第14話大阪南港「アスコット・ボードパーク」へ
アキさんと亘と3人で大阪南港の「アスコット・ボードパーク」へ遠征したときの事、アキさんがいすゞのイルムシャー・ターボを運転して用賀インターから東名高速にのったのが既に夜中で、助手席に陣取った俺は何故か煮干しを肴に水割りを呑んでいて、くだらない事を言ってはみんなで爆笑したりしていたのだが、さすがに明け方近くになると俺と亘がうつらうつらし始め、「お前ら、寝るんじゃねえよー」と言っていたアキさんもしだいに静かになっていった「アニマル・チン」 のランスばりの居眠り運転をしていたのかも知れない。
アスコットに着くと、地元のプロや有名スケーター達がメチャメチャ歓待してくれた。これもアキさんと一緒だったからに他ならない。
「アスコット・ボードパーク」は11フィートのアクリル製のランページと、10フィートのコンクリート製のボウル、広大なコンクリートのストリート・セクションとミニ・ランプを有する、国内最大のスケートパークだった。
このでかいランページで、大村 (キャバ) 滋君と野田(アゴロー)敏行君がリクエストに応えて「ボーンズ・ブリゲード」ばりのダブルスを見せてくれた。エアーしながら交差し、キャバ君がアゴロー君のヘルメットにタッチするところまでキャバレロとランスにそっくりで、地元プロのダイナミックさに本当に度肝を抜かれた。
89年のアスコット・ボードパーク
シンゴ君をはじめキャバ君、アゴロー君、塙君、宮崎ツトム君達と一日中セッションして、夜になるとパークのオーナーさんが、たんまりお小遣いをくれたので、このメンバーで心斎橋に繰り出した。
世間はバブル景気の真っ只中で、実にいい思いをさせてもらったものだ。寿司屋に入って乾杯し、大いに盛り上がった。話には聞いていたが「ネタ」が異常にデカくて「シャリ」が見えない。たこを注文すると店の旦那から「兄ちゃん、それ、よう噛まな死ぬで」と言われた。
トイレに立ち、カウンター席に戻ってくると、どんぶりにビール、日本酒、ウイスキーなどをごった煮にした得体の知れない液体をイッキしろと言う。さすがにこれはヤバイと思ったが、体よりもその場のノリを重視するスケーター魂が火を噴いて、ついついのせられるままイッキしてしまう。
気がつくと俺は表でゲロに顔をうずめたまま大の字になっており、道行くおっさんに「兄ちゃん、こんなトコで寝とったら死ぬで」と言われた。命がいくつあっても足りない街である。気持ち悪くて死にそうなのだが「よーし、これからみんなで銭湯に行こう」という話になってしまう。移動の途中「おっと、ちょっとその前にコンビニ寄ろう」と言ってコンビニに入る。 出て来ると誰かさんのポケットから持っていた筈も無いモノがゾロゾロと出て来る。
バックするアキさんの車の後輪で足を轢かれる。ヒドイ事が次々に起こり、しかもエンドレスだった。
つづく