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東京夜散歩 第五夜「雨降る中の中野」

只今私は自宅のトイレの便座に腰掛けスマホでポチポチと文字を打ち込んでいる。

現在は2024年の6月、書き始めてから書き終えるまでに2ヶ月近くかかってしまった第四夜を書き終えた直後、このペースではどんどんとストックが溜まっていってしまうだけだと危機感を覚えた私は、とりあえず冒頭だけでも書いておこうと思い取り急ぎこうして筆をとっている。

現在までに深夜散歩は9回行われており、8月31日にはそれが11回に増える予定である。つまりはあと2ヶ月半位の間に7本の記事を書くことができればストックを全て消化できるけれども、確実にそんなペースでの執筆は無理だろう。

別に趣味で書いてるだけで、締め切りどころか自分が後に見返して懐かしむ以外のさしたる目的すらないのだから、自分が飽きない程度に無理せず書けばいいだけなのだけなのだ。

しかし、あまりにも散歩のストックが溜まってしまうとそれはそれで書く気力が失われてしまう可能性が高い。

やはり多少は締め切りというか、執筆期限的なものを自分の中で儲けておいた方が私のようなタイプは良い気がする。


0時05分 吉祥寺駅

この日は雨が降ったり止んだりで、他の日にするかイチかバチかに掛けて強行するかを出発直前まで迷っていた。

しかし出発時間10分位前になって雨がほぼ止んでおり、さらにはいつも私が使っている10分天気アプリも朝までほぼくもりの表示だった為に日程変更をせず出発を決めた。

南越谷駅から武蔵野線に乗り西国分寺で中央線へと乗り換え吉祥寺駅で下車。

吉祥寺駅で下車したのは少なく見積もっても20年以上ぶりで、尚且つ昔来た時も吉祥寺パルコで働いていた友人とご飯を食べに行く約束をした時、待ち合わせ時間までの暇つぶしに吉祥寺をちょっと散策した程度。

