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閃光を放つ、2023年6月10日。(10,971文字)

2023年6月10日。阿佐ヶ谷のオンザルーフプラスで、ライブがあった。
それについて、書こうと思う。

誇張表現、過大表現をします。



水波月奈巳

始まり

登場したとき、裸足だった。歌う時は、必ず裸足になるようなアーティストっているよなぁ…。そういうタイプなのかな、って思ったが、そうではないことが曲を聴いていくと分かった。

優しい音色から始まった。映画のサウンドトラックみたいな、心地のいい音色が始まり、そこから、優しい彼女の歌声が、観客を包んでいくようだった。

裸足の理由が分かった。床に置いてある、音をループする機械だったり、エフェクトをかける機械を、歌いながら、裸足の足でいじって、曲を披露していく。

弾き語りなんだけど、弾き語りだけではない。そんな感覚だった。


中盤

正直、曲と曲の間があまり、分からなかった。多分、一曲終わったなーって思ってから、すぐに音が来る。

でも、これが悪いことかと言われたらそうではない。というか、彼女にしか出来ないのではないかとすら思った。

それは、曲の世界観が統一されているように僕が勝手に感じたからだ。

映画館にいるような感覚。アニメを観ているときのような感覚。ただ、アニメのように起承転結がしっかりしている物語ではなくて、ゆらゆらと心地よい時間がただひたすら流れていく感覚。

何かを倒したり、何かを達成するみたいな目的がない、ドラえもんの映画を見ている感覚。クレヨンしんちゃんでもいい。

彼女の名前にあるように、水の中に落ちていく感覚、穏やかな波にただ揺られている感覚、秋の夜長にただ月を眺めている感覚。

それがずーっと続く。そして、今回のライブで披露された曲たちは、その世界観が統一されているから、曲と曲の間がわからなくてすぐに次の音が始まっても違和感がない。


終わり

お話とかを挟みながらすぐに最後の曲まで来てしまって、終わってしまった。終わってしまったというのが、僕の最大の感想だ。
心地よい時間が、ただひたすら続けばいい。そして、このまま今日のライブが終わってしまってもいいんじゃないかとすら思うほど、心地よかった。

曲の間にお話をしている彼女は普通の女の子だった。正直、こういう世界観が統一されているアーティストの喋り方は癖があるんじゃないかという偏見を持っていた。
それをいい意味で覆してくれたのが彼女だった。


余談

アーティストが交代する時間?休憩時間?に、彼女とお話させてもらった。音源があれば欲しいと思ったからだ。

音源を購入させてもらった。
山口県から来ているらしい。そして広島を中心に活躍されているということだったから、今度、広島に行ってみたいとも思った。

僕が思った素直な感想を伝えさせてもらった。
彼女と会話をしたときに、普通の女の子でビックリした。あんなに曲の世界観を作ることができる人は、喋りづらいだろうと思っていたからだ。

