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天国への扉は見つからくても、日々の糧を得られることを祈りたい

昨年の話。noteでは「天職だと思った瞬間」という投稿を募集していたのを覚えているだろうか。提供元は日経新聞で、なかなかの数が集まっていた。そりゃ日経だから当然のお題だろうが、そんなにみんな「天職」って思えるものなんだと、単純にすごいと思ったものだ。茶化したいわけでもなく、いや本当に……年が明けても、気持ちは変わらず。お蔵入りしていた記事を再び書いている。

いつもギリギリのわたしは「天職」とは無縁だ。特に若い人で「天職」が見つからないと焦ることもあるだろう。この記事では、見つからなくても生きられるという生存報告をしたい。

かつて失業給付を受けたことも、謎フリーランス業時代もある。いちばん長かったのは派遣社員だったが、ここ数年で正社員期間が盛り返している。(もしかしたら、また繰り返す可能性もあるわけだが)

職種はいろいろで、法律事務員→編集アシスタント→ライター→アシスタントディレクター→ディレクター→広報という遍歴。お察しの通り、履歴書は自作しないと罫線が足りない。雇い主から「頼むからもうやめてくれ」と言われた法律事務所を除き、ほぼ制作系の会社だ。

制作会社から事業会社に移って、自覚したことがある。「変わってるよね」と言われながらマトモな人っぽく働けてたのは、有象無象があふれる場所で、自分の異常さがカモフラージュされてたから。

この記事でカバー写真にしたのは「遅延証明書」だ。今の職場は、これがないと遅刻が許されない。いや、あったところで「勤務時間変更願」的な書類を出さなくてはならないし、後出しすると注意対象になる。(あぁ、ちょっと頭痛がするけど、薬飲んで満員電車じゃなかったら普通に働けるな~)という日も、何がなんでも、時間通りに行く必要がある。わたしは今までの人生、そんなすごいことを達成できた試しがない。

綱渡りのような毎日も、そろそろ1年経つので(誰かほめて……)と思っていたら、複数の人から「え? 普通じゃない?」と言われてしまった。

それは一理ある。

自分にとって当たり前の日常を送っていると、自分は普通ではないことを忘れてしまう。おそらく生涯叶わぬことだが、普通になりたい。

一方で、天才でもない自分は「天職だと思った瞬間」を味わうこともないだろう。

何らかの形で日々の糧を得られているのは、自分の力だけではないと思う。鉄の無神論者にもなれない代わりに、信仰告白もできない自分ですら、そのことに関しては祈りを捧げたいと思う。めぐり合わせと呼ぶしかない。

もし社会に出るにあたって(自分が普通じゃないっぽい! どうしよう!)と思ったら、制作系の会社も視野に入れてみてはどうだろうか。大小いろいろな組織があって、芸術系の学校を卒業してないとダメって会社ばかりでもない。職種も意外と色々とあるし、営業は引く手あまただ。特におすすめはしないし、天職だと思えるかもわからないけど、普通の人がいうほどには、変な世界とは限らない。あなたにとっては居心地が悪くない可能性はある。

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