なので私は井の頭公園にも行った事が無くほぼ土地勘は無い。

その為今回吉祥寺駅を降りた時も懐かしさは皆無で、むしろ初めて訪れる駅を降りたような感覚だった。


駅を降りると早々に問題が発生した。

家を出た時よりもかなり雨脚が強まっており、とても傘無しでは歩けそうになかった。

しかし家を出た際には殆ど雨が止んでおり、そのまま止むものだと高をくくっていた私は傘を持ってきていなかった。今考えれば天気を舐めすぎていたと思う。

駅前は深夜だと言うのにたくさんの人々がおり、バス停にもご覧のように長蛇の列&バス車内も混んでいた。

さすが吉祥寺。

仕方がないのでドン・キホーテに立ち寄り傘を買っていく事にした。


それにしても吉祥寺駅周辺には深夜だと言うのに営業しているラーメン店が多かった。

店頭にまで人が居たため撮影はしなかったが、ドン・キホーテの向かいには家系ラーメン店の武道家がありかなり賑わっていた。

そう言えば武道家ではラーメンを食べた事が無いのでいつか行ってみたい。


駅前の裏路地を抜けてまずは線路沿いを目指して歩いて行く。

深夜の吉祥寺駅周辺は酔っ払いもいればガラの悪い人達もいたりで、ちょっとだけこういう道を歩くのには緊張するが、幸い雨の影響あってか裏路地には人影が無かった。


以前の散歩でも見かけたスーパーマーケット リコスを発見、入ってみようか迷うも雨だったのもあり傘を開いて閉じてするのが面倒臭かったのでやめた。

こちらの通りは弁天通りと言うらしい。

草加にも弁天と言う地名があるが、恐らくは両方とも地名の由来は弁天様なのだろう。

少し進むと中央線の線路に差し掛かった、ここからは可能な限り線路に沿って歩いて行く事になる。

こんな感じで線路沿いに道があると回り道をせずに済むので有難い。

傘を差さずに歩いている方も居るが、小雨は降っている。


なんか香ばしいチラシが貼ってあった。

この時間に葬儀屋さんの前を通りかかるのは若干の不気味さを感じる。


ふぁみきちと言う、ファミチキみたいな名前のお店。

ただおうちバルなんてついているのも見るに、多分だけど「ファミリーの基地、を略してふぁみきちです」みたいな感じの由来でファミチキとは関係無さそうな気はする。


吉祥寺駅前は深夜でも賑わっていたけれど、数百メートルも歩くと住宅街でほぼ人気は無い。

第一回で小田急線沿いを歩いた時と同様、駅の間は恐らくほぼ住宅街で特筆すべき物は無さそうだ。


ここら辺のエリアは割と古いアパートや戸建て等も多く、私が思い描いていた吉祥寺の住宅街とはちょっと違っていた。

もっともここら辺は荻窪との間なので、私がイメージする吉祥寺っぽい住宅街も別のエリアにあるのかもしれない。


西荻窪駅へと続く線路沿いの道、街灯には「SHOUAN STREET」との記載があった。

少し通りを進むと、遠くの方に駅前っぽい賑わいが見えて来る、

思っていたより吉祥寺駅から西荻窪駅は近かった。


西友を横目に駅へと向かう。

やはり西荻窪駅前の西友も24時間営業だった、と言うか西友の魅力なんて24時間営業とPB商品がイオンよりも大分マシ位しかないもんね。

ビニール袋で6円も取るようになっちゃってベルクの社長が言ってたよ「ビニール袋なんてどう考えても5円もしない」って、西友前は5円だったのに味占めて6円に値上げしてたし…と、西友を見るとつい悪態をつきたくなってしまうけれども、ちょくちょく利用させて頂いてる(気遣い)んだから余り悪く言うのはやめておこう。


0時50分 西荻窪駅

吉祥寺駅到着から45分、距離が近かった割に大分時間が掛かってしまったけれど、ドンキに寄ったりしてたから仕方がないのだ。

マクドナルドは営業終了していた。

コロナ過前は都内のマックは24時間営業の店が多かったけれども、現在では24時間営業しているお店は少なく、24時間営業していても深夜はテイクアウトのみで店内利用は出来ないお店も多い。

以前深夜のマック店内はドリンク1杯でずっと居座って始発待ちする若者や冬場に暖を取るホームレスとかが問題になったりもしていたので、そういうのに対策する意味合いもあるのだろう。

再び中央線高架沿いの道路を進む。

ところで新堀ギターって割とそこら中で見かけるけど全国で何店舗位あるんだろう?


雨は強まったり弱まったりで、それに合わせて私達も傘を閉じたり差したりを頻繁に繰り返していた。

確かこの時は弱まったので傘を差さずに歩いていた気がする。


iphoneでLEDの街灯を取ると恐らくは自動補正の影響で変に明るく撮れてしまうのだけど、もう少し自然に撮りたい場合はどうすれば良いのだろうか?

これはこれで光魔法っぽさもあって嫌いじゃないんだけども。


以前とあるYoutuberの方が西荻窪飲食店を訪れる動画でこのアパートの前を通っていた。

その時に昭和感があって雰囲気が素敵なアパートだなと私の中で印象に残っており、今回意図してこのアパートの前を通ろうとした訳ではないのだけれどもたまたま通りがかった時に強い既視感を感じた。