普通に可愛らしい女の子で、もっと彼女の音楽を知りたいと思った。音源を買って、家に帰ってから聞くのが楽しみになった。

裸足で機械をいじる妖艶な姿、歌声、曲の世界観、普通に喋る姿。可愛い笑顔。それらから構成されている彼女は、僕が出会える人間関係の中で、きっと唯一無二の存在だろう。

出会えてよかったと思う。
主な活動場所が広島県ということだから、これから頻繁に追っかけることが困難だと思う。しかし、心の隅にずっと彼女はいる。



山形りお

始まり

登場。そして1曲目からめちゃくちゃ緊張しているのが分かった。緊張しすぎているのが分かったから、僕自身もなぜか緊張してきた。

僕は、山形りお、彼女の歌声が聴きたくて、今回のライブに参加することにした。

山形りおは3年ぶりとなるライブで、いろんな思いがあったはずだ。
そして、1曲目。震えていた。

脚が震えているのがわかった。センスのいいナイキのエアマックス?が小刻みに震えているのが遠くから見てもわかった。

山形りおの歌い方は、立ち姿勢でギターを弾き語る。そして、右足がつま先立ちになったり、両足でつま先立ちになったりする。

だから、震えが簡単に見て取れる。

彼女の緊張が伝わってきて、こちらも緊張してしまった。心の中で「頑張れ…頑張れ…大丈夫…大丈夫…」と、念を送った。


中盤

何曲か、披露した後、お話があった。
3年間で変わった話、3年ぶりの思い、彼女の思いを聞かせてもらった。

その中で、彼女は感極まって、涙を流した。下を向く場面もあったが、お客さんのほうを向いてしっかり話そうとしている姿には、感動した。

前を向きながら、自分の思いを話して、涙をする彼女を見た。
僕はあんなに綺麗な涙を流す綺麗な女性は見たことがなかった。


学生時代にカメラマンになりたいと思っていた僕は、あの彼女の姿を写真に収めたいと思った。でも、写真撮影が許されているかどうかわからなかったから、写真は撮らなかった。

撮らなくて正解だった。

もし、僕がプロカメラマンになっていて、ライブの写真を撮る仕事をしていて、あの場面にいたら、いいものが撮れたな。という感想で終わってしまうかもしれない。

商業的に良い写真は撮れるかもしれないが、それはファインダー越しであったり、画像越しでしかないから、感動は薄れる気がしている。


あの場に居させてくれた、彼女に感謝したい。すごく綺麗なものを、なんのフィルターもなしに見させてもらった。感動した。言葉にならない。


終わり

終わりに差し掛かり、最初の緊張と比べると少しほぐれてきたように思える。それでも、やはり3年ぶりとなると人前で歌う感覚を取り戻すのは難しいのかもしれない。

僕が初めて彼女のライブを見たときに、彼女の歌う癖が今回のライブでも見れた時、すこし安心した。

彼女は、歌う時、右の方向を見る癖がある。だから、ステージに向かって左側の席に座ると、たまに目線が合うように錯覚する。

目線が合うと、自分のために歌ってくれているんじゃないかと思えて、幸せな気分になる。

だから、僕はステージに向かって左側の席に陣取っていた。
終わりに差し掛かるにつれて、その癖が出てきたのでとても安心した。


彼女の緊張が終始伝わってきた。だから、彼女の出番が終わったとき、一安心した自分がいた。

彼女自身は、きっと落ち込むだろう。でもやりきったことがすべてだし、それをたくさん褒めてあげたいと思った。

なにより、これで終わりじゃない。すでに来月にもう一度ライブが決まっている。
練習は何度でもできる。緊張はたくさん練習してきた証拠。失敗したくないと思うから、緊張する。でもそれでいいと思う。
たくさん練習してきた自分のことを信じてあげて、褒めてあげれば、緊張は薄れるかもしれない。

