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最近飲んだトンデモデカフェゲイシャについて

スパークコーヒーの田中義也です。

最近は毎日音声配信をしていることもあり、テキストでの発信がおろそかになっていました。久々に書き下ろしてみようと思います。

私の番組はこちら↓

今日はとんでもないカフェインレスコーヒー(以下デカフェ)飲みました、というお話をしようと思います。


まず手短にそのコーヒーについてお話しすると、ジャミソン・サベージという超スーパースター生産者の手がけるパナマのモルガンエステートという農園で栽培された「ゲイシャ」という高級品種、しかも特殊な生産処理を施した世界大会で上位を狙えるレベルのとにかくすごい生豆をカフェイン除去し、ワールドバリスタチャンピオンである井崎英典さんが焙煎したものを購入しました。


手短に、と言いつつだいぶややこしい状況ですが、、、。

詳しくは井崎さんのnote に詳しいのですが、お子さんが誕生されたという事で奥さまが飲むコーヒーをデカフェにする必要が生まれ、そこでどうせならめちゃくちゃ美味しいデカフェを自分たちのために作ってみよう、というのが事の発端だそうです。


それで、世界チャンピオンである彼のネットワークにより入手した上記のトンデモゲイシャをデカフェ処理して焙煎して飲んでみたところとんでもなく美味しいものができた、という事をnoteで発信したところ購入希望が殺到したため(私含め)、この度販売に至ったというわけです。


という事で私が購入したのがパナマ・モーガンゲイシャ・コメットというもので、80gで¥10,800でした。

めちゃくちゃ高いように感じますが、確かにジャミソンのゲイシャならこのくらいは普通にします。

が、特筆すべきはこれ、デカフェ処理されているという事です。しかもおそらく国内で。

その分のコストが乗ってないんじゃないかな?と推察しますが、そう考えると世界大会で優勝を狙えるコーヒーを1万円くらいで数杯楽しめるならむしろだいぶお買い得です。


さて、味わいについては、、、優勝でした🏆


いやーびっくりです。まず間違いなく言えることは、このコーヒー「デカフェ枠」で括るべきではなく、本気で競技会で勝てるレベルのゲイシャでした。

というのも、デカフェの味わいというものは近年品質向上がみられているとはいえ、通常品(デカフェ処理されていないもの)と比べるとあと一歩味わいが劣るのが現状でした。

豆腐っぽい、焼き芋っぽい、栗の渋皮っぽい、、、などなど人によって表現は異なりますが、一様に「デカフェの味」というものを纏っているものでした。

焙煎を浅くするとそのあまり好ましくない味わいが顕著に出てしまうため、やや深めの焙煎で商品化するのが一般的です。

とはいえ、デカフェを購入されるお客様の求める味わいというのもやや深めの焙煎であることが多いため結果オーライというか、その辺りは許容されている節があります。

現在スパークコーヒーで販売しているデカフェもそのような味作りになっています(ご注文は以下リンクから)。

https://item.rakuten.co.jp/sparkcoffeeroasters/s-decaf-100/


おそらくですが、当店取り扱いのものも含め私たち日本のロースターが扱うデカフェの大半は「スイス/マウンテンウォータープロセス」というデカフェ処理を施されたものだと思います。

余談ですが、「スイス〜」だとカナダで、「マウンテン〜」だとメキシコでデカフェ処理が行われたものを指し、いずれも同様の処理方法です。ややこしいですね。

薬剤等を使用しないシンプルな処理方法として日本での流通量も多い(私の感覚値です)この〇〇ウォータープロセス、以前であればコモディティレベル(の中でもグレードの低い、ブラジルであればNo.4/5、エチオピアであればG4など)のものがデカフェ用の原料として使われてきた背景があったと思います。

現在では生豆の時点でしっかり完熟したスペシャルティグレードのものをデカフェ処理したものも流通するようになり、当店取り扱いのデカフェもそのようなクオリティの高いものを焙煎しています。ご注文は以下リンクから(2回目)。

https://item.rakuten.co.jp/sparkcoffeeroasters/s-decaf-100/


話がやや長くなっていますが、その〇〇ウォータープロセスで品質の高いものが出始めてきてはいるものの、通常私たちが焙煎・販売しているようなシングルオリジンと比べて全く差がないほど所謂そのデカフェ臭がないのかというと、、、答えは否。というのが現状です。


そんな折、今回のトンデモデカフェゲイシャです。


おそらくは国内で、「超臨界二酸化炭素抽出法」によるデカフェ処理が施されているものと推測します。

同メソッドについてはググっていただくとして、、、とにかく現在において最もデカフェ処理における風味の劣化の少ない方法とされています。

それ故かデカフェであるということはほぼ、というか全く感じない素晴らしい風味と甘さ。

そう、このコーヒーの素晴らしさはとんでもないボリュームの甘さにあると思っています。

焙煎はかなり浅めの仕上がりかと思いますが、トロピカルフルーツの風味。

質感もトロトロでした(ドリップで)。


井崎さん、ありがとうございます。


ここからは余談ですが、私たち夫婦がこのコーヒーに心惹かれた要因の一つは生産者がジャミソン・サベージであるということ。

今回はモーガンエステートですが、彼のもうひとつの所有農園であるフィンカ・デボラは2016年にWBCで優勝した台湾のバーグ・ウーが使用したことでも有名であり、近年数え切れないほどのナショナルチャンピオンたちがこぞって使用するコーヒーを生産しています。

私たちは数年前から、そんなジャミソン(のコーヒー)のファンでした。

彼とは実は2017年ごろに、仙台でニアミスしていたのです。

大まかには端折りますが、フランスに「クチューム」というロースターがあります。以前は日本にも進出していたこともあるこのクチュームのオーナーであるアントワン・ネチアンという男性が日本人女性と結婚することになり、結婚式のために仙台を訪れていました。

彼は私の店を大変気に入ったようで、結婚式の後に各国から招いていたコーヒー関係のゲストを集結させてカッピングをやろう、と言い出しました。

そんな彼の結婚式に招かれたゲストとはつまり各国のセレブ生産者。その中にそう、パナマのジャミソンも含まれていたわけです。

2016年WBCチャンピオンが使った農園の生産者であるということはもちろん知っていましたので、「フィンカデボラが飲める!」ということで私たちはとても興奮しました。

残念ながらスケジュールの関係でジャミソン本人は私の店には現れませんでしたが、カッピングした彼の素晴らしいゲイシャの味は今でも忘れられません。

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そんなことがあってから2年後の2019年、私たちも訪れたWBCボストン大会の会場で、ようやくジャミソンと会うことができました。

2年前にこんなことがあったよね、という話もでき、ゲイシャの豆までプレゼントしてくれました。とてもナイスガイです。ハリウッドスター的な。

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、、、というジャミソンのコーヒーだということが、私たちの心に強く刺さったのです。


さらにこのほど井崎さんにお子さんがお生まれになり、これから私たち夫婦に起こる状況とリンクしている、ということも強く強く情緒的価値を感じさせる要因になりました。


改めて、ストーリーほど購買行動を起こさせる理由となるものは無い、と思わされる出来事でもありました。


妊娠中の妻にとって、とても良い体験となったようです。


井崎さん、ありがとうございました!


ちなみに、私が毎日配信している番組でもこのコーヒーについて語っています。

妻にゲスト出演してもらったこちらの回↓

と、ほぼ今回の記事と同内容を語ったこちら↓

この2回で言及しています。

お時間あれば是非聴いてみてくださいね!


最後まで読んでいただきありがとうございました。


今月noteの更新はおそらくこれが最後です。また来月もお会いしましょう!

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