その後記憶の糸をしばらく辿ると「あああの動画の!」と点と点が線で繋がったのである。

佐川急便の営業所が高架下にあった、当然この時間でも流通業界はフル稼働で普通にスタッフの方は働いていて少し頭が下がるような思いがした。

街灯に上荻本町通りの記載を発見、店舗等も見えて来てそろそろ荻窪駅が近そうなのを街並みから感じる。

ステンドグラスがオシャレかつレトロな建物。


先程までは高架だったが、ここら辺で中央線の線路は地上を走るようになっていた。

駅付近の線路には点検用?の列車が止まっていた。


荻窪すずらん通りのアーケード、時間が時間だけにひっそりしていたけれども、昼間だったらきっと割と賑わっているのだろう。


1時21分 荻窪駅

ここで階段を上って駅の反対側へと渡ることにした。


ずっと雨の中を歩いていた為、少しの間だけでも屋根のある場所を歩けると言うのは精神的に癒される。

荻窪駅は平成初期の雰囲気、つまりは私が子供の頃に見ていた駅の雰囲気があって懐かしい気持ちになった。

駅の反対側に出て見ると、思っていたよりも遥かに発展しさらには綺麗に整備されている駅前にびっくりした。

私は西荻窪も荻窪も来るのは初めてで、荻窪駅前も西荻窪と同じような感じなのだろうと思っていたから余計にである。


雨が降っていなければそこの椅子に腰かけて小休止したかったのだけれど、生憎の空模様なので立ち止まる事はせず先へ進む。


ここを歩いていたらなんとなく武蔵溝ノ口駅前を思い出した。


上から駅前の大通りを撮影した様子がコチラ、荻窪駅前は先ほどの西口よりもこちらの北口エリアの方が大分発展している感じだった。

駅前の木々はライトアップされていた。

2月でこんな感じだと一年中ライトアップされているのだろうか?それとも冬場だけだろうか?


春先以降は花が植えられるんであろう花壇らしき場所もライトアップされていた。

それを考えるとやはりライトアップは冬場だけな気がする。


気になるラーメン屋があったが、残念ながら既に閉店していた。


ここから少しの間だけ青梅街道を歩いた。

中央線の線路を渡る天沼橋の縁には誰が書いたのかわからないが(もしかしたら記載があったのかもしれないが見落とした)絵が描かれていた。

絵のタッチから察するに地元の小学生もしくは中学生辺りなのだろうと思う。


少し先に進むとやよいビルと言う昭和な雰囲気漂うビルがあった。

さらにその先で横断歩道を渡り、再び中央線に近づこうと住宅街を歩く。


どこを曲がったのか全く記憶に無かったのだけれどもこの写真を見ると、どうやら文大杉高前の信号の所で左折をしたのだと判明。

途中で右折し阿佐ヶ谷方面へ、少し歩いていると立派な松の木が目を惹いた。

若い頃は松の木になんて全く興味が湧かなかったのに「しっかり手入れされてて凄いなあ」なんてこの時つい見てしまった。そういう時にああ年を取ったなあなんて感じる。


レトロなコインランドリー。

そう言えば私が一人暮らしを初めた時、家に洗濯機が無くて10カ月位はコインランドリーを使っていた。

それからしばらくして年始のセールで19800円で売ってた洗濯機を購入し無事家で洗濯が出来るようになったんだけど、あの頃はその他にも毎月のバイト代で少しずつ生活家電を増やしていってた。

RPGゲームで装備を整えてるみたいでなんだかんだ楽しかったなあ。


多分居酒屋「かくれんぼ」と読むのだろう。

なかなかパンチが効いた店名だけど一見さんはとっても入りづらそう


こういうゆるい感じのパン屋さん、好き。


阿佐ヶ谷駅に近づくとお店が増えてきた。

ここら辺はチェーン店じゃない飲み屋がとっても多いので、お酒好きの方には天国のような街なのかもしれない。

逆に、一切お酒を飲まない(飲めない)私とは相性が余り宜しくない。


線路沿いの道も飲み屋がたくさん。

裏の方のお店は営業終了してるお店の方が多かったが、ここら辺だとまだ結構看板の灯りがついていた。

こちらが駅前の様子、YORKFOODSと言う多分ヨークマートの系列なのであろうお店があった。

都内だけど、この建物からはどことなく地方都市のような雰囲気を感じた。


2時1分 阿佐ヶ谷駅

そんな訳で本日3つ目の駅に到着。

真冬で尚且つ雨も降っている中歩いていた為、割と体力を消耗しており、友人と「何かお店があればちょっと寄って温まって行こう」と言う事で意見が一致する。


すると富士そばを発見。

冷え切った身体に暖かいお蕎麦…

そんな誘惑に堪らず即入店を決意。

と言うか深夜なのでそもそも選択肢がそんなに無かった訳だけど。


私が頼んだのは紅ショウガ天そばに温泉卵トッピング。

ショウガも身体を暖めてくれる効果があるのでそういう意味でも良いチョイスだった。

ささっと美味しく頂いて身体を暖め先を目指す。


次の駅に向けて駅前の商店街に入る。

そう言えば阿佐ヶ谷には19歳位の頃だったかに一度だけ来た事があるのを思い出した。

たしかこのアーケードのどこかの地下にライブハウスがあって、そこで知り合いがライブをやるからと観に行ったんだった。

けれどその友人とはそこまで仲が良かった訳でも無かったのもあり、ライブを見に行ったのも一度きりでその後すぐに疎遠になってしまった。

彼は今どうしているのだろうと少し考えたりもしたのだが、そこまで深く考える程には興味が湧かなかったのでそんな考えはアーケードの中を数歩歩いているうちに頭の隅に追いやられてしまった。


