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「オタクじゃないけど」記念日

正確な日付はわからないのですが、わたしには「オタクじゃないけど」という論法を初めて使った日がある。

中学生の夏。初めて渋谷を友人だけで訪れた日のこと。裏でわたしは、同日の別のイベントの誘いを断っていた。今から思えば、イベントはコミケ的な催しだった。

自宅が裕福だったら、どちらにも行けたかもしれない。悲しい話でもあるが、いずれにしても当時の自分は、どちらかを選ぶ必要があった。

ファッション雑誌の特集「明治通りお買い物MAP」のキリヌキを忍ばせて、「トラコンのリュック」を目指して進んだ。覚えているだろうか、ナップザック的なナイロンリュック。今は亡き「TRANS CONTINENTS」のアイコン的存在。

買い物を終え、友人と宮下公園で蚊に刺されながら、ふと思い出した。行ったかもしれないイベントはどんな場所だったのか。この日、「オタクじゃないけど、好き」という逃げ道が生まれた。後年、オタク vs サブカル論争などに巻きこまれない、便利な態度として使ってきたのは言うまでもない。

その後。イケてる側にもなれず、サブカルやバンドの渦に突入した。が、結局どこからもはみ出した。ずっと半端者だ。同年代の(特に女性)、思春期からずっと「自他ともに認めるオタク」として生きている人に会うと、尊敬の念を抱く。

だが最近、Twitterのタイムラインの間隙を狙って「とら婚」のプロモツイートが増えている。「トラコン」という響きに「TRANS CONTINENTS」を思い出して、複雑な気持ちになる。しかも、サービスを絶対に利用しないのだ。リタゲを外してほしい。

ちなみに、物理的な時間がないのも手伝って、最近はTwitterは開いてすぐ見えるツイートしか追っていない。プロモの件も設定を変えれば、どうにかなるはずだが、メンテすら不毛に感じる。イーロン・マスクさん、買収してもしなくても、どっちでもいいです……! マジで。


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