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みんな、自分のことすら考えていない

あなたは覚えているだろうか。2020年、「経済を回そう」と言っていた。一方で、それがたとえ善意の発露であっても、広告の人というだけで疎ましく感じた人も少なくなかった。むしろ(周りには反対していた人しかいなかった)という人もいるかもしれない。

そのぶつかり合いは、何も生まなかった。何も、というのは大げさな言いぶりかもしれない。しかし時がたてば、みんな自分のことしか考えられなくなる。これを読んでいるあなたが、どっちの立場でも良い。つまるところ、どちらも善意という正論のぶつかり合いだった。それを思い出してほしい。

この図式は、Twitterでの騒動にも似ている。Twitterのタイムラインは恣意的な様式下にあるという前提が共有されていたはずだが、どういうわけだか、みんながどんどん忘れていってしまった。(※恣意的という場合、最新順だろうと、トレンド順だろうと、どちらも恣意的なものになる)

ところで、さらに昔の話になるが、この広告関係者による善意のムーヴメントの発端は東日本大震災にある。作ったものが全否定され、何もできないという無力感を、忘れる前に再度味わってしまったのだ。その絶望感たるや。

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