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内装工事は段取り8割を学び、今に続く道が始まった:内装会社編

1:内装会社から社会人スタート

社会人生活を年商100億ほどの法人専門の内装会社の営業職からスタートしました。

内装会社の営業って何を売るの?
って聞かれますが、『内装工事』を売ります(受注する)。
多くのチェーンストアでは、新規出店工事と既存店小規模改修工事を年間を通して内装会社に発注します。
多くの場合、新規出店では設計会社が固定され・内装工事の競争入札による発注。小規模改修工事は設計施工の特命発注が行わる。という発注パターンになります。
(工事期間の問題で入札ができない新規特命発注もある)

これは、小規模改修まで入札を行うと内装業者が疲れること、店舗開発にとっては内装会社を育てることも業務の一貫なので、入札疲れした内装業者の入れ替わりが激しいと内装会社が育たないことが理由として挙げられます。
*私も店舗開発職に転職後は、同様の発注形態を取っていました。
内装会社が育たないデメリット➡急なトラブルの時に、店舗の仕様を理解した内装会社がいないことで、即時対応が難しくなります。

2:内装会社の営業は技術職

当時、東京本社で複数のナショナルチェーン様の営業を担当し、中でも一番大きな企業様は電鉄系グループ企業様でした。しかし、電鉄系企業グループ様をはじめ、どのチェーンストアにも常に競合他社が営業を掛けており、大きな新店工事は入札になることが殆ど、そのため、営業のアシスタント的立場の時から、信頼関係を構築するために、クライアント様への説明方法を何パターンか事前に考えるなど、解り難い内装工事をどう分かり易くクライアント様に説明して理解して頂けるか、常に考えていた気がします。

営業として数値目標があり、競争入札の際には声を掛けて貰える信頼関係の構築は重要でした。
(入札業者が多いと担当者・設計者の管理対応が煩雑になるため、3社程度の小規模入札開催を行うこうとがあるので常にお声がけ頂く関係構築は重要でした。)

そのため、自社が施行した店舗でトラブルが発生したと聞けば、なるべく早く状況確認に行き対応する。新店舗のモデルにしたい店舗があると聞けば、視察と時に接待を兼ねてモデル店舗に出向く。など、時代は平成でも昭和の残り香が強く漂うアナログな内装業界、日々、営業は足で稼ぐを実直にこなす、、を繰り返す。
電話するにも先方のご都合を確認する令和の今なら嫌われるけど、近くに行ったら名刺だけも置いてくる、って営業をしながら、頭と体をフル稼働しながら働いていました。(若かった、、)

内装工事は図面を基に工事するものの、契約の際には形の無いモノ(店舗空間)を数千万単位の金額で契約するため、完成形の店舗をクライアント様に良く理解して頂くことが重要になります。
そのため、クライアント様から営業は技術職だと評価されることもありました。

当時、営業時(設計・工事打合せ)に一番注意したことは、図面から生まれる空間イメージと作業導線の状態を正確に伝えることでした。
時に数千万~億単位の工事見積りになるため、完成後に思っていたのとは違う、使いにくい、は絶対避けなければいけいない、と強く思っていました。

店舗空間イメージを伝えるために設計部門でパースやスケッチなどの『完成時のイメージ画』は用意していますが、全ての空間パースを起こすことは費用や作業工数の点から難しく、一方で基本図の中の展開図も読み慣れていないと詳細を見過ごしてしまうことがあります。
平面図・展開図・天伏図と照らし合わせ角度の違いからくる視認性の違いを説明したり、店舗スタッフの方の作業導線に関わる部分については細かくご説明することに気を配りました。
特に水回り造作に伴う段差や、スタッフや来店するお客様の段差による事故を防ぐためのご提案には事前に設計や制作部と協議しクライアント様にご説明し、本工事見積りに組込むなど完成後にクレームにならないように気を配りました。

失敗を重ねながら、日々学びつつ仕事に勤しむ中、打合せの最中にクライアント様が内装会社の営業は技術職だね、と言われたことがあり、日頃の心配りが報われた気がして嬉しかったことを、今だに覚えています。
➡ホントに嬉しくて、その一言で頑張れた。

3:失敗の思い出

しかし設計・制作・営業と連携して工事に臨んでも上手く行かないこともありました。とある引渡しの際、天候や材料の入荷など様々な事情が重なり、当初夕方17時予定だった引き渡しが大幅に遅れた事がありました。

