で一人称「オレ」、しかもなかなか豪快な投げ方をしている。雄である。そこが七海宗介の素晴らしポイント①。
すんでのところで主人公が止めてくれて、彼はチェロを捨てずにすむ。七海が気弱でおとなしいのは、天音学園でめこめこにされて、自信を喪失しているからなのである。
対して氷渡貴史。
彼は冥加アンサンブルの正チェリストに選ばれ、幸福の絶頂にいた。
七海に煽り散らかし、荷物持ちをさせたり、パシリに使ったり、マウントを取りまくっていた。ちなみに、七海だけではなく、色んな相手にマウントを取りまくっていた。
しかし、傲慢の裏で。。。
氷渡は焦っていた。気づいていたからだ。七海のこれから花開くであろう才能に。自分は彼に追い越されるだろうことに。やっと手にいれた「冥加部長の正チェリスト」の立場を奪われるだろうことに。彼我の実力差に気づけるのは実力者の証。氷渡も実力者ゆえに、残酷な未来に気づいてしまったのだ。
氷渡は「冥加部長の正チェリスト」であることを自信の存在意義のすべてとしていた。その座を守るために必死だ。朝四時※にすでに学校でチェロの練習をしている。
※天音学園は24時間営業。
化粧やアクセサリーする時間含めると、いつ寝てんの。
※氷渡への専用プレゼントアイテム、「ヒーリングCD」である。寝てくれ。
※「一年の七海と大差ない」と評してるが、氷渡がたいしたことないのではなくて、実は七海が特別化け物なだけなんだよね。。。焦りと睡眠不足と冥加部長への執着が強すぎて、自己肯定感が著しく下がっている。
主人公にその弱みを見られた氷渡は悲しく叫ぶ。
「ザコだって思っただろ!正直に言えよ!」
彼が傲慢な振る舞いをしていたのは、必死に虚勢を張り、強者を演じようとしていたからなのであった。きゅん。かわいすぎる。
サバイヴ
そうこうしているうちに、七海はいきいきと実力をつけていった。そして、ついに正チェリスト交代が告げられる。
https://twitter.com/imitationgreen/status/970601526149365760
https://twitter.com/imitationgreen/status/970602217362243584
https://twitter.com/imitationgreen/status/970602647580372992
敬愛する冥加にあっさり切り捨てられ、自分より格上の天宮、御影ら年上たちに詰め寄られ、氷渡は壊れてしまった。
皮肉にも、氷渡に唯一やさしいのは七海だったが、七海とてやっとつかんだ正チェリストの座を譲れるわけがない。ここのやるせなさ。
ちなみに、実は七海は天音学園を特待生入学してきた。(確かそれ選んだの冥加部長だったはず)最初から氷渡に救いはなかったのだ。
特筆すべきは、
・氷渡の発言「(冥加の)どんな無茶な要求にもこたえてきた」
・七海はパシリにされたりしても氷渡を恨んでいることはなかった
そして、話を聞いてもらえない氷渡は、(冥加の妹と間違えて)主人公を廃屋に閉じ込め人質にし、話を聞いてもらおうとする。
「俺には卒業してからも音楽を続ける才能はない、冥加部長と弾けるのは今しかない。
あなたは俺のすべて。
だからどんな手を使っても、この座は渡さない。
俺を選んでくれ、冥加部長!七海じゃないんだ!」
(イベント「サバイヴ」より要約)すごい、冥加部長に対してはメンヘラ女みたいになる氷渡くん
しかし、冥加部長は酷薄にも氷渡を拒絶する。
「貴様のチェロと俺のヴァイオリンが響き合う・・・?貴様のチェロなど雑音にすぎん。お前は完璧な音楽のピースにふさわしくない。ネズミはネズミらしくこの薄汚い廃屋で這いずり回っていろ!」
氷渡にとっては神にも等しい彼の言葉は、死刑宣告にも似たものだった、、、。
※ちなみに、キレた氷渡によりここでリアルファイトが勃発。乙女ゲームにもかかわらず、血しぶきが出てくる。それがコルダ3。
※ネズミ→ぴどきゅんは全体的にグレーな色をしている。それに、非常に細かい視点だが、ぴどきゅんのネックレスの意匠がただのドクロではなくネズミのドクロ。それらを見て「ネズミ」と呼んでるなら、案外みょーがぶっちょはぴどきゅんのことよく見てるのかも。。。?
