コロナ禍で学級崩壊は増えるのか?
こんにちは。授業支援クラウド「スクールタクト」を開発しているコードタクト代表の後藤です。教育、IT、音楽が専門のEdTech系指揮者です。
2021年になってもコロナ禍止まらず、様々なところに影響がでています。
ちょうど昨日(2021年1月22日)にコロナ禍で学級崩壊が新聞記事が話題になったので、教育心理学の視点で分析しつつ、これからの学校に必要なICTのあり方について書きたいと思います。
児童が授業中に歩き回り、注意されると先生を罵倒する。授業は成立せず、登校できなくなった児童もいる-。新型コロナウイルス感染症による長期休校や、行事の縮小・中止、詰め込み授業が続いた
「低学年に校歌を教えたり、運動会でかっこいい姿を見せたりできなかった。高学年だと自覚する機会が奪われたことも、荒れた要因の一つだと思う」
学級崩壊の統計データは無い?!
そもそもなんですが、文科省では学級崩壊の実態調査は行われておらず、暴力行為、いじめ、不登校、自殺などについて統計資料があるので、学級崩壊の増減は感覚値でしかわかりません。
ただ、暴力行為や不登校など学級崩壊と高い関係があるので文科省の「いじめの認知件数の推移」のグラフを見ると、コロナに関係なく特に小学校で大幅に増えていることがわかります。
しかし、いじめの「認知」件数であることは注意が必要だなと思います。昔に比べ、いじめに実態を隠せなくなっているので昔からあったものが報告されやすくなっている可能性もあるからです。
(とはいえ、全国の小学生の数がざっくり600万人に対して1年間で40万件のいじめ報告があるので、多いですね。。。)
コロナ禍で学級はどうなったか?
学校における行事の意味合いの1つに、ルールによる集団統率があります。小金井市前原小学校の元校長である松田孝さんの論文には、以下のように行事と学級集団を統率について語られています。
年度当初の学校行事がルールによる集団統率を加速させる。児童会による1年生を迎える会に全校児童が一堂に介せば,逸脱行動は許されない。高学年の委員会・クラブ活動の組織作りは,担任がルールを設定して所属を決定する。全校では安全指導や避難訓練の実施で安全確保のためのルールの徹底が図られる。
この新聞記事でも言っているように一斉休校により学校行事の中止が相次ぎました。つまり、行事の中でルールを守るという練習が例年よりも不足しているということがわかります。
また、昨年12月での日本教育心理学会のシンポジウムで、コロナ禍の一斉休校により、子供の承認感が下がっているという報告がありました。
教室で何か辛い思いをしている生徒に対して、先生が声がけをするとか気の利いた友人が遊びに誘うなどの支援が自然と行われていました。そのようなことが子供の承認感の低下を日常的な予防になっていました。
しかし、一斉休校で、オンラインにも対応できていない学校では自学習しか方法がなく、先生や友達との関係性も希薄となり、承認感が下がりっぱなしになってしまうというわけです。
ルールとリレーションで学級を見る
教育心理学者の河村茂雄先生は学級崩壊やいじめ不登校などが起きない学級集団づくりには、「ルール」と「リレーション」の形成が大切だと述べています。
■ルール
学級内の対人関係及び集団活動・生活をする際のルールが定着している状態
■リレーション
互いに構えのない、ふれあいのある本音の感情交流がある状態
この新聞記事の内容を教育心理学的に見ると、一斉休校により学校行事が大幅に縮小したことによりルールが定着せず、普段の授業中や休み時間での子供同士の関わりが無くなったことでリレーションが形成できなかったことが原因と考えられます。
コロナ禍のリレーション形成にこれまでの手法は通用しない
子供の頃学校で、フルーツバスケットというゲームをやったことはないでしょうか?実はあの活動は、グループエンカウンターというリレーション形成のための手法の1つです。
■グループエンカウンター
情報や知識や物事の善悪ではなく、感情の交流を主とし、自己についての発見や他者の存在や他者との関係を確認し、行動の変容と成長を狙ったグループ体験
日本のグループエンカウンターに関する実践は、すごく沢山あるのですがそのほとんどが児童生徒が教室などに集まり、アナログでやる手法です。
今後コロナが加速したり、地震などの天災が起こるなどしても「学びを止めない」という観点で考えれば、オンラインでできるグループエンカウンターが必要でしょう。
ICTを使ったリレーションづくりを
コロナ禍での一斉休校中、先生方のものすごい努力によって児童生徒の家庭をオンラインで繋ぎ、私達が作っている「スクールタクト」を使ってオンラインのグループエンカウンターや授業を実践して下さいました。
こちらでほんの一部ですがまとめています。また、その先生の中に、ご自身の実践を本にまとめて紹介してくださっている方もいます。
ICTを普段づかいしないと危険回避できない
休校時だけICTを使って授業をやろうと思っても上手くできるはずがありません。練習せずに試合に望むようなものです。
先生方はこれまでチョーク&トークだったこともあり、アナログで授業を進めてきました。いきなりICTを使いこなすのは慣れないのは当たり前です。
「これまでこのやり方でやってきたんだから、やり方は変えない!これで子供はちゃんと学力が伸びているんだ!」
それは確かにそうなのかもしれない。でも、物理的に通学することが100%保証されない時代に、もうそんな言い訳は通用しないのです。
私達が作っている授業支援クラウド「スクールタクト」は、ただ授業を円滑に行うだけではなく、親和的な学級集団づくりをサポートします。
「GIGAスクール構想で端末を入れた。その端末で動画を見せたりドリルを解かせればいいか」とお考えの教育委員会や校長の皆さん。ぜひスクールタクトを使って、通学することが100%保証されない時代の親和的な学級集団づくりをしませんか?
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