嚥下機能を向上させる事は、至難の業

お疲れ様です。伊東零一です。

慢性期病院に居るSTは…苦行を強いられる事が多いです。

嚥下機能の向上

嚥下機能とは、食べるために必要な機能の事です(シンプルに)
嚥下機能を評価する上で、一番大事な部分は何でしょうか?
絶対に必要です、というか他が良くてもここが動いて無ければ食べられないと言っても過言では無いでしょう。

それはズバリ。「嚥下反射」が起きるかどうか、だと私は思っております。
嚥下反射は食べ物を呑み込もうとする時に起きる動きで…ごっくんと飲む時に喉頭が上下に動く運動です(ざっくりと)。

ここが動いていれば、食べられる可能性は0ではなくなります(絶対に食べられるわけではありませんが)。
なので、言語聴覚士の使命は嚥下反射をいかに上手に起こすか、だと思っています。

とても大事だと思っている事(個人的な意見)

嚥下反射の為に、様々な手技手法を使ってリハビリをします。
マッサージも、筋運動も、顔面のマッサージも、口を綺麗にする事も。話す事も嚥下反射の為になります。
やることは多岐にわたります。

困ったことに、全ての手技手法を駆使しても嚥下反射が起きない人も一定数います。
また、リハビリを拒否する人もいます(認知症、精神疾患、終末期で最期をゆっくり過ごしたい等の理由)。
その人達は、もう何も口にすることは出来ず、他の栄養手段を摂ることに事になります。
もしくは、何もしない人もいます。

様々な人が居る中で、このようにおっしゃる方もいます。
「食べられる機能が無くても食べさせたい」
「さっき食べたいって言っていたのですが…」
「何で食べられないの?元気そうに見えるけど」
などなど、仰られる家族様がいます。
当然ですよね、人間食べる事が基本。食べられないのは不自然な事です。
家族様の気持ちはよく分かりますし、私もそう思います。

たまーに、きつい事を言われる事があります。
「あんたが食べさせないから食べられなくなったんだー」とか
「うちの人だけ食べさせられていないのは何故ですかー」とか
「リハビリちゃんとやっているんですか?」とか。
実際目の前にして言われた事があります。家族様としては、目の前で弱っていく家族を見てストレスになっているのだろうと思いますし、食べない事は「死ぬ事」に直結するため、問い詰めたい気持ちは分かるつもりです。
私は出来るだけ丁寧に説明をしているつもりですが、伝わらない事の方が多いですね…。感情的になっている方に、理論的に話をするのは腹の立つ事なのかなぁ…と思ったりもしますが。

でも、これだけは言いたい。言わせて欲しい。
一生懸命生きようとしている人(患者様)に、一生懸命こちらも接しているつもりです。
食べさせられないのには理由があります。
リハビリを不真面目にやるなんてとんでもない。
それでも、食べさせたいと言うのならば…。
私達はそれを止めません。ドクターと相談して何か食べさせる事を考えて貰って大丈夫!って言いたい。
家族様がどうしても食べさせたい物があるならば、食べさせる事は可能な病院もあります。
ただし、
誤嚥するリスクや…
最悪の場合亡くなるケースもありますので、それがご了承頂けるのであれば、です。
私はドクターではありませんので、言語聴覚士として摂食状況を判断・報告しているだけに過ぎません。たった一人の意見です。
家族様がそれでも食べさせたいと言うのならば、ドクターと相談して食べる方向に行く場合もあります(ただし、家族様自身で介助する方向になる場合が多いですが)。
医療行為では、限度もありますので…。本当に危険だと思っているから食事を止めているという考えを持って欲しいなと、思う今日この頃です。
重い責任があるからこそ、摂食を扱う言語聴覚士として様々な勉強をしているつもりではありますが、これからも精進していきたいと思っています。

頑張ります。

新人教育をしていて分かったことがあります。それは、新人さんが持っている不安や恐れと言うのは正常な人間が持つ考えであって、私もそれを忘れないようにしなければならない。という事です。
ついつい、機械のように「~だから、~出来る。~だし、~は難しい」と考えてしまいがちです。ですが、「本当に?大丈夫?間違えてない?」と言う考えが経験則によって薄れている気がするのです。
改めて、自分の経験や考えだけで判断するのではなく、しっかりとした知識を持って考えるべきだと改めて認識しました。
有難う、新人さん( `ー´)ノ

…乱文になってしまいましたが、お読みいただきありがとうございました。

それでは、また。

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