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覚えるより、考える

サイエンスとは、自然からパターンをみつけだすこと。これも、安宅さんの「シン・ニホン」で語られていたことだ。観察してデータ取ることこそ自然科学だから、実験なしにサイエンスは学べない。

私にとって学校での理科や社会は、どちらかというと暗記しなきゃならない科目で、あんまり得意じゃなかった。もちろん実験の授業もあったのだろうけれど、たいして覚えてない。

メーカーで働くようになってから、技術の面白さに気付いた。何故そうなるのか、どうすればもっと良くなるのか。私はエンジニアではないけれど、理屈がわかると次々に知りたくなる。答がなければ考えるしかない。自分で生み出せなくとも、知恵のありかを探して答を組み立てることはできる。

今はちょいと検索すれば、それらしい情報はすぐに見つかる。でもそれは玉石混交。どう組み立てていくかは、自分次第だ。

忘れられない思い出がある。

子供の頃、小学生になったばかりの妹が、悲しげに学校から帰ってきた。テストの点が悪かったという。たしか、3点とか5点とかだった。

見ると社会科の問題で町の地図が書いてある。設問は「信号機を探して丸をつけなさい」だ。至極簡単な問題で、当然お友達は皆、100点だったらしい。

なんでこんな簡単なことができなかったの、と訊いた母に、妹は涙ながらに説明した。曰く、信号機のある場所なんてすぐにわかる。だから、そんなのテストの問題じゃないと思った。自分は、どこに新しく信号機をつけたらいいかを考えて、そこに丸をつけたんだ、と。

スゴイと思った。誰でもできる簡単なことで満足せず、自分でたてた問いに答えるなんてカッコイイと思った。考える力って、そういうものだろう。

ちなみに、0点じゃなかったのは、信号機のないところに力強くつけられていた丸への、先生の「おまけ」だったらしい。ちゃんちゃん。


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