【中国ドラマ】恋愛の始まり→絶頂期→終わり→新たな恋のサイクルの「リアル」が細部に宿る『玫瑰的故事(The Tale of Rose)』
美し過ぎて、しょっちゅう一目ぼれされてしまう。
美しいだけでなく、豊かな感性を持つ
豊かな感性にくわえて、なんでもすぐに習得してしまう賢さがある。
同僚や家族や女友達からも愛される。
すべて持ち合わせている。それでも、恋愛の挫折は避けられない。
こんな女性が主人公のドラマにハマっている。
『We TV』で配信中のドラマ『玫瑰的故事』(英題:The Tale of Rose/和訳:ローズの物語)だ。
【玫瑰的故事~予告編~】
主人公の女性(通称:ローズ/キャスト:リウ・イーフェイ)の20年間を描くドラマ。
この物語では、ローズのキャリアの変遷やいくつかの恋愛が描かれる。出演者には人気俳優がズラッと並んでおり、最新エピソード(22話)時点でまだ登場していない俳優が何人かいる。
私は、38話中、22話まで視聴したが、めちゃくちゃ面白い!
物語の主役のローズは、明朗活発でインテリジェントな女性。人を惹きつける容姿を持ち、優しい兄、仲の良い父母に愛されて育つ。
ドラマの最初の数話で「ローズ、無双!」という印象を確固たるものにしてから、続くエピソードでローズ自身の恋愛が始まっていく。
あらゆる面で規格外のローズだが、恋愛の悩みは人並みだ。。
恋の始まり・絶頂期・終わりを経て、失恋期間から新たな恋にシフトするまでの過程の描き方が巧み。
「こういうことを言うヤツとは、結婚したらアカン!」的な実例とか、失った恋の思い出し方なんかが、ものすごくリアル。
誰もが他人に隠している「本当の自分」を持つ。その人の「核心」にたどりつくまでに1枚1枚ヴェールをはいでいくようなセリフ回しも秀逸だ。
たまに、「2000年代にこんなテクノロジーあった?」みたいな場面もあるけど、そうした疑問を物語の力がすべて跳ね返してしまうほど、骨太な構成だと思う。
このドラマは、ローズ以外のメインキャラクターも魅力的。現実世界の人がそうであるように、人生の「酸い」「苦い」「しょっぱい」を上手に隠しながら生きていることが描写されている。セリフで全ては語らない。でも、チラっと見せてくれる。そのさじ加減が素晴らしい。
さて、ここからは、ローズの恋愛の話。
1人目の彼との恋を終え、2人めの彼を選んでからの展開で、ギョエッと声を出しそうになった。
以下、22話までのネタバレを含むので注意。
【中盤までのあらすじ。以下、ネタバレを含みます(ローズの恋愛のはなし)】
ローズが初めて恋愛関係になったのは、仕事ができ、センスがよく、教養があり、機転がきく、モテモテの男性。
一目見てお互いに運命的な印象を抱いてから、戦略的に駆け引きしながら距離を詰めるプロセスは、視聴者もワクワクが止まらない。
2人の思いが通い、とうとう恋人に! めでたしめでたし。
…とはならないのが、このドラマ。
初めて恋愛にのめりこんだローズは、自分が相手を思う分だけ、相手に返してもらわないと納得できない。
だが、いがみ合う父母の背中を見て育った彼は、愛に幻想を抱かない。ローズがそんな彼をどれだけ愛しても彼の優先順位は「キャリア優先。愛は次点」で揺らがないのだ。
相手との価値観の相違を目の当りにして、激しい気持ちをコントロールできずに「恋の激情」に飲み込まれてしまう。
結局、短い大恋愛を終え、ふとした瞬間に涙が出てくるような日々を送る。
……そして、ローズが次に選んだ男は、自分に惚れ抜き、優しくて、ひたすら尽くしてくれる男だった。
料理を作り、食器を洗い、掃除もしてくれるし、自分の両親にも礼儀正しい。いつだってローズのそばにいてくれる。
灼熱の恋から、穏やかな愛へ。めでたしめでたし。
とはならないのが、このドラマ。
この男は「ローズを愛している」よりも「欠如した自尊心をローズで埋め合わせ、ローズを支配して、自分の“モノ”にしたい」という愛とは非なる感情を持つ男だった!
謙虚で優しく見える。でも、粘着質で独占欲と自己愛が強め。
非の打ちどころのないように見えるローズの最初の彼に劣等感を刺激され、2番目の彼の態度が少しずつ変化していく。真綿でローズの首を絞めるような言動が顕著になり、モラハラ臭を漂わせるまでの過程のリアルさには、鳥肌がたつほどだ。
視聴者に「激しい恋の後は、やっぱり愛される穏やかな恋よねえ」と思わせておいて、「1人目の彼より、2人目の彼のほうがよほどやべえ!」という急降下のジェットコースターに乗せてくる制作陣、すごい。
ここから、ローズはどんな恋愛をしていくのだろうか。
ローズの兄の恋愛にも要注目。
そして、この私の推し俳優の「林一(リンイー)」が今後、どのように登場するのか、待ち遠しい。
『玫瑰的故事』は『We TV』で配信中。全38話(6/18時点で22話まで配信中)。