※みょーがぶっちょは部員のこと部品って言うんですけど、男塾思想といっしょ
結局、正チェリストは七海のまま全国大会は幕を閉じた。
少年は鮮やかに決意する
天音学園での挫折や苦労からの成長と、氷渡との苦い一件は、七海がチェリストとして成長していく糧になっていく。
まずは、3にて。全国大会ファイナルの選曲をする天音学園。選曲にこだわってない冥加と天宮は、冒頭にチェロのソロがある暖かな楽曲を「これ好きだな」と気に入った七海を見て、その曲をファイナルに演奏することに決める。大舞台でソロができる!とわくわくする七海に、冥加は
「冒頭のソロはチェロではなくヴァイオリンに変えて自分が弾く」と冷たく告げる。まだ、七海は真にはアンサンブルの一員として認められていなかったのだ。なんか言おうとしたら「無駄口を叩くために口を開くな」とか言われる。どんな学校や。これならチェロ、ぴどきゅんのままでも関係ないだろw先輩方に従うしかない七海だが、納得はいっていない。しかし自分の実力不足のせいだ、と悩み続けることになる。氷渡からも、「やっぱりお前なんかには無理だったんだよ…!」といった恨み言を吐かれる。三年生は話を聞いてくれないし、二年生からは恨まれて詰められるし、マジで終わってるwこんな部活やだわww
その後も本番直前までずっと言いたいことを圧し殺し、逃げていた七海。しかし、ファイナルの舞台で最高の演奏をした主人公を見て、ついに、決意する!
https://twitter.com/imitationgreen/status/1700353980805926948?t=QyhVK7K95E_fKVX8fwLfRw&s=19
冥加部長のみならず天宮さんをも煽る台詞、本番直前にもかかわらず「それで勝てるのか?」に「はい」を言えるところ。七海宗介の本来の勝ち気さが出ている。
七海名物、「ここぞという時のクソ度胸」が出た!(歓喜)
Another skyでも。途中、七海は自分の実力不足に悩み、「音楽の種」といういわゆるドーピングアイテムに頼ってしまうシーンもある。しかし、七海らしさをどんどん失っていき、主人公や氷渡のひたむきな姿を見て、少年は鮮やかに決意する。
また、オクターヴにて、全国大会には実は氷渡が演奏を聞きに来ていて、七海をほめたというなかなかに衝撃なことが語られる。
火積(ほづみ)の言う通り、自分を負かした相手をほめたたえることなど、そう簡単にできることではない。
無邪気に「先輩に褒められた」と喜んでいただけの無垢な少年は、ここではじめて、「勝者とはなんなのか。自分は氷渡に対してどういうふうに接するべきか」を考え始めるのだった。
変な同情をせず、胸を張って、堂々とすること!それが勝者としてあるべき姿と、決意した。
自分が氷渡先輩の立場なら、自分を打ち負かした勝者には堂々としてほしい。だからそれがオレから氷渡先輩へできる礼儀なんです、と七海は語る。
こうして少年は、大人になっていくんだね。。。。。ほろり
認めあうふたり
皮肉なことに、氷渡にもっとも優しくしてくれるのはほかならぬ七海なのだった。氷渡が七海の実力を認めていたのと同時に、七海も氷渡の演奏の実力を認めていた。
だって同じ楽器で、いちばん近くにいた似た立場の二人だから。だからこそ分かり合えるのだ。
下記は、氷渡が七海に演奏のアドバイスをし、それのおかげでステップアップできた、とお礼を言いに来る七海のはなし。
パシリとか色々あったけど、七海は純粋に氷渡を慕う。七海にとっては「尊敬する氷渡先輩」なのである。
七海も七海で、神戸の人(具体名:芹沢)に、氷渡について「地方大会止まりのチェリストでは?」と評価されたことに対して、下記の通り憤る。
(イベント「神南Op2」より)
4でも、七海から氷渡に相談しに行っているさまが描写される。
コルダの面白いところは、単純に「七海が氷渡より優れていた」「傲慢な先輩を打ち負かしてスカッとする」という一辺倒な話ではないこと。氷渡も氷渡でちゃんと実力者であり、一個の悩める人間なのだ。
では、チェロにおいて、彼らの勝敗を分けたのは何なのか。それは
「自分の表現したいものを持ち、貫き通す信念」だと思うのだ。
※マエストロフィールドの有無に繋がる
七海の本質的な我の強さ(冥加への態度の差、あと七海の雄みが最高って話)
七海宗介は、実は天音学園で自信を失っていたから「気弱」になっていただけで、本質的にはかなり勝気な少年である。
彼の幼馴染のハルが証言している。
この発言を裏付けるように、「気弱」な態度をしつつも、本質的な気の強さは失っていないことがいくつも描写される。
対して、氷渡は冥加の言うことを絶対視し、なんでもかんでもイエスマンで従っている。
