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目からビーム!26 リベラルの取扱説明書~「産む機械」「生産性がない」のどこが差別なのだ?

 毎年、大晦日は近所の温泉で一年の心の垢を落とすことにしている。浴場に大型のテレビ・モニターがあって、『紅白歌合戦』は湯舟に浸かりながら観ることになる。なぜか去年もおととしも僕が浴場ののれんをくぐると、西野カナの『トリセツ』にぶつかった。
 最初、この曲のタイトルを聞いたとき、昔よく行った「鳥せつ」という焼き鳥屋のことを思い出した。女将の名前がせつ子さんである。トリセツが「取扱説明書」のことだと知ったのはずっとあとになってからだ。ワンピ、アクセ、コーデ……最近は、わけのわからん略語が増えて、おじさん泣かせである。そういえば、以前、伊豆の浄蓮の滝に行ったとき、売店の「スポドリあります」の貼り紙を見て、はて? 土地の名物かなと試しにひとつ買ってみたところ、なんのことはない、スポーツドリンクのことだった。
 さて、曲のほうだけど、微妙な女心を取り扱い説明書に仮託して恋人に説明するというなかなか小粋な内容で、最近では結婚披露宴の余興の定番曲なのだそうだが、歌詞に「一点物」「返品交換」「永久保証」といった単語が出てくるこの曲、フェミニストの先生や野党女性議員からよくお叱りを受けなかったものだ。柳澤厚生労働大臣(当時)の「産む機械」発言に、「すべての女性を代表して」食ってかかった辻元清美議員(当時、社民党)あたりが「女性は家電ではないで!」と息巻くのかと思えば、その気配もない。
 そもそも、人間を機械に譬えるのがけしからんというのであれば、「人間風車」や「人間発電所」が大手をふるうプロレス界はどうなるのだろう。辻元議員の大先輩である日本社会党委員長・故浅沼稲次郎のあだ名は「人間機関車」だった。
 それにつけて思う。去年、月刊誌を廃刊にまで追い込む騒動となった「生産性」騒動とはなんだったのだろう。自称リベラルにとって、言葉自体よりも、その言葉の発信者の政治スタンスによって、「差別者」のレッテルは貼るかいなかが決まるようだ。
言葉の切り取りや印象操作、ダブルスタンダードは、日本のリベラルのお得意とするところである。そして、彼らの多くが都合のいい健忘症だ。こういう厚顔の徒にどうやって抗していけばいいのか。それこそ、取扱説明書がほしいところである。


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