線路沿いの道を高円寺方面へと歩いて行くと、こじんまりとしたバーや小料理屋が通り沿いに立ち並んでいた。

先程も申し上げたように私はお酒を全く飲めないので、友人の付き合い以外でこの手のお店に入った事は無いのだけれど、私のツボに入るような外観の店舗が幾つかあって入って見たいという好奇心が沸く。

しかしながらこの手のお店でソフトドリンクを頼むのは気が引けるし、お店の側からしても「金にならねえ客が来やがった」と煙たがられる可能性が高いだろう。

やはり入らないに越した事は無い。


この落書きを目にした瞬間

「ああ高円寺はもうすぐか」

なんて事を考えた。

バッテンで消されてる落書きは単にヘタだからバツを付けられたのか、それとも対立している派閥とかそういうアレなのだろうか?


ここら辺で高架の真下に道があったので雨宿りがてらそちらを歩く事にする。

果たして歩いて良い道なのか若干躊躇うような道だったものの、前を歩いている人が居たので続いて歩く。

途中ここでお仕事をされていると思しき方ともすれ違った物の何も言われなかったので大丈夫そうであった。


道なりに歩いていたら高円寺高架下の飲み屋街が見えて来た。


高円寺駅西商店会の案内図。

隣の阿佐ヶ谷同様にこちらも個人経営の飲み屋がとても多く、昭和感があるレトロな雰囲気が堪らない。

ちなみに今回も同行している友人は数年間高円寺に住んでいたので、割とこの辺りの地理には詳しい。


すなっく とんちん館

この店名も良い意味で古臭くて高円寺らしさを感じぐっと来る。


オレンジ色の柱は、2023年3月のストリートビューではまだオレンジ色に塗られていなかった。

割と最近塗り替えられたのだろう。


駅前アーケード商店街。

数年前ここの中にあるゲームセンターでクレーンゲームをやってたんだけど、2000円位使っても取れず、尚且つ途中から親子連れがずっと真横に立ってただ順番待ちしてただけだから仕方ないと言えば仕方ないんだけど、それがプレッシャーで、取れないのもあって滅茶苦茶イライラしたのを思い出した。

もうちょっと離れて待てよと、そんなに最新の人気商品でも無いんだし万が一私が取ったとしても別に1個取れれば満足してどくんだから店員に言えばまた新しい奴おいてくれるだろと。

あくまで私個人の意見なのだけれど、少なくとも私は真横でずっと見られて本当に嫌だった。

2時45分 高円寺駅

そんな訳で3時間近く歩いてやっと高円寺駅に到着、第一回目と比べると大分ペースが遅いようにも感じるけれど、ドンキで傘を購入したり、富士そばで休憩したり、そして何より雨が降っているのが原因である。


高円寺純情商店街のアーケード。

私は中学受験をしたのだけれども、その時にねじめ正一さんの同名小説が何度か国語のテストで出題され、それで高円寺と言う地名を知った。

高円寺駅周辺は深夜3時で尚且つ雨なのもあり、人通りはまばらだった。

何度か昼間には来た事がある高円寺、けれどこの時間だと街の雰囲気自体が全く違うのだ。もっともそれはどの街でも同じだろうし、そもそも私が夜に出歩いたり飲みに行くような習慣と無縁だからそう感じるだけである気はする。

とりあえず線路沿いの道を中野方面へと歩く。


こちらは以前TV東京系列の大食い大会で良く収録が行われていた桃太郎すしの高円寺本店。

当該大会で優勝し現在は大食いYoutuberとしても活躍しているMAX鈴木さんが初めて大会に出場した時の予選がこちらのお店だった。

その時にレジェンド大食いファイターであるジャイアント白田さんがこちらのお店で食べた皿数と同数を食べていた(ただし実況者等にあと〇〇皿でジャイアント白田さんと同数だぞ!等と煽られて大分無理をしていた感じはあった)


