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古民家再生はじめました ~天井板を外すと~

二階の天井板を外すと古い梁と屋根裏が見えてきた。この梁がずっと家を支えていたと思うと感無量だ。

街道沿いに多く残る江戸時代の建物は、厨子(つし)二階町家と呼ばれる天井の低い作りだけれど、大正後期に建てられたらしい我が家の二階は、生活するにはそこそこ十分階高がある。梁を見せて広い空間をつくることには憧れがあったけれど、屋根裏を残しておけば暑さ寒さを遮る効能がある。二階を生活空間にするのであれば、更に断熱材をいれて天井をつくっておいたほうが快適に暮らせるでしょう、という建築士さんのアドバイスがあり、そのように進めることにした。代わりに、天窓の位置をわざと梁にかかるようにして、下から古い梁の姿がすこし見えるようにしてもらえることになった。

そもそも細長い町家構造に軒が長い瓦屋根というつくりは光が入りにくい。大きな窓から光が入ってやたら明るい今の高層マンションとはだいぶ変わるだろうなというところは気になった。街道から見えない側からであれば天窓をつけることが許可されると知り一安心。けれど街並み保存の制約のため、天窓をつけられるのが南側になってしまう。明るくはなるが、夏の直射日光を遮るための電動シャッターは必須。さらに冬は暖かい空気が上に逃げないように対策したほうがよさそうだ。心配は尽きないけれど、部屋から古い梁を見上げるのを想像すると本当に楽しみだ。夜はお月様も見えたりして。

この段階ですべての天井板を外したのは、雨漏りが原因で傷みが目立つ部分があったから。そのまま使えないところは取り換えるしかないし、二階住居部分は機能性重視で仕上げる方針なので、天井には新しい材料を使うことに決めたのだ。

もともと二階には客間があった。だから、天井板、天井の竿縁(さおぶち)、長押(なげし)、床柱など、日常空間だった一階よりも、使われている材料が良かった。新たな居住空間である二階は機能性重視にするけれど、懐かしい設えはできるだけ残しておきたくて、一階に移せるよう丁寧に取り外してもらったのだった。

残念ながら古い天井板は想定より薄く、取り外す際にほとんど割れてしまった。けれど、竿縁、長押、床柱など再利用できるものは、一階の和室に移設してもらうことになった。写真をよく見ると、取り外した長い材料は、一旦天井裏に保管してくださっているのがわかる。

今回の施工は、古い木造建築物を得意とする地元の工務店さんにお願いしている。神社仏閣の補修なども手がける大工さんたちだ。私たちはあまり頻繁に現場に足を運ぶことが出来ないけれど、要所要所でZoomを使って工事の進捗報告をしてくださる。おかげで、とても見たかった状況を迅速につぶさに観察できている。とてもとても幸運だと思う。

最初に行うデンケン修理工事は、躯体維持のための構造強化と街道から見える景観維持のための旧状復原なので、まずは基礎工事から。
かの地は連日38度越えだそうだ。早く酷暑の時期が過ぎてほしいよ。



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