だから僕ができることは、よく頑張った、よかったよと伝えることだと思った。しっかり伝えようと思う。


歌が上手い下手とかはわからない。歌の良し悪しも別にわからない。僕は歌っている山形りおが好きで、山形りおの歌声が好きなのだ。

一生懸命、全力で歌ってくれれば、それがどんな形であろうと、僕は山形りおの音楽を聴く理由になる。


余談

彼女の出番が終わってから、お話するタイミングがあったのでお話させてもらった。

彼女は落ち込んでいた。でも僕は感動していた。結局、恥ずかしながら僕は励ます言葉が出てこなかった。他愛もない話をするのに精一杯だった。

彼女は、チケット取り置きしていたお客さんあてに手紙を書いてきていた。僕にも手紙を書いてきてくれた。

中身は紹介しない。これは、僕と彼女との大切なものにしたい。

僕が用意したメモ帳にようなものに路上ライブの時と同じようにサインしてもらって、今回ライブにきた証を残してもらった。

そして、音源を売っていたので、購入することにした。僕は初めて彼女のグッズ?を購入した。好きな時に、彼女の歌声を聴けるのはとても嬉しい。


ライブが全部終わってからもお話させてもらった。彼女自身の話、僕の話。たくさんお話させてもらった。

僕が、彼女のツイキャス配信のアーカイブを遡って見ていて、好きな曲があったので、伝えた。

それは、「ペアルック」という曲だ。「ずっとお揃いのパーカーで」という歌詞が出てくるのだが、それが印象的で、僕はいつもパーカーの曲と言ってしまう。

そのペアルックの話をさせてもらった。ツイキャスの配信的には、かなり昔に披露されていて、その時に、この曲は嫌いだって、配信で彼女が言っていたのが記憶に残っている。
そこからツイキャス配信でその曲があまり披露されなくなった。まぁこれは、彼女がツイキャス配信ではオリジナル曲をあまりやらないからという理由もある。

この、ペアルックという曲はいつかやってほしいと伝えた。
山形りお「7月のライブでやれるように練習するよ!いまはその曲好きだから大丈夫。」
と言ってくれた。すごい嬉しかった。

こういう彼女の人間性が好きだ。

7月のライブもすでに申し込みは済んでいる。そこまで事故なく、怪我なく、健康的に過ごして、万全の態勢で、彼女を応援したいと思う。





フクダシンヤ

始まり

彼はキーボードだった。ギターじゃないことにまず驚いた。いや、ギター縛りとかいうライブでもないから、不思議ではないのだが、キーボードを弾ける男性ということに嫉妬した。

彼は、声がいい。すごく聞きやすい優しい声だった。そして何より楽しそうに歌う。表情のレパートリーも多い。

明るい元気な曲だったり、励ましてくれるような曲があったりした。そして、歌声が優しい。声が高い。聴きやすかった。

なぜかわからないが、すごい嫉妬した。


中盤

ギターに持ち替えた。もう才能ありすぎかよと思った。歌が上手い。キーボードも弾ける。ギターも弾ける。

勝負できるはずもないのになぜか嫉妬した。
なぜか男性ってだけで競争意識が芽生えてしまう。
才能の塊で、優しい心根も持っている。
僕が敵うことなんて一切なかった。

曲の曲の間で、自身の話をするときがあり、何年ぶりにライブに出た?ということを言っていた。

きっと、彼もかなり思うことがあったんだろう。
何度か言葉を詰まらせながら、お話していたのが印象的だった。


そして、僕はburnという曲が好きだ。youtubeにはなかったが、どこかでまた聴きたいと思う曲だった。


終わり

ただひたすら優しい空間に包まれて、そのまま終わっていった。僕にはない才能を持っている彼に嫉妬している僕がいて、それすらも優しさに包み込まれていき、僕の心が洗われてしまった。

