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とあるゲイの昔話:6
社会復帰をした24歳くらいの頃、僕は騙されたとはいえ同じゲイの人とチャットをすることは出来たが、未だに直接会ったことは一度もなかった。もうお金を払うゲイサイトは懲り懲りだったので、ゲイサークルというジャンルで県内で活動している団体がないか、調べるようになった。
そこで出会った人たちと、初めてゲイ同士で会うことが出来たときは、ものすごく緊張していた。見た目はどこにでもいるお兄さんだった。ゲイだと言わなければ全然分からない、とても不思議な気分だった。初めて会ったそのときは10人ほどの飲み会という形で加わったのだが、ド緊張しており何を話したのかあまり覚えていない。元から人見知りだったのもあり、自分から話し掛けることなどできず、居心地が悪そうにちびちびと飲んでいたに違いない。
その後、何度かサークルで泊まりに行ったり、BBQをしたり、花火大会を観に行ったりもしたが、その花火大会で知り合った子と仲良くなり、その子の家で初体験を済ませたりもした(詳細は省く)
かなり刺激的な経験をさせてもらったのだが、あまり知らない集団の人たちと行動を共にする、ということを僕は今までしてこなかったので、知らず知らずのうちにストレスが溜まり、しまいには「逆流性食道炎」を患ってしまった。
寝ていても、胃酸が逆流して寝られない日々が続いたとき、「ああ、僕は無理してたんだな」ってようやく気付くことができた。僕はサークルというものが合わない人間なんだって。確かにみんなといると楽しかったが、深い仲になれたか、と言われるとそうでもない。変に気を使って集団の中にいるより、一対一で会って話をするのが性に合っていると気付くことが出来た。
初体験の子の名前も、サークルのメンバーの名前も、今ではもう覚えていない。今でもあのサークルはあるのだろうか。ほろ苦いゲイデビューとなったけど、色々勉強にもなったあのゲイサークルの名前は、もう記憶にない――
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