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1223ねえ、ジェラート買って

2023年、もうすぐ終わるね。
世界で統計をとったら、いい一年だったって思う人と悪い一年だったって思う人、どっちが多いのだろう。

私は圧倒的前者だな。
とにかく失ったものを取り戻す一年だった。
わけのわからないハプニングもたくさんあったけどシェイクスピアの劇の題名通り

All's Well That Ends Well

最後がよければそれでいいの。

実は1月2月の記憶があまりなくて、今年は3月から始まったんじゃないかと思っている。
出身地で仕事があって、会社の支店もあるので2週間ほど出張と言う名の帰省をして
ブランチオフィスで居候させてもらって仕事をしたのだけど、
まあそこから過去8年間くらいの生活が全部崩されたというか人生の天変地異というか
とにかく情緒不安定だし仕事はアホみたいに忙しいし完全なる錯乱状態に陥った。

それが4月。
ご飯は食べられなくなるし脳がパンクして本当にひどい一ヶ月。

5月になったらアメリカの親戚巡りをしてちょっと安定したかなと思った。
ロサンゼルスでエンデバーもみたし、メキシコにも行ったし、
大丈夫大丈夫、私は大丈夫。と思って帰ってきた。

全然大丈夫じゃない。

旅から帰って来るや否やまあ本当にアホな選択ばかり。
新幹線なんて便利なものを発明したのは誰なんだい。
短時間で長距離移動しまくれちゃうのよくないね。

そのあとの一ヶ月、とにかく歩いた。
本当に。物理的に。
毎日2万歩くらい歩いたんじゃないかな。
ひたすら毎日歩いて色んなことを考えた。
何が正しいんだろう。
何をしたら満たされるんだろう。
何が足りないんだろう。
私このまま脳がぶっ壊れてっちゃうのかな。

山下公園まで歩き、気づけば赤レンガ、みなとみらい、桜木町、しまいには横浜駅にたどり着いていたこともしょっちゅう。
休みの日には丸の内まで行って今度は皇居付近をひたすらうろうろ歩き回る。
それで気づけば京橋、有楽町、銀座、あれ?新橋まで来ちゃった。
それを数週間繰り返した。

やはり人間脳がオーバーヒートしてるときは体を動かすといいのね。
走ってるわけではないしのんびり歩いているだけなのだけど、
それだけ毎日歩きまくってると少し楽になるのよ。
運動したほうが病まないっていうものね。

歩き続けていたら6月に踏み入れていた。
おや、君は6月かい?
そういえば、大好きだった人の誕生日、6月だったな。
もうすぐあの人の誕生日だ。
毎年絶対忘れない誕生日。

東京駅から皇居のほうへスパンと抜けているあの公園のようなところでベンチに座って考えていた。

「ねぇ、たぶん今日あの人に会えると思うよ」

直感が突然脳内で語りかけてきてびびった。
でも、そんな気がする。
とりあえず、連絡をしよう。
友人とご飯を食べる約束があるから、それが終わるまでに返事がこなかったら、もう全部なかったことにしよう。
直感が外れるってそういうことな気がするから、帰ったあとから返事が来てももうそれはなかったことにしよう。
それでこの後ろめたい気持ちとか、後ろ髪をひかれる気持ちとかを全部全部おいて今度こそ本当に立ち去ろう。

ご飯を食べて、時間制で追い出されることになって、会計の準備をしているときスマホを見たけど何も来ていなかった。
まあそうだよな。家に帰ろう。と立ち上がった瞬間に通知が来た。

バカ野郎。諦められないじゃないか。

しかも最初は今日は無理だとか言ってたのに、遅くなってもいいならなんとか行けると言ってくれた。
本当嫌いだ。
そうやっていつでもなんでも私のわがままを聞いてくれるところ。
本当に本当に大好きすぎて大っ嫌いだ。