feat.天音学園のドラマCD「The Absolute Glory」にて、冥加がチェロの手本を弾いた時、氷渡は冥加を細かく真似て弾き、七海は独自のアレンジを加えて弾いていた。
更に、オクターヴで、ハルと七海とで解釈の違いでバチバチ言い争っていた姿も印象的。
七海と氷渡の決定的な違いはここなのだ。
「冥加に並び立つ、あるいは超える意識があるかどうか」。「自分の表現を貫けるかどうか」。
それは、こんな日常のシーンでもうかがえる。
https://twitter.com/imitationgreen/status/954940158670876672
自分の「好き」を冥加部長のことを気にして撤回してしまう氷渡と、その心理をまったくわかってない(=そういう考えにすら至らないほど、自分の「好き」を「好き」って言うのが当たり前と思ってる)七海。氷渡の愚かさよ、、、。
あと、よく、あのこわ~~~~~い冥加部長に、マンゴーシェイクなどという、「冥加部長は別に好きでもなさそうなもの」を無邪気に薦められたものだ。七海は「オレが好きなもの」をこうしてぐいぐい他者に押し付ける傾向もちょっとある。我が強いので。
やはり、冥加部長としても、こびへつらってくる※氷渡より、自分の意見を持ってる七海の方がやりやすいと判断したんじゃないか、と思う。(我の強いモンどうし)
※氷渡の演奏は「繊細で技術の高い、優等生のいいこちゃんタイプ」。人に合わせちゃうんだよね。アクの強い冥加部長と合わなかったと思われる。
あと、氷渡くんのキャラソンは気色悪い(ほめてる)くらい冥加部長のことばっか歌ってるんですよ。冥加部長としては、「こいつ、重いな。。。」ってかんじでげんなりだったのではないか。。。?
ちなみに、氷渡がプールで身体を鍛えるシーンがあるが、「冥加部長がプールで鍛えているから」とまねっこ。対して、七海は冥加部長の真似のプールではなく学園内のジム?的な施設で。
また、氷渡の靴は白いのだが、冥加部長の靴が白いからまねっこで。ヒェッ…ここまでくると乙女か。
宗介さんの華麗なる「気弱詐欺」。
4における、「主人公に遠慮して自分の音を我慢しまくった末、気が狂いそうになるそーすけさん」。この通り、この男は、自分の音を我慢できない男なのである。カワイイ子の狂気顔ってサイコウ。
https://twitter.com/imitationgreen/status/1024979994177560576
4における、ぴどきゅんのPerfectカウンセリング教室「あいつは自分の音楽をテコでも曲げない男だ」(↑のことを見抜いて)
アニメ版でもきっちり、「気弱詐欺」。
「何様だ、あんたは!! コンクールのアンサンブルに選ばれたのに、与えられたチャンスを無駄にするなんておかしい! 世の中にはなぁ、どんなに望んでもそのチャンスを与えられない人間が沢山いるんだ!」
そーすけさんが言うと、重みが違う。
「気弱でおとなしい」とはなんだったのか。
更に、七海そーすけべ。カワイイ顔してゴリゴリの雄。それがそーすけの魅力。
もちろん、見た目通りのキュートな一面もいっぱい魅せてくれる。(本人的に「可愛い」という評価は不服そうだが)
可愛い、かっこいい、弱い、強い、狂気、とまるでジェットコースター。さぁどうぞお好きなの 変幻自在のSOUSUKEアーカイブ。
ぴどきゅんのかわいさ特集
もはや私にとっては今更すぎて逆に何を語れば?状態なのですが。。。七海のオス加減とは逆に、氷渡は公式によってだいぶヒロイン♂にされている。
中学生のころ。冥加の音を初めて聞き、惚れてしまう。。。
別にBLというわけではないのだが、冥加への氷渡の想いがぶっとびすぎて、もはや乙女の所業である。
函館旅行では、冥加と新撰組のコスプレをして遊んでいたが、衣裳は氷渡の手作り(!?)。函館の旅行冊子(る○ぶみたいなの)は夜なべして(!?)読み込み、びっしり(!?)メモが書き込まれていた。
普段は攻撃的な見た目の氷渡だが、実は。。。
手に持つ花はアネモネ。
ちなみに、七海は牡丹。
氷渡貴史、好物はたまご料理。プリンも好き。先のマンゴーシェイクのくだりにもあるように、甘党寄り。嫌いな食べ物はゴーヤ。苦いのきらい。あざとい。
寝起きむにゃむにゃしてる。あざとい。
https://twitter.com/imitationgreen/status/967258572936560641
正直、えっt(自主規制)↓
…ごほん、これ以上やるとなんかおかしな空気になってきそうなので真面目に戻る。
最後に。
私が天音学園で一番好きなシーンをはって本稿を終わる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?