【提案】常習侮辱罪と炎上誘導罪の創設はいかが?

 こんにちは、山本清流です。






 趣味として刑法の勉強をしているのですが、

 こんな規定があったらいいんじゃないか、と素直に思ったので、提案します。







 僕が日々、問題に感じているのは、ネットでの誹謗中傷や炎上事件です。

 これらは直接的に誰かを自殺に追い込むこともありますし、そうでなくても間接的に自殺を幇助するような役割を果たしている場合もあると思います。






 刑法各論のテキストを読むと、名誉毀損罪や侮辱罪は基本的に名誉を保護するものとされていますが、

 ネット社会の現状を考えると、これらの犯罪の被害者たちは名誉という社会的評価を傷つけられているというよりは、

 単純に心を傷つけられていて、場合によっては亡くなったり、精神疾患になったりしています。

 精神的障害が生じているのだから、それは傷害罪の法益と類似しています。

 自殺する可能性が高まるという意味では、生命に対する抽象的危険犯とも捉えられるのでは、とも。







 そのような危険性を考慮したとき、現行法では、名誉毀損罪が3年以下の懲役、侮辱罪が1年以下の懲役となっているのは、

 なんだか、罪と罰としてバランスが取れていないように感じました。







 もちろん、やみくもに厳罰化したり、簡単に法適用の範囲を広げたりできない事情があるのもわかります。

 とくに侮辱罪の改正のときには、表現の自由について問題になりました。

 法律によって言論を威圧すると、民主主義を支える基本的な要素である表現の自由が制限されるのでは、と慎重な意見が出るのも当然です。

 僕自身、アマチュアの作家だから、表現の自由が制限されるような事態になれば、それは窮屈ですし、僕個人の幸福追求を国に否定されたようにも感じるでしょう。







 だから、おそらく侮辱罪などをこれ以上厳罰化することはできないだろうし、

 言葉による攻撃から個人の精神や生命を保護することを考えたら、新しい規定を創設したほうが適しているし、そのほうが早いのではないか、と思いました。







 そこで、僕は、常習侮辱罪と炎上誘導罪という新たな規定を提案します。

 まず、常習侮辱罪です。







①   常習的に特定の人を侮辱し、よって精神的障害を負わせた者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

②   常習的に侮辱し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有機懲役に処する。

③    常習的に侮辱を繰り返した者は、2年以下の懲役に処する。







 第一項は、特定の人を手段を問わず、執拗に侮辱し、その人が精神的障害を負ったときに、傷害罪と同じ罪を問おうとするものです。

 構成要件上、侮辱した相手が精神的障害を負うことが必要で、そこに達しなかったときは未遂罪として処罰します。

 侮辱罪は名誉を保護するものだから、「公然と」という表現がありますが、常習侮辱罪は精神の健康を保護するものなので、公然である必要はありません。

 名誉を保護するものではないので、侮辱した相手がその侮辱を受け取っていなければ、常習侮辱罪は成立しません。

 この罪を具体的に適用しようとするときは、常習的な侮辱と精神的障害の間に因果関係がなければいけません。

 だから、ネット上で特定の相手を何度も何度も極端に侮辱したときしか発動されないことになり、表現の自由を侵す可能性は低いと言えます。







 第二項は、結果的加重犯の規定で、

 第一項の罪を犯したうえで、その相手を自殺に追い込み、実際に自殺させたときは、傷害致死罪と同じ罪に問おうとするものです。

 問題となるのはやはり因果関係でしょうが、

 侮辱を繰り返すというのは、危険運転と同じで、本来的に相手を傷つけたり自殺させたりする危険性を高める行為であり、

 それなのに侮辱を繰り返すことには、相手が自殺しても別に構わないという未必的な故意があるとも言えます。

 しかも、現代のように誹謗中傷などによって著名人が追い詰められ、実際に自殺するケースが大きく報道されている社会において、

 なお侮辱を繰り返す行為は極めて悪質と言わなければなりません。

 そのような事情を考慮すると、極端に侮辱を繰り返しているようなケースでは、比較的緩やかに因果関係を肯定してもいいのではないか、と思います。

 3年以上の有期懲役ということで、酌量減軽をしなくても執行猶予にすることができるので、いきすぎた刑罰にはならないでしょう。

 






 第三項は、特定の人に限らず、侮辱行為を繰り返す者を裁くための規定です。

 これは個人というより社会にとって迷惑な行為である点に注目して、

 社会の誰かが傷つくかもしれない侮辱を常習的にする者を、抽象的危険犯として裁きます。

 一回だけの侮辱で相手に精神的障害を負わすことはあったとしても、因果関係が証明しづらいので、そこまでは問いません。

 







 また、精神的な健康を害することがないという点において、法人を相手に常習的に侮辱しても、以上の罪には問われません。

 以上の罪は、どれも非親告罪とします。








 続いて、炎上誘導罪です。

 侮辱を質的又は量的に増幅させることのできる者が、不特定多数の侮辱を煽ったときは、1年以下の懲役に処する。







 この規定は、影響力のある人が主体になる身分犯の規定です。

 芸能人やインフルエンサー、フォロワーの多いアカウントを運営する者、テレビのプロデューサーなど、影響力を持つ人たちが対象になります。

 これは過失犯なので、特定の人への侮辱を増幅させようという故意はいりません。 

 ただ、自分が影響力を持っていることについては自覚している必要があり、かりに自覚していなかったとしても、自覚していないことに相当の理由が存在しなければ、罪に問われます。

 過失犯なので、刑の期間は短いです。

 また、現代では計算社会科学の発展によってSNSを分析することが容易になっているので、煽る行為と炎上との関係を客観的なデータで証明することが可能だと思います。

 誹謗中傷を増幅させることは危険な行為なので、罰する正当性はあるでしょう。







 提案はここまで、です。

 もちろん、趣味の範囲で考えているだけだから、瑕疵はたくさんあると思います。






 でも、我ながら、侮辱の常習性を要件にすることにより、表現の自由を侵さないようにしながら厳罰にするというアイディアは、有用なのではないか、と思います。

 だって、うっかり侮辱してしまうことはあったとしても、それを何度も繰り返すならば、より悪質で、うっかりとは言えず、それはもはや表現の自由の範囲を逸脱しているのだから。







 みなさんは、どう思いますか?

 っていうか、法律用語をたくさん使って、ごめんなさい🙏

 マウントしてるわけじゃないです。刑法を面白がってるだけの、ただのフリーター(現在、無職)です。







 僕は個人的に、いまのネットの雰囲気が好きじゃないので、

 もうちょっと温かい場所になってほしいと思います。







 もしも、このnoteをたまたま読んだ国会議員の方などいましたら、

 国民のひとりの意見として、どうぞ、参考にしてくださいませ。