僕も少し優しくなれたかなと思った。




小林聖矢

始まり

彼のことを書くにあたって、、僕はあまりにも勘違いしていたことがある。彼の出番が始まってから、ずっと僕は勘違いをしていた。

イケメンの、歌うまい男性が、楽器を持たずにマイクだけで音楽を披露していた。明るい曲が多かった。

なぜかわからないが、僕は拒否反応を示した。こんなに人生うまくいっているような人が、歌う明るい曲は、あまりにも共感できなくて、心に入ってこないと思っていた。

始まってからずっとそう思っていた。


中盤

曲と曲の間で彼が、彼自身の話をしていた。長年、音楽をしてきて、紆余曲折あり、きっと苦しいことや悲しいこと、虚しいことを経験してきたんだろう。

そして、自身の病気の話。そこからの活動の話。

最初の印象からすべて変わった。
そこから聞く音楽は、心にすんなり入ってきた。

こんなにも勝手に僕は人の見た目や明るさから、自分の中に入ってくるものを拒絶していたりしていることに気づいた。
僕の心が、いかに薄汚れているか、それを実感した。

そして、紆余曲折ありながらも明るく歌う彼の姿は勇気をもらった。


終わり

最初の印象から、途中で印象が変わり、最後には勇気をもらった。
なんかかっこよかった。語彙力がなくて申し訳ないが、すごいかっこよかった。

やっぱり、男性相手に才能やかっこよさを感じると、すこし嫉妬する。
なぜか勝手に競争意識を感じ、勝手に嫉妬する。
ただそれを凌駕する勢いで、勇気をもらった。



おーたけ@じぇーむず

始まり

彼女は凄い。
正直、始まり、中盤、終わりと分けているが、あまり変化はない。
というのも、最初っから最後までエネルギーが半端じゃない。

私は私の歌いたいものを、私の歌いたいように歌う。ちょっかい出すんじゃねぇ。お前たちは全身全霊で私の歌を聴け。

そんな風に僕は感じた。声量も、音圧もすごかった。

彼女を見ていると、彼女の周りにバリアみたいなのがあって、それによって、僕たち観客からの雑念だったり雑音だったりをはじき返して、彼女自身の世界観を守った状態で、彼女は歌いたい歌を歌いたいように歌っている。

その歌のエネルギーが、バリアを超えてきて、僕たちはそれをありがたく聴いている。そんな感覚になった。


中盤

そんな彼女だが、曲と曲の間のお話が凄い面白い。この企画の主催者で、このあと披露する海月さんをいじったり、自分のことをいじったり、すごい面白かった。

その面白さと、半端じゃないエネルギーの歌い方は、ギャップがあって、最初は困惑したが、すぐに慣れて、面白くなってきた。


終わり

最後の最後まで、私の歌を聴け!と言われているようなエネルギーでいろんな曲を聴かせていただいた。

そんな意思強そうな彼女だが、お話となるとこちら側に寄り添ってくれる。この優しさに触れた時、もっと彼女のことを知りたいと思った。

どこかまた別の機会で、彼女の歌を聴けるのであれば、全身全霊で彼女の歌を感じたい。



海月

始まり

正直、彼女のことが一番、捉えられなかった。

優しく、弱く、儚いように感じた。今にも崩れてしまいそうな、歌声だった。と思いきや、力強く、支えてくれるような歌声だった。

僕は一番心に来た。

彼女がどういう人間で、どういう歌を、どう伝えたいのか、捉えられなかった。きっと、いろんな思いがあるんだろうと思った。

単純ではない。複雑な思い。僕が勝手に触れていいものではない。
彼女自身の思いがきっとどこかにあって、それを簡単に表現していいものではないのかもしれないと思った。


中盤

曲と曲の間のお話で、彼女がどういう思いで、この企画をやったのか聞くことができた。

彼女自身は6年間活動をしているが、そのうち4年間は活動ができていなかった。それでも今年に入ってから活動を再開して、初めて企画を主催したと言っていたと思う。

だから、時折、声が出しづらいのかなとも思っていた。出しづらくてもそれでも力強く彼女の歌声はかなり心に来るものがあった。


また、誕生日というものに対しての話があった。その話にすこし共感するとともに、なんか僕と似たような人なんじゃないかとも思った。

でもきっとそれは、勝手に僕が思ったもので、彼女はそんな簡単に近づける人じゃないはずだ。


終わり

彼女は彼女の痛みや苦しみ、虚しさや悲しさを曲にしているように感じた。それを儚く歌うようで、たまに自分の思いを強く叫ぶように歌う。

だから、弱いようで強い。捉えきれなかった。彼女の弱さを探していると、強さで隠れてしまうし、強さを探していると弱くなり儚く崩れてしまいそうになる。

そんな彼女の歌が僕は好きになった。


余談

ライブが終わった後、すこしお話させてもらった。
彼女は話すと普通の女の子で、普通に喋ることができた。

彼女のことが上手く捉えられなかった僕は彼女に対して「よかったです。」以上の言葉を伝えることができなかった。

でも、とにかくよかったんだと、すごいよかったと精いっぱい伝えることにした。そういうことしかできなかった。

お話させていただいているときにみせる笑顔が可愛くて、綺麗で。でもお話していないときの真面目な顔が儚くて寂しそうで。
そんな彼女のことを知りたい、彼女の曲を聴きたいと思うのは当然だった。


