見出し画像

病院で心を折られ続けて四半世紀

病院で、薬の使い方と病気の説明が載っている冊子を渡されることがある。あれは便利。家に帰っても、およその症状を確認できる。最近は特にデザインやイラストにも気合いが入っている。ありがたいが、医師の裁量で扱いが大きく異なり、ときどき厄介なことが起きる。

この記事は特に、メディカル系の広告・販促ツールに携わる制作会社の人、製薬会社・病院の広報の人に読んでもらえるとうれしい。

パンフレットに頼っている医師も少なくないようだ(と、たまにしか受診しないのに思うから、かなりの確率)。制作側へのお願いは一点。その病気が「〇〇な人がかかりやすい」としても、他属性の罹患も想定して作ってもらえないだろうか。

特に、パンフレットの登場人物の設定。目の前の患者とギャップがあることも多いはずだ。仮に、その病気で受診する【3割】が中年男性だとすると、残りの【7割】は違う属性だ。しかし、パンフレットでの設定は、しばしば【3割】の人が選ばれる。

実はわたし、とある症状について慢性的に発症と寛解を繰り返している。このパンフレットや医師の傍若無人な態度によって、病院に行く度に心が折れて通院しなくなるパターンを繰り返してきた。

すぐ死ぬような病気でもないが、発症した頃にデビューしたアイドルの映像を見ていると、恐ろしいことに気づいた。(もう25年……アレ? あの頃から続いてるって、生物組織としてマズいのでは?)と。意を決して先日行ってみたら、今回も10代の頃のように、雑なことを言われた。

目の前の患者とを埋めようとする医師もいるが、その冊子に書いてあることに乗っかってしまい、人の話をまったく聞かない医師もいる。

患者が話を聞いてほしいのは、カウンセリングを受けたいのではない。改善策が聞きたいだけだ。それなのに、吸ってもないタバコのことや、遊んでもいない恋人のことなど、勝手に話を膨らませてくる。

わたしはもう、それぐらいでは心が折れない。勝手なことを言う医師を眺めながら「これで診察と呼べるのだから、不思議な仕事だな」と思うぐらい。ただ、そこで配布されたのは、昔と変わらず……いや、もっとキャッチーに作られていたせいで、より胸に刺さるパンフレット。

これには失望した。あの頃と、1ミリメートルも変わってない。発行元の製薬会社は多様性とか色々言っているのに。コストの問題でキャラクターの数が増やせないなら、文言で補うなど、やり方考えないと。わたしよりもっと若い人が、またくじけてしまう。そうさせたいなら、いいんだけど。

ここから先は

0字
広告にまつわる色々な文章が読めるマガジンです。ものを「売る」「得る」ためのフィクションとして広告をとらえる批評含むコラム。Twitterのスペースで話したことをまとめる記事もあります。1記事100円で単体販売したり、一部を無料公開したり。9月後半から、本格的に再始動しました。

ものうる人びと

¥300 / 月 初月無料

編集出版・代理店・制作会社・法人広報・生活者として……いろいろな立場で広告に関わってきた著者による、広告にまつわる色々なテキストが集まって…

もしもサポートいただけたら、作品づくり・研究のために使います。 よろしくお願いいたします。