なんか気になる家系ラーメン店を発見、調べてみたらなんと上の桃太郎寿司と同じ会社が運営しているラーメン店らしい。

それを知った瞬間に「ああ!だから鬼なのか!」と合点が行った。


大通り側を歩いていた私達だったが、壁に書かれたこの絵が気になって高架をくぐり反対側へ。

落書きなのかきちんと(?)描かれた絵なのか判断に迷うが恐らくは後者だろう。


無数の落書き&自主制作ぽいステッカー。良くも悪くも高円寺っぽくはある。

探してみたが残念ながら近藤秀明さんのステッカーは無かった。


建物の壁もご覧のように落書きだらけで悲惨な事になっていた。

落書き自体を擁護するつもりは全く無いが、桜木町に行った際にはガード下のクオリティ高いグラフィティを眺めながら歩くのが好きだったので、その手の物が無いのが単純に残念だった。

もっともこの場所だとじっくり腰を据えて描けないのだろうけど。


高円寺駅入口の交差点、環七を横断する。

とってもレトロで雰囲気ある美容室があった。


まだ高円寺駅から数百メートル程しか離れていないのだけれど、一気に通り沿いが寂しい雰囲気に変わった。

年季の入った建物が多いのもあって昭和にタイムスリップしたような気分になる。

実際ここら辺の建物の半数以上は私が子供の頃には既に建っていたんじゃないかと言った外観をしていた。


建物だけじゃなく道路に描かれていたキャラクターもなんかノスタルジックだった。


杉並区立たかはら公園の前に設置されていた道案内の看板にも同じマスコットキャラクターが描かれていた。

後で調べてみたところ、こちらは杉並区のゆるキャラで「なみすけ」と言う名前。

スギナミザウルス島に住んでいた妖精との事。

この時間にこの高架下は、入るのに躊躇うような雰囲気を醸し出していた。

ちなみにこの高架下辺りが丁度区の境になっておりここから中野区に入る。


中野区に入って最初に遭遇したのがコチラの銅像。

詳細は不明だけど多分お店のマスコット的な物だろう。


少し先に進むと何やら香ばしい貼り紙。

そう言えば先ほど吉祥寺駅前でも香ばしい貼り紙を見かけたけど、中央線沿線はそういう何か風土でもあるのだろうか?


その次に見かけたのが恐らくは畳屋さん。

ここら辺はやっぱり昭和を彷彿とさせる色んな物に満ち溢れている。


薄暗い高架沿いの道をしばらく歩いていると、遠くの方に明かりとクレーンが見えて来た。

あそこが多分中野なのだろう、次の目的地が間近に迫ると少しだけ歩みが早くなってしまう。


明治大学中野キャンバスは深夜に見ると重量感がある。


中野駅周辺は工事中で駅周辺の道も同様だった。

その為自転車置き場の中を通って中野駅へと向かう、こんな時間にも関わらず工事をされている方が自転車置き場を行き交っていた。


自転車置き場を抜けると駅前広場へと出る。

目の前に見える大きな建物はみなさんお馴染み中野のシンボルである中野サンプラザ。


工事で使っているパイプにキティーちゃんが付いていた。

キティーちゃんは何とでもコラボしてて凄いと思う。


帝京平成大学の中野キャンパスもあるようだ、後は昭和大学と大正大学も中野キャンパスに来てくれればコンプリート…

なんてくだらない事をつい考えてしまった。


ライトアップされたクレーンを間近で眺めていると、RPGゲームのボス戦を前にした主人公パーティーのような気分になった。

そう言えば龍が如く7では実際にクレーン車がボスとして登場してたよね。


中野駅前は高円寺駅前と違い飲み屋が駅周辺に固まっている訳でも無いので人影は皆無。

3時13分 中野駅

私にとっては人生で2度目の中野駅、前回来た時は昼間に中野ブロードウェイを見に来たんだった。


駅舎の壁にはメルヘンと言えばいいのか不思議な世界観の絵が描かれていた。


不思議な絵はそのままずっと線路沿いの壁に続いて描かれている。


高円寺駅も駅から数百メートル離れるとレトロな住宅街だったが、中野駅は数十メートルでこんな雰囲気である。



壁の一部には落書きがされていた、しかし絵が描かれておらず単に青くなっているだけの場所に描かれているのは彼等の唯一の良心だろうか?

それとも落書きする為にここに書かれていた絵を青く塗ったのだろうか?