歌っているときに彼女が声を出しづらそうにしているのは、4年のブランクがあるからではなかった。コロナの後遺症で声が出づらかったんだと、後々、彼女のTwitterを調べた時に知った。

彼女に「声を出しづらいのかなと思っていた。それでも声を出そうと力強く歌う姿に勇気をもらった。」と言ってしまった。それは撤回したい。

彼女を追い詰めてしまったように思った。反省した。



まとめ。

山形りおと出会い、このライブに出会い、参加することができてとてもよかったと思う。

僕自身の発見もあった。僕は、儚く、弱く、歌う女性の歌手の歌が心に響きやすいことに気が付いた。

何年ぶり。そういうことをいろんな場面で感じた。
変わったこと。変わらなかったこと。変わってしまったこと。それらをみんな乗り越えて今があって、これからの未来を歩んでいく。

きっと、辛いことも苦しいこともあった。虚しくてやるせないこともたくさんあった。
それでも今回、こうして出会うことが出来た。いろんな思いをもって、いろんな思いをぶつけて、いろんな思いを感じて。

みんなで一緒の時間を過ごせたということが、とても幸せだった。

この数年間で変わってしまったとかいうかもしれないが、今いる自分が、自分だから、それを褒めてあげて欲しいし、肯定してあげて欲しい。

そして、なにより、山形りお、ライブ復帰おめでとう。

終わり。






ライブ前の話。(余談)

3年ぶりのライブ。

僕は、山形りおの音楽が好きだ。
山形りおとの出会いは、別の記事で語る。

そして、山形りおはライブから離れていた時期があったが、3年ぶりのライブに出るという。

僕は、即決した。
これは、山形りおの音楽を聴きに行きたいという思いだけではない。

ツイキャス配信で歌っていたりしていたが、人前で歌うことは久しぶりなのではないか。
路上ライブをしていた時も、人前で歌うのは緊張すると言っていた。
そして、ライブとなるともっと計り知れないほど緊張するだろう。

だから、応援しにいくんだという思いもあった。

ライブ前の話。

過去のツイキャス配信のアーカイブで、6月28日が山形りおの誕生日ということを知った。

今回のライブは6月10日で少し早いが、誕生日プレゼントをあげようと思った。

正直、真剣に女子に誕生日プレゼントをあげようと思ったことはないかもしれない。今までは、渋々あげていたというか、こなしていたみたいな感覚が強い。

でも今回は違った。なにかしらの行動で示したい。僕自身の自己満足かもしれないけど、どうにか喜ばせたい、そう思った。


山形りおは、最近のInstagramのストーリーで花をあげるのも、貰うのも好きと言っていたので、小さいブーケをあげることにした。それだけは決定して、当日、近くの花屋さんで、準備しようと思った。

誕生日プレゼントで花だけをあげるのも悪くない。というか、僕としてはそれくらいの関係値でしかないから、それぐらいがちょうどいいのだろう。

でも、僕は、何かしらアピールしたいと思ったから、花のプレゼント以外に、なにか準備しようと思った。

そこで、仲のいい幼馴染(男)に相談した。

僕「例のさ、山形りおのライブいけることになったんだけど、山形りおがさ、6月28日誕生日で、誕生日プレゼントあげようと思うんだよね。」
幼馴染「ええやん。」
僕「花束と折りたたみ傘にしようかなって思ってる。」
幼馴染「いんじゃね。」

