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実務経歴で資格取得する目的

ここまでは、若い方、あるいは異業種に就職したが、電気の仕事を目指してみようとお考えの方をイメージして記事を書いてきました。
他方、電力関係の業界で勤務されている方、あるいは退職された方にとっても、実務経歴で電気主任技術者の資格を取ることは大きなメリットがあります。
前述した「電験なんて取得しても意味がない」などと言う意見の方は、こうした年月を経てのメリットが見えていない人なのです。


1.上位資格をイメージして

認定高校卒業の方で、必要な科目も履修されているのであれば、まず、できるだけ早く電験3種を取得されることをお勧めします。
そのため早いのは、「試験合格」でしょうか「実務経歴」でしょうか。電験3種の資格試験は、2023年度から2回になりましたので、タイミングが合えば、試験合格が早いかもしれません。ただ、合格通知から免状が届くまで、約2カ月かかるそうです。

一方「実務経歴」は、すでに経験があるなら、いつでも進められます。実務経歴を書いて、産業保安監督部電力安全課で面接して、書類がOKなら、それに会社のハンコをもらって、申請すれば、約1カ月で免状が届きます。
こちらの場合、産業保安監督部の担当の方との面接の予約がなかなか取れない場合は、数カ月待ちになる場合もあります。
また、すでに退職した会社であれば、その会社のハンコもなかなか頂けない場合もあります。

いずれの方法を取られるにせよ、お勧めは一日でも早く取得です。
その理由は、上位資格の取得につながるからです。

2.具体的な上位資格取得とは

具体的には、どういうことかご説明します。
「電験3種取得」⇒
⇒ 電気保安の実務経験5年⇒「電気保安管理技術者」として認定を受ける
・・・独立して保安業務が可能です。電気保安の会社なら給料アップ
⇒電気工事の実務経験5年⇒「電気工事施工管理技術者試験の受験資格」
・・・試験に合格すれば電気工事施工管理技士として建設業でも活躍可能
⇒1万ボルト以上の実務経験5年⇒「実務認定で電験2種取得
・・・電験2種は一般的には最高の資格です。昇進する可能性も大。
   再就職にも有利でしょう。

 

3.実務経験に関する重要な留意点

(1)電気保安管理技術者
(経済産業省ホームページより)
令和3年3月1日以後、平成15年経済産業省告示第249号の一部改正により、電気主任技術者の外部委託制度に係る電気事業法施行規則第52条の2に規定する個人事業者又は法人の保安業務従事者になろうとする方については、第2種電気主任技術者免状又は第3種電気主任技術者免状を有する場合、同告示第1条第1項第4号に規定する自家用電気工作物の保安管理業務に関する講習(以下「保安管理業務講習」という。)を受講することで、必要な事業用電気工作物に係る実務従事期間(電気主任技術者免状の交付を受けた日前における期間については、その2分の1に相当する期間)を、4年又は5年から一律3年に減じることが可能となりました。

つまり、(電気)保安管理講習を受講し修了すれば、実務経験は一律3年に短縮されるのです。

(2)会社の証明印

実務経歴証明書を記載し、産業保安監督部で面接OKになったら、それにその実務経歴のあった会社(退職した場合は、その会社)の押印が必要です。立派な実務経験があっても、その実務経歴証明書の記載が完璧だとしても、勤務したその会社が無くなったら誰も証明できないので、申請者の実務経歴もゼロになります。
また、会社側が、退職者の書類や退職しようとする社員の書類に押印を拒む場合があります。その場合も、困るのは申請者です。(このケースでのご相談が近年増えています。)
押印なければ、試験合格しかありません。

ですから、一日でも早く、取得されることをお勧めするのです。


4.定年後を意識して

「長年電力関係の仕事をしたけど、今さら試験なんて無理」と思われる場合も、出来れば現役の間に、電験3種、又は電験2種を取得されることをお勧めします。
電気主任技術者が一定規模の電力設備を持つ事業者には必要ですので、早く取得して、いい話があれば、定年後又は退職後の新しい職場として、長く働くこともできます。また、電気保安管理技術者としての道も広がります。

 



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