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指揮の心得 3つの意識

こんにちは。授業支援クラウド「スクールタクト」を開発しているコードタクト代表の後藤です。教育、IT、音楽が専門のEdTech系指揮者です。

先週、指揮を務めている那覇ジュニアオーケストラと仙台ジュニア、相馬や大槌のエル・システマ、そして那覇の合唱団と一緒に演奏会をしてきた。

兼業指揮者で十分な勉強の時間も取れていないけれど、奏者の高校生や大学生そして保護者の方から、後藤さんの指揮で演奏すると音が変わるというお褒めの言葉を頂き、ありがたかった。

そんなこともあり、短い時間の中で指揮者としてどんなことを意識しているかを改めて整理してみている。もっと改善していかなければだけど、現時点での整理。

兆しを探す

指揮するためには大きく2つの段階があり、
1つ目は、予習として楽譜を読むこと。2つ目は、演奏すること。

まず1つ目の楽譜を読む時に意識しているのは、
音楽の中に隠れている兆しを出来る限り探す
こと。そして、そのための方針として以下の2つを意識している。

  • 意味のない音符は1つも無い

  • 音楽を身体的に捉える

そして演奏する時には、

  • 即興さを大事にする

ことを意識している。では、解説をしていく。

意味のない音符は1つも無い

楽譜を読んでいると納得いかない音や表現も出てくるので、「意味のない音符は1つも無い」と思って、楽譜を読んでいるという方が正しい。

納得がいかない場合は、これまでの人生においてその音楽が表現している世界や感情を経験していなかったり、考えたことがないという所に原因があったりする。つまり、自分の中に感情の引き出しが無いということだ。

こういう時は、うなりながら考えて辻褄が合うようなストーリーを考える。
映画を見たり、絵画を見たり他のアートに触れることで様々な世界を知ることが意外と解決の糸口になる。

また、音符に意味を見出すためには以下のような兆しの見つけ方がある。

  • なぜこの音符にテヌートがあるのか、なぜmpになるのか理由を考える

  • 調性の変化は、物語の場面転換の可能性がある

  • 楽器同士の対話を見つけ、その構造を理解する

フルートとヴァイオリンだったり、ホルンとチェロが会話をしているような楽譜があり、それをきちんと浮き立たせるように演奏ができると音楽に立体感がでる。

音楽を身体的に捉える

当たり前だが、人間は身体を持ち、身体を通して環境と相互作用をするので、音楽も身体を通して想起される。

  • 拍子を心臓の鼓動のように捉える

  • 和声を緊張と弛緩、重力のように捉える

拍子は心臓のような小さなエネルギーの循環を表現し、小節ごとの和声の変化は、重いボールを持ち上げてから解き放つような位置エネルギーと運動エネルギーの変換に等しい。

即興さを大事にする

ここからは演奏の話。楽譜を読み込み兆しを捉えて、練習でオーケストラの奏者に伝え、それを演奏会で実行する。というのは大抵上手くいかない。

そして指揮者の考えを一方的に伝えるその行為は、指揮者の傲慢のようにも感じる。音を出すのは奏者であり、50人以上の奏者自身の思いや創意工夫が混じり合い、音楽として複雑に溶け込む必要がある。

  • 演奏会のホールの響きや、奏者の体調、お客さんの空気感、気温や湿度で楽器の鳴りも変わるので、段取り通りにはならない

  • 指揮者だけでなく奏者も、お互い音を出す一瞬一瞬の判断を積み重ねで音楽が作られる。周りのテンポが遅いなと思ったら、リーダシップを取り少し速めに弾くなど状況判断力が必要

  • その時に鳴っている響きが1番良く聞こえるようにテンポを決める

指揮者は音楽に対する明確なイメージを持って指揮台の上に立つため、頭の中には理想とする音楽が鳴っている。しかし、現実に今鳴っている音楽をしっかりと聴き、その中で柔軟に音楽としてストーリーが成り立つように瞬間瞬間で構成をしていくことが大切。

まとめ

指揮者として意識していることをまとめてみました。

あんまりいないだろうけど、ご興味ある方は指揮の依頼おまちしてます。また、指揮法も月に数回程度教えてます。

https://twitter.com/spagetty


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