Spectal Library

第一弾。文:山口洋介「1985 駒沢オリンピック公園物語」日本における、80年代のBM…

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第一弾。文:山口洋介「1985 駒沢オリンピック公園物語」日本における、80年代のBMXとSKATEBOROADカルチャーの物語

マガジン

  • 1985駒沢オリンピック公園物語

    日本における、80年代のBMXとSKATEBOARDカルチャーの物語

最近の記事

第8話マックスモーションと秋山兄弟

秋山弘宣 (アキ秋山) 、秋山勝利 (カツ秋山)。 日本のスケート界に携わる者で、この兄弟の名を知らぬ輩は間違いなくモグリである。兄、アキ秋山は70年代半ばから本場アメリカより招かれ、数々のコンテストで入賞を果たしてきた、記念すべき日本人プロスケートボーダー第1号であり、弟であるカツ秋山もまた日本スケートシーンの黎明期より、 幾多のコンテストで常に上位をその兄と争ってきた。そして フリースタイル競技での360度スピン38回の日本記録は40年を経ようかという現在もなお、更新され

    • 第7話 ホコ天とオリジナルスケートウェア

      やがて俺は毎週日曜日に代々木公園の歩行者天国のジャンプランプにも通うよう になっていた。巷ではまだ DCブランドの服を着ているような奴らばかりだったし、アメカジというクソ恥ずかしい言葉すらまだなかった頃に、バンド・ブームにのってホコ天に出ているバンドの子達よりも奔放なスケート・ファッションに身を包んだストリート・スケーター達が毎週30人以上集まってジャンプ・ランプを飛んでいた。 この中に川村諭史、星野正純、江川芳文といった当時のトップ・ストリート・スケー ターもいて、皆今こ

      • 第6話 ケンパーク・パイナップルベティーズ駒沢1986新春

        VISIONチーム、ケンパーク氏現る 86年が明けてすぐの1月4日、POSSEは新春早々駒沢公園に集結し、BMX &SKATESに興じていた。そこにBIGなお年玉がやって来た。本場USAのVISIONチーム・ライダー、ケンパーク氏が現れたのである。突然の出来事に公園は沸きかえった。ニューイヤーのバケーションでPOSSEの1人の家に滞在中だという氏はその温厚な人柄ゆえ、すぐに皆とうちとけ、一緒にジャンプ・ランプを飛んで遊び始めた。チャーリーと俺は自分達が作ったランプをアメリカ人

        • 第5話 駒沢パーティー・アニマルズ

          駒沢公園にほど近い潮の家では不思議な事に両親の姿を見かけたことがなく、POSSEの格好の溜まり場となっていて、けしてせまくない玄関先はいつも VANS やエア・ジョ ーダン、ニューバランスといったスニーカーやスケートボードで埋め尽くされていた。 2階にある潮の部屋のドアは時に硬く閉ざされ、HOMEGIRL達に催淫作用があるといわれる「RUSH」を嗅がせては、いかがわしい行為が行われていることもあった。 若く、体力と運動能力 に自信のあるアニマル野郎共の集団だった為、普段は仲

        第8話マックスモーションと秋山兄弟

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        • 1985駒沢オリンピック公園物語
          8本

        記事

          第4話 チャーリーのケガ

          チャーリーと俺はこの日も仲間達と共に公園に集っていた。 スケーター連中がジャンプ・ランプを飛ぶのをながめていた「ターちゃん」こと粕谷守唯が突然、ランプに向かってBMXを漕ぎだしたかと思うと、360度エアリアルでランプを飛び抜けて皆のド肝をぬいた。 それというのもBMXのエアリアルはランページやボウル、クオーターパイプを利用した、いずれもR面に戻るものしか見た事がなかったからだ。それを見たスミオ (堀沢寿美男) とおサル (田村健)もすぐにチャレンジしてメイクしてしまった。 ま

          第4話 チャーリーのケガ

          第3話 高橋潮 武勇伝編

          駒沢公園通り沿いのモスバーガーにたむろして聞く潮の武勇伝はネタが尽きることがなかった。いつも7~8人でテーブルを囲み、バーガーやフレンチフライを食べ、コーラをストローですすりながら潮の話に聞き入った。 公園内にあるビルの4階ほどの高さの給水塔にBMXを担いでよじ登り、フェンスのない屋上のふちギリギリの場所でジャック・ナイフ状態でポゴをしているところを塔の全景が写るように写真に撮ってもらい、「MOVIN'ON」の「STREET SCENE」のコーナー宛に送ったが、「トリック写

          第3話 高橋潮 武勇伝編

          第2話 駒沢公園の仲間たち

          サニ・トラの荷台にジャンプ・ランプを積んでの駒沢通いが始まると、チャーリーと俺はこの駒沢公園の仲間達に囲まれてスケートするという環境を心底気に入ってしまった。すぐに仲良くなった高橋潮、粕谷守唯はもちろん、 和田幸司、池田二郎、田村健、 堀沢寿美男、 和田貞宣、 山川知則といった国内屈指の BMXライダー達が集い、 鈴木孝則、 鈴木光をはじめとする若くて才能あるストリート・スケーター達も集って来ていた。 俺達はお互いBMXとスケート・ボードの違いという垣根をまったく感じていな

          第2話 駒沢公園の仲間たち

          1985駒沢オリンピック公園物語

          日本における、80年代のBMXと SKATEBOARDカルチャーの物語文:山口洋介高橋潮に捧ぐ ジョージ・オーウェルがデストピアSF小説で描いた「1984年」の翌年、1985年とはこんな年だった。 そんな時代の物語である。 第1話「FACE DOGS」 「CURB DOGS(路肩の犬達)」 「MOVIN'ON MAGAZINE」1985年、俺は親友である林(チャーリー)一也と 「MOVIN'ON MAGAZINE」創刊号のあるひとつの記事に 見入っていた・・・ チャー

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