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宮本崇輝 Takaki Miyamoto Glass exhibition ~ communication ~

2022年夏も、宮本崇輝さんのガラス作品の季節がやって来る!というくらいに宮本さんの作品が皆様に浸透してまいりました。
今年の宮本さんは、ガラスの表面の彫刻と申したら良いのでしょうか、個性的な創作の秘密を発明、オリジナリティあふれる素敵なサーフェスの作品を見せて下さいました。

宮本さん、ご自身のブログをアップされましたので下記に転載させて頂きましたが、実際の宮本さんのサイトには英文訳もご用意され、デザインされておりますので、下のリンクからダイレクトにお読みいただいた方が楽しいかもしれません。
https://takakimiyamoto.blogspot.com/



こんにちは。一年に一回のペースでのブログの更新となっていますね。
今回は、今年のスペースユイでの展示を終えて、感じたことを日頃の事と絡めて書いていきます。

私事ながら、この一年の間に大きく人生が動きました。大切な新しい命が宮本家に加わり、9ヶ月がすぎました。色々と自分の視点が変わってくことに驚き、面白さを感じつつ過ごしています。

数年前にガラスの武者修行でデンマークやオーストラリアなど様々な国を渡り歩いた記事もありますので、もし興味がありましたら過去のブログも見てみてください。

更新頻度は大分下がってしまいましたが、ブログというものは手軽なSNSと違って、色々と文章にするために頭の中を冷静に、時に熱く回転させ整理しないと書けないですね。それがとてもmeditationのようで、なんだか心地よく、そしてこの時間も大切なんだなと思います。

数年前にも書いたかもしれませんが、富山ガラス造形研究所で助手をしていた頃、吹きガラスの筋骨隆々なブライアン先生の授業を受け持っていました。彼は見た目とは裏腹に、授業の最初に毎日必ず5分間生徒に文章を書かせます。人に見せるものではなく、ただただ今の自分のことをノートに書くのです。みんな思い思いの場所で姿勢で書いていました。そうすると、ココロがスーッとするのです。整うという感じ。

今文章を書いていてブライアンのことをふと思い出しました。

さてさて、先日東京の南青山にあるスペースユイにて個展を行いました。スペースユイでは、有難い事に9年前に初個展をしてから、ほぼ毎年声をかけて頂いており、本当に感謝致します。今年は、久しぶりにコロナもなく皆様が来場しやすい年になるかと思った矢先、コロナの第7波がきてしまいました。さらに酷い猛暑も重なり厳しい状況でした。その様な中でも、個展の開催をさせて頂いたスペースユイ、個展の会場にお越しいただいた皆様には感謝しかありません。

「感謝」と申しましたが、このワードは非常に大切であると最近常々思うのです。
日常どうしても忘れてしまいがちなこの言葉。

今回の個展のタイトルは「Communication」でした。
人と人。
人とモノ。
モノと場所。
対話。

素材と自分とのコミュニケーション。

ガラスという素材に触れ制作を続けていると、強引に自分に引き寄せる事では作品は出来上がらないと気がつく。しかし、ガラスの現象に任せすぎても作品は出来上がらない。そこで対話が必要となる。自分に引き寄せるための技術力、素材に任せる偶然性。このバランス感が重要となる。

住む土地。
働く場所。
家族。
自分。
それを取り巻く光や空気。

歩むにつれて変化していく。
そして、それらを素直に受け入れたい。
それらと気持ちよく繋がりたい。

あれ?なんだか繋がっているような気がする。

コミュニケーション。
これからもずっと大切なキーワード。

「コミュニケーション」の内側にある大切な言葉。

感謝。

ついつい慣れてきたり、自信が変につき過ぎたり、その一方で急に失敗したり、物事が上手く行かなかったり、不満を言ったり、焦ったり。
調子が良い時も調子が悪い時も忘れてしまいがちな大切な言葉。

ガラスを触って、向き合って、コミュニケーションを見つけ、さらに感謝に行き着く。

なんだか不思議で繋がっていないようで、繋がっている。

そしてまた、ガラスを触る。

今回の展示をきっかけに2、3年ほど前から考えてきたガラスとの対話の仕方がはっきりとしてきました。

「必然性と偶然性のバランスを探る」

そのために技術力が大切となり、観察力が大切となる。
長くなってしまうので、この話はこの辺で今回は終わり。

ついつい仕事として毎日のようにガラスを吹いていると、様々な雑念や失敗から感謝を忘れてしまいがちです。当たり前は当たり前ではなく、今ここでガラスを吹くことが出来ている事に感謝したいです。さもないと、「モノづくりは楽しい!」と純粋に思うことを忘れてしまいます。
感謝を忘れず、人やモノやコトや環境や自然と対話をし、作る楽しみを感じながら生み出された作品は、自分そのもので、きっと豊かな表情を見せてくれるのだと思います。

次は10月に金沢で北陸では初めての個展があります。
無駄に焦る事なく、日々一歩一歩成長できたらと思います。
ここまで読んでいただき有難うございました。

さてやりまっせ!


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