多分良心だと思いたい。


この時間に眺めるには少し不気味に感じるような絵も一部には描かれていた。


その他抽象画っぽいアートがあったりと、美大系の学校の学生が描いたっぽい絵が線路沿いにずっと続いている。


先程の壁はベースカラーが青だったが、ここら辺はベースカラーが黄色。


しばらく線路沿いを歩き、こちらの高架をくぐって線路の反対側へ。


ここら辺は完全に住宅街で人っ子一人歩いていない。

ただし真冬で雨で深夜3時半なのだから、逆にこんな住宅街を歩いている人が居たら少し警戒した方が良い状況なのでむしろ誰も居ない方が有難い。


住宅街を進むとレトロなパン屋があった。

電話番号の表記等から察するに恐らく数十年前にはとっくに廃業しているのだろう。


ここら辺の建物も半数位は昭和の頃から変わって無さそうな雰囲気である。


レトロな雰囲気の住宅街を抜け再び線路沿いの道へと戻る。

ここら辺は新しめのアパートやマンションが建っていたり、遠くにはタワーマンションが見えたりでレトロ感は無くなった。


3時41分 東中野駅

人生で初めて東中野駅にやってきた、数十年生きて来て初めて訪れた東中野。駅前は開いているお店等も無く駅舎とその周辺のターミナルが立派で近代的なのと対照的に少しさびしい雰囲気だった。

ただし昼間は駅ビルのお店も営業しているだろうからきっと普通に賑わっているのだろうが、明確な目的でも無ければフラリと訪れるような街では無いだろうから私が今までの人生で訪れる機会が無かったのも当然と言えば当然なのだ。

しかし人生とは不思議な物。

2か月後に叔父が亡くなり、私は叔父の告別式に出席する為に再び東中野を訪れる事となったのである。

もしかしたらこの時通りがかったのが虫の知らせ…なんてのは考えすぎだろう。


駅前に「映画監督小林悟ゆかりの店」との記載があるRizと言うお店があった。どなたか存じ上げなかったのだがWikipediaによると

小林 悟(こばやし さとる、1930年8月1日 - 2001年11月15日)は、日本の映画監督脚本家である。ピンク映画の初期からメガホンを取り続け、450本以上もの作品を残した。日本における、「35ミリフィルム」を使った劇場映画の監督本数としては史上最多であり、海外でもこれを超える記録は確認されていない[2]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E6%82%9F


との事だった。



山手通りを少し南下していく、本来は少し歩いたら左折して小道に入る予定だった。

しかし歩く予定だった小道に差し掛かかり曲がろうとするも、その先に車のヘッドライトが光っているのが見えた。

小道は車2台はすれ違えない位狭く、時間帯も考えるとあの車と至近距離ですれ違うのは色んなリスクを考えると避けたい所である。

なので1分程車が発進しないかをこっそりと待ってみたのだが、一向に車は発進する様子が無かった。

仕方がないので少し遠回りになるが山手通りをしばらく南下し、大久保通りで左折してゴールを目指すルートに切り替えた。

遠回りと言ってもたかだか数百メートルの話だしその方がずっと良いだろう。


そんな訳で大久保通りに到着し左折。


後は大久保駅まで道なりに進むだけである。


途中神田川を通過、昭和生まれの私は南こうせつさんの歌を思い出したけれども、あの歌の世代では無いのもあり「あの歌の」以上の感慨は特に浮かんでこなかった。


少し進むと新宿区の標識、ここまで来ればゴールまであと一息。


道中でキリスト教の教会の前を通ったのだけれども、こんな時間に既に何やら作業をされている関係者の方がいてびっくりした。


北新宿1丁目交差点、新宿と言う地名が見えてなんだかもうゴールしたような気分になるけれど、もうちっとだけ続くんじゃ。


少し先に大久保駅のガードが見える、手前にはレトロなカフェ…と言うよりも喫茶店の方がしっくり来るお店。


チーズ好きの私にはこのUFOチキン、前から気になってるメニューなんだけども越谷界隈だと提供しているお店が無かったのでまた昼間に新大久保まで来ないといけない(人混みが苦手なのもあってちょっと気が乗らない)