まるで興味なかった。

折り畳み傘にしたのは、誕生日が6月の梅雨生まれだから。
僕の誕生日も6月26日で、同じ6月生まれだ。

これは僕が勝手に思っていることだが、6月生まれは、梅雨をアイデンティティにしている。

雨の多い月。だから、傘。僕も傘をもらったら嬉しい。

そして、折り畳み傘にしたのは、持って帰るのに小さいほうがいいと思ったからだ。そして、可愛いやつにしたかった。


どんな傘にしようか。
それを5月の中旬から悩み続けた。ネットでもたくさん調べた。傘専門店の情報だったり、東京で傘を売っているところを調べた。

調べ続けて、結局決まらずに、6月10日を迎えてしまった。


6月10日のお昼から、池袋駅にいた。
東武百貨店内を巡ったり、ルミネ内を巡ったりしていた。

そもそも、折り畳み傘よりも普通の傘のほうがレパートリーが多く、とにかく僕を悩ませた。
少し年齢層が高いデザインが多かったり、値段が高すぎて渡したときに引いちゃうようなやつも多かったりした。

そうして、たどり着いた先は、PLAZAというお店だった。僕は勉強不足だったのでPLAZAというお店がどんなお店か知らない。


PLAZA店内に入ったら、女性しかいない。男性が見当たらない。正直、この店内で折り畳み傘を僕みたいな男性が吟味するのは、とてつもない場違い感があってキツイものがあった。

10分。10分が店内に居られる限界だった。
一度、店を出て、お店の壁にスマホを見ながら寄りかかり、あたかもトイレに行った彼女を待っている男性になりきる。そして、再び店内に入って、また傘を吟味する。

それを3回繰り返した。

きっと、今日のライブでいろんな人から差し入れをもらうから持って帰りやすい大きさが一番いいだろう。
関係値的に、彼女や親友、昔からの友達っていうわけでもないから、いきなり高いものをプレゼントしたら引かれてしまうだろうな。
傘って贈り物の意味合い的には大丈夫なのかな。開いたときに末広がりだからいい意味もあるってネットに書いてあったし、大丈夫だろう。あと、雨から守るっていうことから、あなたを守りますっていう意味もあるらしい。そこまでじゃないけど、いい意味ならなんでもいいや。
日傘としても使える奴にしようか。それとも、デザインがいいビニール傘にしようか。

かなり迷った末に決断したのはこれだ。

これの緑。クリームソーダだ。この傘を女子がさしていたら、可愛いと思った。値段的にも高すぎないので、引かれることはないだろうと思った。


この傘を手に取って、レジに並んで、会計をする。「ラッピングできますか?」この一言がとても緊張した。

ピンクと青のラッピングが選べた。僕のイメージ的に、山形りおは、青だった。勝手なイメージだ。

ラッピングしてもらって、紙袋に入れてもらい、足早に店を出た。

ライブまでかなり時間があったので、いつもの土曜日の過ごし方で時間をつぶすことにした。

それなりに時間をつぶした後、僕は南阿佐ヶ谷駅に向かった。
南阿佐ヶ谷駅につき、阿佐ヶ谷の商店街で、お花屋さんを探す。

阿佐ヶ谷の商店街を3往復はした。
意外にもお花屋さんがたくさんあって迷った。


トーキョーハナリズムさんにした。
決めた理由は、お店の中が素敵だったからだ。

店内に入る。
僕「こんにちは~」
女性の店員さんが一人いた。

5分ほど、花を見ていた。
ミニブーケにするか、ブーケにするか。
それをずっと悩んでいた。

女性の店員さんが、話しかけてきた。

店員さん「なにかお探しですか?」
僕「そうですね、あまり関係性ができていない女子に誕生日プレゼントをあげようと思って…」
店員さん「関係性が出来ていない女子(笑)。いいですね、どういうのがいいとかありますか?」
僕「持って帰りやすいものがいいかなぁって思っています。」
店員さん「そしたら、そちらのミニブーケとかがいいと思いますよ。」
僕「ミニブーケだと、この暖色系の色が多いですか?相手の色のイメージだと、青っぽいというか寒色系かなぁって思っているんですよね。」
店員さん「そうですね、いま、青色系のお花は今日入ってきてなくて、いまそこにあるブーケのやつしかないですね。」
僕「そうなんですね。関係性的には、大きさはミニブーケのほうがいいかなって思っているんですよね。」
店員さん「そうなんですね、あとは気持ちの大きさになりますね。」