引渡しに向けて電気・給排水・空調などの設備工事が最終工事を進め、看板の取り付けが進む中、クライアント様の店舗開発の方と二人で引渡しに向けて現場で待っていました。事前に店舗開発のご担当者様に予定時刻での引渡しが難しい旨ご相談させて頂いており、当初から引渡しが17時ということもあり、店舗備品の搬入・店舗スタッフの乗込みは翌日という流れでした。

しかし、最終工事が想定外に長引き、深夜の引渡しになりそうでした。
店舗開発の方が翌日のスタッフ乗り込みに立ち会われることを知っていましたので、引渡しが深夜になる可能性があるため、翌朝、乗込み前に引渡しとさせて頂き、本日はご帰宅頂くのは如何でしょうか、とお詫びをしながら提案しましたが、ご担当者は、深夜でも大丈夫です、と仰りそのまま一緒に工事終了を待って頂いきました。
(責任感の強い店舗開発の方でした)

結果、引渡しは明け方近くになり、2人共始発で帰ったのですが、引き渡しクリーニングは終電も過ぎた頃に始まり、私がクリーニング前に店内の掃き掃除をしていると、ふいに店舗開発の方が因果な仕事ですなぁと仰ったのです。
当時、私は20代半ば。引渡し遅延のために若い女性営業が一人で深夜に箒掛けをしたり、現場に詰めている状況に同情されたようでした。

その時、自分がどのような返事をしたのか覚えてはいないのですが、大幅に遅れた引渡しのために、クライアント様に深夜までご迷惑をお掛けしていることに申し訳なさを感じながらも、いよいよ引渡しに向けて店舗が仕上がって行く様に少し気分が高揚していたのを覚えています。

4:店作り職人への続いた道

内装工事は段取り8割 と言われます。想定外のことが起こらない限り工事着手前に引渡しまでの工事行程・工事の完成度が決まります。
引渡し直前の最終工程工事では、それまで壁や天井から短い配線が出ていただけの場所に照明が接続され、給水管が立上りに厨房機器や洗面台が設置され給排水が繋がれるなど設備機器が整い、内装の意匠が仕上ります。
寧ろ、最終仕上げの美しさを担保するために、コンクリート剝き出し(スケルトン)の状態から、配線・配管・補強を含む様々な仕込みをして、工事を組み立てて行くと言った方が良いでしょう。そのプロセスも含めて、内装工事は段取り8割だと言われるのだと思っています。
私はこの最終工程の工事時間が大好きでした。

内装会社や設備工事会社が入っていても、それぞれの工事職人さんは一人親方の方も多い内装業界。最後に引渡しを目指して自分の持ち場の工事をしっかりと納めるために協力しながら工事に入る。個人がチームとして纏まりながら仕上げて行く時間です。
特に翌朝の引渡しを控えた前日の夕方に、内照看板や店内の照明に光が点り、引渡しクリーニングで磨き上げられた床が照明でぴかぴか光っている様は、店舗に命が光が点ったようで、見積り交渉などの苦労が報われる気がしました。

店舗が仕上がって行く時間が感動的に好きだ、という原体験が、内装会社➡3社の店舗開発➡店舗開発プロデューサーとして独立することに繋がったのだと、振り返って思います。

店舗開発という職業がニッチな専門職であり、不動産屋とどう違うの?
と聞かれることもままある中、私の強みとして大型物件の業態転換や外資企業様の日本展開のご支援をさせて頂く中、モデル店舗が無い状況から多店舗を作ってこれたのは、この内装会社時代の経験を元にコンストラクションマネジメントの手法を考え抜いてきたからだと思います。

この頃、仕事のコントロールの未熟さから心身ともに疲弊して円形脱毛症になり20代半ばにして大学病院で治療する、という経験もしましたが、振り返ると起業人生を支えてくれた経験になっていると感謝しかありません。
失敗しながら考え働いたからこそ、店舗開発者育成の際に伝えられることがあるのかな、と今は考えます。
お陰で、自他ともに認める店づくり職人になりました。(笑)

店舗開発のお仕事についてマガジンに纏めてあります。
会社員時代の3つのチェーンストア時代の業務やスパイカ(株)の業務内容も記載してありますので、ご興味のある方はどうぞ!

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店舗開発のお仕事についてマガジンを書いています。

店舗開発プロデューサーとして、新規店舗事業構築及び空きビル業態転換のプロジェクト管理をPM/CMを兼任しながら行っています。



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