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エンジニア主導の開発を。スペースマーケット、ガチスクラムを始めました。

スペースマーケットがプロダクト開発を進める上で「ガチスクラム」を始めたと聞き、VPoEの成原とスクラムマスター西川に突撃インタビュー!

こんにちは。スペースマーケットのあーみんです。

スペースマーケットのスクラムの面白さや、他社との違い、1日の流れ、今後チャレンジして行きたいことなど根掘り葉掘り、話を伺ってきました。



Engineer Div. VP of Engineering 成原 聡一朗
1988年、札幌市出身。 23歳の時、WEBの世界に魅了され、独学でデザインなどを学習し、WEBデザイナーとしてキャリアをスタート。 受託制作会社で数年キャリアを積んだのち、WEBにおけるJavaScriptの可能性に魅了され、フロントエンドエンジニアに転向。 スペースマーケットに入社後、エンジニアリング領域でのマネージメントの面白さ、奥深さに気がつきエンジニアリングマネージャーへ。 2023年1月より、エンジニア組織全体を統括するVPoEに就任。


Scrum master 西川 涼
兵庫県出身。2000年頃からインターネットサービスの開発に取り組み、その後Webマーケティングのキャリアを中心に歩み、2023年5月にスペースマーケットに入社。SEOに付帯する専門知識を強みに、スクラムマスターとしてプロダクトの改善を推進。




そもそもスクラムってなに?


ラグビーのスクラムが語源

スクラムとは、アジャイル開発の透明性を高めるフレームワークです。開発者、プロダクトオーナー、スクラムマスターの3つのロールが切磋琢磨します。プロダクトの目指すゴールに向かって、イテレーション(スプリント)のサイクルで少しづつプロダクトに価値を積み上げます。

スクラムガイドより引用

短い期間で計画と実装を繰り返し、メンバー同士が密接にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めます。プロジェクトマネジメントを行うのは開発者自身です。チームの自己管理を促進し、互いに律し合い高め合えるようなチームを目指し、スペースマーケットでは専任スクラムマスターを設定しています。


スペースマーケットのスクラムを大解剖!


ーースペースマーケットがプロダクトの開発体制に「スクラム」を導入した理由を伺えますか?

成原:もともと、プロダクトの開発体制をよりよくするための一環として、2023年5月ごろからスクラムのフレームワークを導入しています。その上で、通過点としてのGMV100億とその先の非連続な事業成長を実現するために、これまでのチーム運営を打ち破り、組織を自己革新するためスクラムを始めました。

スクラムはソフトウェア開発の現状を明らかにするフレームワークです。把握の解像度を高めることができれば、事業成長に必要な課題が見えてくると考えています。


ーー具体的にどのような開発を行なっているのか教えていただけますか?

成原:スペースマーケットのスクラムはラージスケールスクラム(LeSS)というスタイルでやってます。

LeSSとはプロダクトバックログが1つに対して、プロダクトオーナーは1人。チームが複数存在しており、プログラムバックログを各チームがそれぞれ取って自分たちで消化していくやり方です。

プロダクトオーナーは短期ROIの回収から中長期のプロダクトビジョン、組織全体の成長を開発者と対話した上で、プロジェクトバックログを並び替えて、開発チームが開発をしています。


ーーその中で成原さんのロールはなんでしょうか?

成原:私は今、VPoEというポジションですが、「スクラム」をするときはプロダクトオーナーもデベロッパーもスクラムマスターも対等であるという考えでいます。そのため、自分が指示を出すのではなく、チームとして物事を捉えて進めていき、それをサポートするという役割で動いています。


ーー西川さんはどういった動きをされているんでしょうか?

西川:チームのスクラムマスター兼 SEO専門家として動いています。「どのようにやっていけば SEOを伸ばすことができるのか?」という前提知識を開発メンバーに伝えながら、開発の見守り役をしているイメージです。

見守り役として発言が多くならないように気をつけています。少し時間がかかったとしても、開発者たちで解決したという「自己完結した活動」ができるようになってほしいです。大きく妥当性に欠ける施策を進めようとしていたり、開発チームの進め方がスクラムガイドから大きく逸脱していたり、ここは回り道しても、その失敗が経験値にならないと判断したときには発言しています。


スペースマーケットのガチスクラムのおもしろさ


ーースペースマーケットならではのスクラムの特徴や他社との違いはなんですか?

西川:まず、プロダクトオーナーが代表取締役COOであることに魅力を感じています。執行の責任者がプロダクトオーナーとして開発の計画を立てて、進捗のフィードバックを直接受けとっています。

他社では、プロダクトオーナーとは別に、経営者やマネージャーなどのステークホルダーに計画を承認してもらう必要があるかもしれません。そうするとプロダクトオーナーは、決定権のあるステークホルダーの意見を取り入れながら計画を立てていかないといけないので、コミュニケーションコストは大きくなります。スペースマーケットではPOとの直接対話、希望すれば1on1もできる距離感で開発しているので、リーンにプロダクト開発が進んでいるのが特徴かなと考えています。


ーー他の特徴はありますか?