数分悩んだ後、
僕「色で選びたいんで、このブーケにします。」
店員さん「ありがとうございます。」

レジにいく。

僕「ラッピングもお願いしていいですか。」
店員さん「かしこまりました。紙袋はどうしますか?」
僕「お願いします。あ、そしたら、これ(ラッピングしてもらった折り畳み傘)も入る大きさの紙袋にしてもらって、一緒に入れてもらってもいいですか?」
店員さん「いいですよ、そしたらこちらの紙袋でよろしいですかね?」
僕「はい、よろしくお願いいたします。」

店員さん「少々お待ちください。ラッピングしますね。今日お渡しですか?」
僕「はい、今日渡します。」

店員さん「ちゃんとプレゼントも用意されてるんですね。」
僕「そうですね、やっぱりネットでお花と何かプレゼントするといいって書いてあったんで。」
店員さん「素敵です。お花は消えものなので、いずれ無くなりますから、気負いせずプレゼントできるのでオススメですよ。」
僕「そうなんですね。ちなみに、一緒に入れてもらったこれは折り畳み傘なんです。6月誕生日で、6月って梅雨のイメージあるじゃないですか。だから、傘にしようって。梅雨の間だけ使ってもらって、あとは好きなようにしてもらえればいいかなって思って。」
店員さん「ちゃんと考えているんですね。素晴らしいと思います。」
僕「関係値が薄くて、狙っている女子なんです。一切振り向いてもらえないんですけどね。」
店員さん「そうだったんですね、うまくいくといいですね。」

冗談を交えながら、笑いながら他愛もない話をさせてもらった。すこし喋りすぎてしまったかなとも思った。

出来上がったものを受け取った。
男性の店員さんが2階から降りてきて、店のお花を手入れしていた。かっこよかった。


まだ開場まで時間があったので、ドトールで時間をつぶした。
ドトールで、時間をつぶしている間、なぜか僕が緊張してきた。
きっと山形りおも緊張しているのだろうなと思った。
どのタイミングで渡せるかなとか、手書きのメッセージを入れようかなとか、いろんなことを考えながら、時間が過ぎていくのを待った。


17時開場なので、16時50分ごろにドトールを出た。ライブ会場につくと、すでにお客さんが並んでいた。
僕自身は、こういうライブに参加するのは2018年12月14日以来だ。山形りおが出ているライブしか行ったことがない。4年半ぶり。

僕は、有名なメジャーデビューしているアーティストのライブとかに行ったことがない。勇気が出ないからだ。
音楽ライブとして、初めてお金を払って行ったのが、山形りおのライブだった。

それが2018年の12月14日だった。


僕が陣取ったのは、ステージに向かって左側の席にした。これは、初めてライブに行った時も、ステージに向かって左側の席だったからだ。感慨深いものがある。

席に着いてから、メモ帳にメッセージを書いて、紙袋に入れて、始まるまで待機していた。

会場にはすでに山形りおがいて、プレゼントを渡せるチャンスがあったので、渡しに行った。

前回の高崎の路上ライブから、僕が髪の毛を染めたこと、色があまりにも早く抜けてしまって本来の色じゃないこと、プレゼントを渡すのと、ライブ復帰おめでとうということ、誕生日おめでとうということも伝えた。

上手く目を見れなかった。これは単純に女子と喋るのが緊張するからだ。

そうして、会話を終えた後、今回のライブは、ワンドリンク制だったから、飲み物を注文しに行った。
僕はカシスオレンジを注文した。お酒らしいお酒は苦手だ。甘いのしか飲めない。

渡したいものも渡せたし、ライブ前に伝えたいことも伝えられた。


後は、ライブの感想だ。


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