ワクチン接種日記1
【9/21(火)】
都内の某区役所の集団接種を受けてきた。コロナのこととなると、行政の打ち立てるものすべてに「SFっぽい」雰囲気がついて回る。
問診と注射のための医療カーテンがずらりと並んでいるのは、壮観な眺めだった。マンモス保健室という感じだ。しかし写真撮影はNGだった。残念。いろいろ面白かったのに。
案内係の人は皆、清潔感のある明るい声。アトラクションや映画館で誘導されている気分になる。悪いことではないのだけれど……プラスのオーラに気圧されそうになり、わたしは早々に心を閉ざしてしまった。
手で方向を案内されながら「あそこに立っている水色のジャンパーを着ている人に、この書類を見せてください」と言われた。そちらを見るやいなや、まっすぐ、天をも衝くかというほどの勢いで手をあげてくれる。こちらはもう、「あ、はい……」と言うよりほかない。
照明がバキバキのショッピングセンターから早く立ち去りたくなるのと似た衝動に襲われた。しかし、ここで逃げたら「単に注射が嫌いな人」みたいだし、わざわざバスに乗ってまで来たのにもったいない。
というわけで、書類チェック→問診→注射→接種券のシール貼付→待機室……と各ブースに案内されながら、拍子抜けするほどスムーズに接種は進んでいった。まるでベルトコンベヤーに乗った弁当箱になった気分。いろんなものを詰め込まれていく。中身はシステマティックなのに、打つまでのプロセスが複雑怪奇すぎる。
繰り返される、同じ言葉、同じ動き。全体的に、星新一の作品に出てきそうなのだが、接種直後からの眠気と腕の痺れや鈍痛により、頭には「弱いロボット」しか浮かばない。心を閉ざしていたのは関係ない。ほんとうに眠い。いつもよりひどい倦怠感(常に疲れているので、「いつもと変わらないですか」と聞かれて「はい」と答えた)。
ワクチン1回目の当日は、酔っぱらったみたいで楽しかった。しかし、そんな快楽は、ただの泡沫に過ぎなかった。
そもそも、この記事を何回かにわけて書くことになろうとは思わなかったのだが………続きは、次回更新。
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