会った瞬間は現実のすり合わせができなくて、
感情のチューニングがうまくいかなくてつんけんしてしまった。
それでも最後に会ったのは昨日だったかのようにその人は優しかった。
私、自分がしたことを他の人にされたらこんな風にできるだろうか。
君はすごい。

7月はすぐに来た。
何年も連絡をとっていなかったくせに突然「私の誕生日を祝え」と強要する自分、すごいな。
用があるのに終わったあとならいいとなんとかしてくれた。
いや、やっぱり君が一番すごいよ。
海辺で線香花火した。
ここ8年でこんなに楽しいと思ったのは初めてだ。
私は多分一生あの線香花火を忘れない。
君は雨の日が楽しくなるようにと傘をくれた、晴れ女の私に。
晴れ女すぎてまだ全然使えてない、ごめん。

8月は私が日本にいなかったり、家庭のことでばたついたり、君がものすごく体調を崩したり。
会えないことのストレスや、自分の身体の異変に気づかず感情の起伏がおかしくなりものすごく嫌な人間になった。
私は君が大好きなのに、体調が悪い君を労るんじゃなくて会えないから恨んでしまった。
こんな嫌な感情、持ってたんだな、私。

9月になったら色々と私の体調というか身体の様子がおかしくなり、かなりつらい思いをした。
全部自業自得で、対応の仕方も間違っていたのに泣きながら電話をする私に君は優しかった。
でも少しずつ回復してむせ返る夏の空気と一緒に
恨みなんていうクソみたいな感情は徐々に消えていった。

10月は君がとにかく好きだった。
きっと落ちるってこういうことなんだ。
すべてがバラ色のガラス越しに見える感じで常にたくさんの花が咲いていて、
私の脳内の庭の花の咲き誇り具合はすさまじかった。
私、気持ち悪い人間なので脳内お花畑があります、はい。
詳しいことはまた今度。

11月。地獄。
出かけていて家に帰ってきたら家が火事で燃えている気持ち。
脳内お花畑も焼け野原。
やばい、感情がない。
感情がないので感性も生まれない。
あんなに詩を書いたりしていたのに全部どこかへ行ってしまった。
君に会いたい。
でも会えない。
つらい。
全身に有刺鉄線が巻き付けられてる気分。
とにかく、本当にとにかく君に会いたい。

そして12月、いま。
正直、やっと感情チューニングが完全にできた気がしている。
君が安定して好きだ。
変な感情が減った。
それは自分自身のチューニングもあるとは思うけど、でも何より君がそうなるようにしてくれているのがわかっている。

私は長年、君が色んな女の人といるところを見てきた。
でも、だからわかるんだ。
私はめちゃくちゃ大事にされている。
いや、ずっとされていたんだ。
昔は恋愛感情はなかったけどそれでもその時から君には珍しく異性の私に興味を持ってくれた。
彼女でもない私が泣きながら電話したときいつもいつも助けてくれた。
やっていることをの手を止めて手を差し伸べてくれた。

やめとけと言われた相手と付き合ってズタボロになったときも、言わんこっちゃないと呆れながらアイスを買ってくれた。
だから私はそれ以来ずっと「アイスを買ってくれる人はいい人」と言って、人にアイスを奢らせようとする。
君が10年以上前に買ってくれたアイスが本当に嬉しかったから。
その気持ちをまた味わいたいから。

もう二度とアイスを買ってもらえないかと思った。
バカな失敗をして本当によかった。
それがなければ君に連絡をすることもなくて、本当に買って欲しい相手に二度とアイスを買ってもらえないところだった。

私は好きな気持ちを伝えるのは得意で君はそれをしないから不器用めと私はいうけど、
本当は大事な気持ちを伝えるのは君のほうが断然上手で私はそれを受け止めるのが不器用どころの騒ぎではないくらいに下手だ。

でも、わかってないんじゃないんだ。
ありがとう、こんなに大切にしてくれて。
いなくなった私をなんの偏見もなく君の心の中にもう一度招き入れてくれてありがとう。

そして2023年の銀河もありがとう。
やっと星が全部直線状に並んだよ。

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