成原:スクラムセレモニーを回し続けているのも特徴だと思います。

スペースマーケットでは、スクラムガイドの思想がベースにありつつ、オンラインで行われるスプリントレビューでは可能な限り「動くプロダクト」を実現、フィードバックをもらいプロダクトバックログを作っていく、ということを各チーム能動的に行ってます。

スプリントレビューが形骸化していたり、ストーリーポイントが日数で換算されている、なんてことを他社では聞いたりするので、こういった形で回せているのは珍しいです。


ーースペースマーケットではプロダクトマネージャー(PdM)を置いていませんが、それがスクラムやエンジニア組織においてどう作用しているんでしょうか?

成原:スペースマーケットでは開発体制・プロセスにおいて、情報の透明性確保=伝言ゲームがない状態づくりを大切しています。ステークホルダーが多いことで、業務スコープや責任の所在があいまいになり「結局これどうなんでしたっけ?」という話がおきがち。また、その背景には、起案者の言語化レベルが低いまま開発案件の引き渡しが行われていることが原因だったりしました。

起案者の開発案件に対するビジネス要求言語化レベルの向上を行っていきたいという意図と、ビジネス要求に対して開発者が実現方法を考える状態をつくりたいという意図から今の組織体制になっています。

(過去)起案者⇔PdM⇔POや役員⇔PdM⇔開発組織
(現在)起案者⇔PO⇔開発組織

「〇〇作って」と言われたものをエンジニアがそのまま作るのではなく、自分たちでプロダクトの状況を把握して、自分たちでプロダクトをリリースし、振り返りをしてより良いプロダクトをつくる。一番プロダクトに詳しい人たちがプロダクトのことを考えて、アクションしていくというのが大事だなと思ってます。

またこのような経験ができるのも珍しいので、エンジニアキャリアとしての市場価値も高めることができると思います。

開発者であるエンジニアが企画と開発を進めていく。これが今のスペースマーケットなのかなと思っています。


スクラム1日の流れ


ーー週一で行っている実際のスクラムの様子を教えていただけますか?

成原:スクラムセレモニーは毎週火曜の10時から始まります。リファインメントで、3スプリント先までのPBIをPBI Readyの状態にする作業を行います。その後スプリントゴールに対しての状況を把握するためのデイリースクラムを行います。

11:15からは、スプリントレビューです。開発組織だけではなくデザイナーからBiz、コーポレートのメンバーも揃った状態で、POに対してスプリントの成果物をレビューしてもらう時間を設けています。その後、各チームでリファイメント レトロスペクティブという形で振り返りをしたのち、次のアクション決定や様々な仕組みを考えていきます。

スプリントレビュー中の様子

その後、オーバーオールレトロスペクティブという形でLeSS全体で振り返りをして、どこに課題があるのかをみていきます。そこからプランニング1で各チームが今回のスプリントで取り組むPBIの共有、プランニング2では各チームのスプリントのPBIをサブタスクレベルまで分解しています。その後、リファインメントとして、朝10時から行った3スプリント先までPBI Readyにする作業をしてます。

ただ、このフローについてはまだまだブラッシュアップができるところだなと思っています。LeSS全体がチームとして向かうために越境してどう進められるかということをみんなで集まって話したりもしています。1週間の活動が終わったら、翌週の1週間をどうすれば「いい働き方」になるのかというのを考えて、毎週アップデートし続けるという仕組みを作っています。


ーー正直、週一で行うのは大変では?

西川:ぜひとも1週間スプリントでエクストリームな開発に参加してアジリティの高さを実感していただきたいです。スクラムを模索している段階でもあるので、よりよい働き方を実現するために、毎週火曜日にスクラムセレモニーを集約し、ほぼ丸1日対話に時間を投資しています。実際に、1週間の経験値をレトロスペクティブでチーム活動に反映し、短い期間で働き方がアップデートされていく環境です。

その分、他の曜日は開発に集中できるようにできるだけ余計なミーティングは入れないようにしています。開発メンバーは自分たちのスプリントに使える時間を自主的にスケジュールに登録することも自己管理の1つとして取り組んでいます。

毎週火曜日は正直疲れます(笑)。でも毎週、新しい価値の模索にチームを導くのって楽しいんです。終わった後の充実感はありますね。


フィーチャーチームを目指して


ーー最後に、今後目指していきたい組織を教えていただけますか?

成原:チーム単体でも価値を提供できるようなフィーチャーチームを目指していきたいですね。プロダクト開発のワンシーンだけをできるようになるのではなく、各チームのある程度プロダクトの企画〜開発ができるような組織を作っていきたいです。

また、エンジニアにはバックエンド、フロントエンド、モバイルアプリなどさまざまな職能があります。ひとりひとりが1つの職能・1つの役割しかできない状態ではなく、「専門的な知識とスキル」×「専門外のあらゆるジャンルに関しても知見がある」T型人材をどんどん生み出せるような組織に成長させていきたいなと思います。


ーーありがとうございました!


さいごに


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Authored by 伊藤 亜美奈