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「世界中の食を楽しんできた僕が、カレーを作るまでの物語

ファッションバイヤーだったのになぜ?
僕はMADE IN WORLDという裏原宿のセレクトショップでファションバイヤーとして、20年以上アメリカ49州・世界12ヵ国を旅して来ました。その中で自分のもう一つの楽しみは、各国の郷土料理や名物料理の食べ歩き。好きになると、どんどん興味が湧いてくるもので、気が付くと、世界中の料理を探求している自分がいました。


長年旅をした中で大きな発見がありました。日本料理の様に出汁を大切にする文化とは別に、素材の旨味を存分に味わうインド料理との出会いがあったんです。その振り幅の広さと奥深さに今までの料理の概念が一転。時間があればカレー屋さんを廻るのがライフワークになっていました。
特に毎週のように通ったのが今はなき原宿のカレー有名店。僕のインドカレーの原点はあの場所なんです。

カレーが好きすぎて毎日食べたい!!でも食べられない、、、さぁどうしよう?
大好きなカレーを食べるほど気付いたことがありました。いくら美味しくても食べ続けると身体に負担がかかると感じたんです。
それでも「毎日食べたい!」「体が弱っている時でも食べたい!」
そんな期待に応えるカレーがあってもよいのでは?これが僕のオリジナルカレー開発のスタート地点です。

毎日食べたくなる最高のカレー作りへ!
ここから油分、塩分を見直し、スパイスにこだわったカレー作りが始まりました。
インド料理に向き合い始めた頃、スパイスを使った調理方法に魅了されました。出来上がったカレーは非常に良い優しい香りでしたが、お皿にはホールスパイスが残って食べづらく、満足できるものではありません。またあれもこれもと種類を多用しすぎていたのも美味しくない原因だったと振り返ります。
カレーを作る過程で全てのホールスパイスを取り出そうとすると、なかなか骨の折れる作業になるんです。共感されるかた、多いのではないでしょうか。
僕ももれなく、その一人でした。なおかつ最後まで残るスパイスが仕上がりに影響するので、簡単に排除できない日々が続きます。


スパイスを自分なりの理想のかたちでコントロールできるようになるため、とにかくスパイス料理を作る実験の日々が続きました。自分の体臭がどうにかなってるんじゃ無いか?と思うような、昼も夜もスパイス漬けの生活です。
たくさんの料理を作ったり色々なお店を食べ歩くなか、インド料理の同じメニューでも出身地の違いは勿論、シェフによる個性が際立つことに注目しました。今でこそスパイスカレー、インドカレーそして日本人の作る老舗カレー店などそれぞれのアプローチは明確になっていますが、当時はハッキリとした区別もなく、自分には目からうろこでした。そこで思ったのは、インド料理におけるスパイスの扱いはこうではいけない、その固定概念に縛られることなく、リスペクトを持ちつつも自分らしいやり方を構築するということでした。
独自のスパイスの調合に加え、ホールスパイスを残さず食べやすくしようと試作を重ねた結果、テンパリング(スパイスを油で炒めて、その香りを油に移すことを指します)したスパイスと炒めた玉ねぎ全てをミキサーにかけています。
なめらかで舌触りを損なわないスパイス使いでありながら、十二分に香りを楽しめる配合が特徴です。
インド料理の伝統と自分らしいキャラクター。丁寧に油分・塩分を調整し、スパイスの優しく良い香りを出す。そこから毎日食べたくなる味がうまれる、、、
結果インドカレーとも日本カレーとも違う僕だけのカレーが出来上がりました。
それが、、、
シグネチャーメニュー「レモンチキンカレー」。コクのある爽快感とスパイスか身体に染み渡ります。


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