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#43 雨と太陽が心をくれた

もし五感(味覚、視覚、聴覚、嗅覚、触覚)
を1つ失うとしたらあなたはどれを選びますか? 




1月期のドラマも少しずつ終わりを迎えているのだが、特に今期夢中になったドラマの1つが
フジテレビ系で月曜21時から放送されていた
「君が心をくれたから」である。


永野芽郁さん演じる’雨ちゃん'と山田裕貴さん演じる'太陽くん'のラブストーリーなのだが
初回で太陽くんが交通事故で死んでしまう。
悲しみに暮れた雨ちゃんの元に、
斎藤工さん演じる'あの世からの'案内人'が現れ
「心を差し出すのであれば、奇跡を起こす」

心を差し出すとは五感を失うということ。
五感を失う代わりに太陽くんの命を助ける、
それが奇跡である。雨ちゃんは奇跡を受け入れ五感を徐々に失っていく。


あらすじをざっくり書いてみたが
五感を徐々に失っていくというドラマは
今までなかったのではないだろうか。


1話を視聴し終えた後、どの順番で五感が
失われていくのかが気になった。

初めは嗅覚か味覚。
この2つのどちらかだろうと思ったが
根拠のある理由が出てこなかった。

そこで色々な人達に

もし五感(味覚、視覚、聴覚、嗅覚、触覚)
を1つ失うとしたらどれを選びますか?


という冒頭に書いた質問をしてみた。
結果、殆ど全員が嗅覚と答えた。

詳しく聞いてみると
味覚と迷ったが、食べ物を味無しで食べるのは辛いという理由で嗅覚を選んだという理由が多かった。

だが、ドラマを観て嗅覚には
とても重要な役割があることが分かった。

雨ちゃんがマーガレットの花束の匂いを嗅ぎ、太陽くんとの学生時代を思い出すシーンがあるのだが五感の中で嗅覚だけが脳に直結しており、記憶を呼び起こす役割があるのだ。

だからなんだと言われればそれまでなのだが
とても勉強になったシーンだった。


このドラマの凄さは
やはり永野芽郁さんの演技だろう。

永野芽郁さんの主演ドラマである
「半分、青い」は高校時代、家に帰って毎日録画を観るのが楽しみだった作品だし、
「ハコヅメ」は今まで観たドラマの中でも
トップ10に入るくらいお気に入りの作品である。それ以外に「ユニコーンに乗って」や
「3年A組」でも楽しい時間を過ごさせてもらった。

特に10話で視覚を失ったシーンは鳥肌がたったし、自分の目からゆっくりと涙が溢れた。
視覚を失った瞬間を表情だけで表現する。
本当に凄い。

4話の観覧車のシーン、
最終回の五感を全て失ったシーンも印象に残ったが、このシーンは格別だった。


山田裕貴さんも大好きな俳優さんで、
「ハコヅメ」「どうする家康」「なつぞら」
「女神の教室」など自分の観ている作品に多く出演していて勝手に親しみを感じていた。

元気で明るいが、その明るさの中に
寂しさや何か重たいものを背負っている感じ。
太陽くんは山田裕貴さんしか出来ない。


この作品は
1話で交通事故で太陽君が死に、奇跡が起こる
2話で味覚、4話で嗅覚、7話で触覚、
10話で視覚、最終話で聴覚を失う。

1話の段階でこれから徐々に
五感が失われることが分かっているから
毎回絶望しか感じることが出来ず、
作品を見終わった後言葉が出ないという状態が
毎週続いていた。

最終回。必ず希望いっぱいに包まれる。
それだけを微かに信じることだけでしか
この作品から光を感じられなかった。

太陽くんの妹が雨ちゃんに
「もう会わないでほしい」と言ったシーンや
雨ちゃんが女性とぶつかって
太陽くんの花火を見られなかったシーンなどは
イライラしてしまった。
(このシーンはそれよりも雨ちゃんの演技に圧倒されたので良し。)

最終回、まだ観ていない人もいると思うので
詳しくは書かないが
希望いっぱいに包まれることはなかった。

確かにあの終わり方が1番良いとは思うのだが
「いや、それはやりすぎだろ!」というくらいのハッピーエンドで終わって欲しかったなと思っている自分もいる。

ハッピーorバッドでこの作品の終わり方を
簡単に表すのはナンセンスだとは分かっているのだが…。モヤモヤするなぁ…。

ここまで色々言ってきたが、
個人的には絶望感やモヤモヤも込みで
毎週楽しめたので、好きな作品だし記憶に残った。

ただ、人にこの作品をおすすめするのは、
少し気が引ける。かなり重たい気持ちになるので、気をつけてみてほしいと注意喚起してからならこの作品を色々な人に観せたい。


来週からこの作品を観られないのがとても寂しい。もう一回見返そうかな…。

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