GIGAとコロナの交差点(2) 学習者主体の学びが急速に広まる
こんにちは。スクールタクトという授業支援システムを作っている後藤です。
前回「GIGAとコロナの交差点(1)」という非常に地味で詩的なタイトルにしてしまったので、全くPVがありません(笑)。
私としては人生をかけるに値する重要なテーマだと思っているので、もうちょっとPV上がって欲しいです。拡散希望!
前回のダイジェスト
コロナの被害は甚大で世界的にピンチなのですが、ピンチはチャンスということで、チャンス観点でみると、いま、ものすごい奇跡的な偶然に我々はいます。
GIGAスクールとコロナが交差する今だからこそ、ずっとできていなかった学びに対する大きな意識改革を行えると思っています。
学習者主体とはなにか?
その意識改革とは、学習者主体です。
学習者主体とは、自ら学習目標を設定し,計画を自分で随時モニタリングし,結果を自己評価分析し、さらなる学習を進めていくサイクルを指すとここでは定義します。自己調整学習と名前がついているものに相当します。
これまでも学習者主体という言葉はよく教育業界では使われていたのですが、日本の教育システムの完成度が高く、受動的な学びのシステムに引き寄せられてしまっていました。
先生から達成目標が与えられ、授業を聞いてインプットし、テストで先生から評価されるというシステムです。全国どこでも均一な教育を受けられる仕組みとして世界に誇るものだと思います。
ただし、今の時代に生き残る人材を育成するためには、これを再構築しなければなりません。それは世界のルールが変わったからです。
この辺りは、また話が長くなるので割愛します。私なりの解釈をまた別の機会に書きますが、例えば、「21世紀スキル」や文科省の「生きる力」、ハーバード大学ハワード・ガードナー教授の「MI理論」などがそれに相当します。
学習者主体にならざるを得ない環境
今回の新コロナによる一斉休校によって、これまでゆっくり進んでいた教育のオンライン化の取り組みが急激に進み始めています。
ここで図を見てみましょう。
リアルとバーチャル、授業者主体と学習者主体という2軸でまとめています。
リアルは教室でみんなが集まって行うことを指し、バーチャルはインターネット上でみんなが集まることを指します。
授業者主体は、一斉授業などの学習者が受動的な学びとなる授業方法を指し、学習者主体はワークショップなどの学習者が能動的な学びとなるような授業方法を指します。
これまでの多くの学びは、リアル&授業者主体の一斉授業スタイルです。
授業者主体のマインドのまま学校休校で、バーチャルの世界に行くと、Youtubeで授業動画を見ようという発想になります。実際、今このような意思決定をしている学校が多くなっています。
先生も教育委員会も学習者主体であるべきと頭ではわかっていながら、アンラーン(unlearn)、つまり、これまでの自分の成功パターンである授業者主体のスタイルを壊すことできないのです。
これでは、仮にコロナが収まり学校に登校するようになっても、これまでの一斉授業に戻ってしまいます。
ちなみに私は、一斉授業や動画視聴を否定しません。ただ授業者側のスキルが高くないと成立しないスタイルだと思うので、一斉授業での学びの比率を下げるべきだと思っています。(ここも言いたいことが色々あるけど、別の機会に)
ここで、動画視聴には大きな欠点があります。それは、ネット環境の整備状況の偏りです。
自宅にパソコンが無いが、スマホはあるという家庭は多いでしょう。ただ自宅にネットを引いていないというご家族は一定数います。スマホで動画を視聴する場合は、途中で通信制限が起こったり、通信料が高額になるという問題がでてきます。
この制約条件のため、朝の会だけzoomなどのweb会議システムで集合し、今日の目標を自分たちで宣言・共有し、そこからは個別学習、また夕方にzoomで成果をお互いに報告し合い、振り返る。というような通信料が極力かからないようにするスタイルが現れてきました。
具体的には、小金井市立前原小学校の蓑手先生の取り組みが好例です。
この事例では、私が開発しているschoolTaktが強力な役割を果たします。
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つまりこれは図で言う右上、バーチャル&学習者主体の領域に移ったことを意味します。
先生から達成目標が与えられ、授業を聞いてインプットし、テストで先生から評価される授業者主体ではなく、自ら学習目標を設定し,計画を自分で随時モニタリングし,結果を自己評価分析し、さらなる学習を進めていくサイクルを形成する学習者主体にシフトしています。
仮にコロナが収まり学校に登校するようになったら、学習者主体のマインドが醸成されているので、一斉授業に戻らずグループワークなどの授業形式に移行しやすくなります。
コロナによる一斉休校により、様々な問題が起こっていますが、ピンチをチャンスと捉えると、各家庭のネット環境が十分でないという制約条件により、今まで行っていた授業者主体の授業ができなくなり、学習者主体の授業に転換するアンラーンの良い機会となったのです。
GIGAとコロナの交差点 再
前回のnoteで私は、
まさに2020年、GIGAスクールと新コロナというタイミングが重なり、10年間考え続けて実現させたかった教育ICTのムーブメントが起こる材料が揃いました。
と書きました。このことを具体的にまとめると以下のとおりです。
新コロナの一斉休校により授業が通信制限という制約条件の中オンライン化されたことにより、学習観が授業者主体から学習者主体に変わりやすくった。それと同じタイミングで、GIGAスクール構想により児童生徒に端末が一人一台配られることで、一気に学習者主体の学びが、エコブームのような大きく全国民に広まるムーブメントになるのではないか。
これがコロナという不幸の中の幸いとしてGIGAと奇跡的なタイミングで交わったということです。
どう実践していくのか?
では、今後一人一台端末となった時に、どのように学びをアップデートしていけば良いのでしょうか?具体的な段階は?実践方法は?
(次回に続く)
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