4時15分 大久保駅

本日最後のチェックポイントである大久保駅に到着。

このまま高架沿いを歩くか新大久保沿いを歩いて見るかを友人と相談するが、新大久保方面から帰ると必然的に歌舞伎町辺りも通る事になってしまう。

治安諸々を考えてそちらのルートは辞めこのまま高架沿いを歩いて新宿を目指すことにした。


高架沿いは飲み屋がチラホラあるけれど明け方に近い時間なのもあってどこも閉まっている。

ただしケバブ屋は営業していてびっくりした。


それにしてもこの高架の壁の威圧感は凄い。

通り沿いのお店は風通しが悪そうだなとか、そんな事を考えながら歩く。


途中、壁にぽっかりと穴が開いたような感じで大久保駅南口があった。


職安通りを渡る歩道橋を上る。


歩道橋の幅がかなり狭くてさらには若干車が通るたびに揺れるのもあり、少し怖かった。


歩道橋の上からおっかなびっくり職安通りを撮ってみたけど、街灯が明るくて変な写真になってしまった。


そして階段を降りる(この説明は多分必要無いけど、画像に何の文章も添えないのはおさまりが悪いのでとりあえず書いておく。)


歩道橋を渡り終えた辺りで少し先に巨大な建物があるのに気が付く。

調べて見たらあれが有名な東急歌舞伎町タワーだった、きっとあのビルの上からいずれ100億円がバラまかれる事だろう。


道なりにしばらく歩くとモスバーガーがあった。

この手のお店があるという事は駅が近い、つまりは本日の深夜散歩ももうすぐ終わるという事である。


思い出横丁が見えて来たが、そちらへは行かず大通りの手前で左折する。


4時30分 西武新宿駅

先程大久保駅を通過した際に、最後のチェックポイントと申し上げたけれども、正確にはここが最後のチェックポイントだった。

ただ今回のテーマは「中央線沿いを歩く」だったので、それを考えたら大久保駅を最後とする方がむしろ正解であるような気はした。


エスパス新宿、私が新宿で働いていた時には、まだこのお店は無かった。

その頃の私は仕事がつまらなさ過ぎ&職場の人間関係がギスギスしすぎててほとほと嫌気がさしており毎日職場に向かう足取りが重かった。

ちなみにこちらの職場、入社して2日で副店長に結構な罵倒をされたのもあって早々に「辞めたいです」とマネージャーに告げるも引き留められてしまい渋々続けていたんだけど、今思い返してもあの時即座に辞めると決断した私は正しかった。

仕事になると「3年続けてみろ」なんてしたり顔で言いたがる先人も少なからずいるけれども、少し考え方を変えてみるとそれは必ずしも正解とは言えない、いやむしろ不正解である場合の方が多いと私は思う。

例えば付き合って早々に相手の嫌な面が耐えられないレベルで見えて来てしまったり、決定的に価値観が違ったとしたら大半の方が早々にお別れを決意するだろう。

「折角一回付き合ったんだから」

なんて理由で自分とは合わないと思ってる人と無理して数年付き合う人なんていない…とまではいかないだろうが居たとしてもごく少数である。

結局仕事だって人間と人間の付き合い、そこに適正と言う要素まで加わってくるのだから、ちょっとやってみて無理だなと思ったら早めに辞めた方がその人だけでなく職場にとっても良い結果を生むことの方が多い。

もし無理矢理続けて「続けて良かったです!今ではこの仕事が大好きです!」なんて言ってる人が居たとしても、その半数以上は洗脳されてるか自分でそう思い込んでるだけじゃないのかなと私は思う。

もっともそれに本人が納得してるなら第三者がそれに異を唱える必要はなくその人の中ではそれが正解…

って私は何を長々とどうでも良い話をしているんだ。


4時46分 新宿駅

そんな訳で5時ちょっと前にゴールの新宿に到着。

この時間だと既に始発は動き出しており即座に電車に乗って帰れた。

さて、現在の時点で既に深夜散歩のストックが4本溜まっておりさらに数日後には今月の深夜散歩に出かける予定だったりもする。

ほぼ自分の備忘録の為に書いてるようなこの雑記だけれども、余りに溜めすぎてしまうと心が折れてやらなくなってしまいそうなので毎回言ってるような気がするけど今後は投稿ペースを少し早めたい。

それではまた次の記事でお会いしましょう、さようなら。

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