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上野界隈のArt空間へ。お散歩がてらにインスタレーション|『UN-FIT』

気晴らしによく行く上野公園。芸大が近いこともありもともと外国人はよく散見していたが、インバウンドの効果も相まって、むしろ外国人のほうが多く感じる今日この頃。美術館や博物館もあることから、パリとは言わないが上野界隈は立派な国際都市にも感じられる。

気軽にアートの空間へ没入できることから上野は散歩にもってこいだ。今回は公園内の立派な施設で開催されているイベントではなく、上野公園からすこしだけ外れた池之端エリアにある「花園アレイ」というリノベされてオシャレに仕上がった団地の5階部分に足を運んだ。

「花園アレイ」では3つの部屋と屋上が作品の展示スペースになっていて、空間そのものをテーマに沿ってデザインするインスタレーションとして展開されていた。ドイツの首都であるベルリンを拠点としている3人のアーティストからの作品で、テーマは「UN-FIT」だ。

物事には何かが起こりうる「領域」が存在する。どんな領域であれ、領域には不明瞭なラインがひかれている。法律しかり、ガイドラインしかり。俯瞰すると内と外に分かれているのだ。「自分はどの部分に存在するのか?」というテーゼとしてのインスタレーションだ。

社会とは適合領域の探りあいであると同時に、適合者同士のまとまりで蠢きあいながら目的を達成しようとする原野だ。領域の内側にいるから適合「FIT」。外側だから不適合「UN-FIT」。人間的な問題であれ時間的な問題であれ、いつの間にか立場が逆転していたりする。

社会では常識とされているフレームワークも、テクノロジーの発展と人間の老いとの関係も相まって、やがては見向きもされなかった何かにいつのまにか移り変わっていることもある。時間は、内側と外側、はたまた知りえない何かに変容することを静かに受けいれる。

はじめて足を運んでみた「UN-FIT」というインスタレーションは、生きていくうえで必要な枠組みもナマモノなんだよ!ということを再認識させてくれる機会となった。きっと「花園アレイ」という建物も、FITしたりUN-FITしたりぐにゃぐにゃと蠢いていることだろう。


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