〔憲法コラム3〕法人の人権享有主体性

 例えば、テレビ局は法人である。そこで、テレビ局に報道の自由が保障されるのか。法人の人権享有主体性が問題となる。

〈論点1〉法人に人権が認められるか。人権は個人の権利であり、その主体は本来自然人を対象としているため、問題となる。
 A説(肯定説 判例・通説)
  結論:性質上可能な限り認められる。
  理由:法人は現代社会において一個の社会的実体として重要な活動を行っている。

[重要判例]
 八幡製鉄事件(最大判昭45.6.24)百選Ⅰ(第7版)[8]
 八幡製鉄(現在の日本製鉄)の代表取締役が自由民主党に政治献金をした行為が会社の定款の目的の範囲外の行為であるとして、同社の株主がその損害賠償を求めて株主代表訴訟を提起した。
 最高裁は、「憲法第3章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきである」と判示している。

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