見出し画像

『HACHI 約束の犬 パート2』 第2話~いたずらきつねの巻~

【概要】
・映画「HACHI 約束の犬」の続編
・忠犬ハチと博士の名コンビが繰り広げる、ハートフルハッピードタバタ探偵コメディ
・ネトフリで公開の連続ドラマ

【第2話 「いたずらきつね」あらすじ】

~近所のきつね~
・ハチと博士のおうちから、博士の職場である東京大学農学部天国キャンパスまで徒歩15分ほどである。

・その道すがら、少し裏道に入ったあたりに小さな川が流れていて、川の近くにこじんまりとした平屋と小さな畑がある。

・そのあたりを、いつもウロウロしている一匹のきつねがいる。

・きつねは、そこの平屋で、ふっくらして見るからに元気なおばちゃんと二人で暮らしている。

・おばちゃんはとっても優しくて、ハチと博士に出会うたび挨拶してくれて、「はっちゃんは銅像よりイケメンさんだねぇ」などと気さくに声をかけてくれるし、採れたての栗とか松茸とかをお裾分けしてくれるので、博士はおばちゃんに出会うのを楽しみにしている

・ハチもおばちゃんは大好きだけど、問題は、おばちゃんちのきつねだ。

・きつねは、ハチに何かといたずらしてくる。正確には、何かと化かしてくる。

・ハチや、ハチとすっかり仲良くなったパトラッシュが通りかかると、きつねは隙あらば化かしてくる。

・ハチの前で博士に化けたり、パトラッシュの前でルーペンスさんに化けたり(パトは大喜びで「サインください」と近づいたらきつねだったので、めちゃくちゃ悔しそうだった)、すごくいたずらものなのだ。


~きつね、下界をのぞく~

・ある日、ハチとパトがいたずらし返してやろうと尾行していると、きつねは川のほとりに座り込んでいた。

・「あいつ、何しているんだろう?」ハチとパトがこっそり見ていると、きつねは、水面に顔を近づけて、下界をのぞいているのだった。

・下界を見ながら、きつねは、やきもきした様子で、しきりに「あいつまた野菜しか食べてない!もー!」とか「なんで帽子屋に転身してんだよ!」とか言ってる。

・どうやら、下界の誰かの様子をしきりに気にしているようなのだった。

・さらに見ていると、
 「手袋売るのはいいけど、その客、子きつねだから!!」
 「化かされているよ!」

・どうやら、下界の誰かが、きつねに化かさているようなのだった。

・「ほら、その子、手がモフモフじゃん!お金、ぜったい葉っぱだよ!」
 「あれ?本物のお金だ!」
 「だからといって売るのかよ!」
 あまりに大きな声でコンコン言ってるので、畑仕事をしていたおばちゃんか、きつねのそばにやってきた。

・「ごんちゃん、また兵十を覗いてるのかい?」
 「おかあさん、兵十、きつねに化かされて、手袋売っちゃったよ!」
 「まあまあ、あの子は昔からうっかり屋から」とたしなめるおばちゃん。
 「うっかり屋すぎるよ!ぼくを撃ったときもさ~」とコンコン言うきつね。
 「そうね~。あれはびっくりしたねぇアハハ」
 「笑いごとじゃないよ!」
 「まだ許してあげないのかい?」
 「ぜったいゆるさない!ずっと上から見てる!!」
 「あらあら」
 「おかあさん、ぜったい招待しないでね!」
 「わかったよ、私ゃぜったい招待しないよ。ほらごんちゃん、オヤツ食べるよ」
 二人は手をつないで、平屋に戻っていった。


~きつねの正体~

・このことを、博士に話すハチとパト。すると博士は「ふむ…では、あのきつねは、『ごんぎつね』のごんちゃんだったんだね」と言った。

・「ごんぎつね?」声をそろえるハチとパトに、博士は『ごんぎつね』の話を教えてくれた。

・そんなことがあったんだ…。としんみりするハチとパト。

・ふと、パトが言う。「ごんちゃんが、招待とか言ってたけど、あれはどういうこと??」

・「それはね…」と、博士は、天国のしくみを教えてくれた。


~天国のしくみ~

天国は、「人間のみ」招待制である。

人間以外の生き物は、寿命が尽きたら無条件に天国に召される

・しかし人間に限っては招待制が敷かれている。

・天国にいる誰かが、生きている人間を招待したいと思ったら、運営(神様側)に申請する。

・運営の許可が下りると、招待された人間は天国に召される。

・招待する権利は、「招きたい人に、ほんとに好意を持っている生き物(人間/動物/植物問わない)」にある。

・だから、実際には面識がなくても、招待することはできる(ファンが、推しを招待するなど)

・当然ながら、運営はいつでもだれでも招待することができる。


~ごんとおかあさんのこと~

・ちなみにだが、ごんは予定(寿命)より早く天国に来た。

・なぜなら兵十のおかあさんが、こっそり兵十に松茸や栗を差し入れているごんに大変感謝し、神様にお願いして招待したのだった。

・通常、動物は寿命まで待たないといけないのだけど、たっての願いということで、特別に許可が下りたのだった。

・「予定外だったけどね、神様が強引に呼んでくれたのよーガハハ」
 翌日、平屋に遊びに来たハチとパトに、ごんを招待した話を教えてくれたおかあさんが豪快に笑う。

・「それって、そのせいで、兵十さんはごんを撃つ羽目になったんじゃ…」とちらりと思うハチとパトラッシュである。

・「だってごんちゃんは可愛いからね~早く会いたくってねぇ」と甘々なおかあさん。

・そう。とにかくおかあさんはごんに甘い。めちゃくちゃ甘い。

・兵十よりごんちゃんのほうが働き者だ、兵十よりごんちゃんのほうが獲物を捕るのがうまい、兵十よりごんちゃんのほうがモフモフだ、ごんちゃんは生まれたときから一人だったのによく厳しい下界でがんばった、モフモフかわいい、とごんをほめまくる。

・ごんは「おかあさんがこれだけ褒めるんだから、きつねは犬なんかよりよっぽどえらいもんねー」とハチとパトに自慢する。


~ごん&ワンコチーム~

・「きつねは犬よりえらいから、犬を化かしてもいいんだよ!」とごんが生意気言うので、くやしくて変装合戦をやってみるけど惨敗するワンコチームだった。

・ごんは畑の葉っぱ1枚で上手に化けられるのに、ワンコチームは博士の帽子かぶるくらいしかできないから負けて当然である。

・「君たちね、相手の土俵で相撲とっちゃ負けるよ」と博士にさとされるハチとパトであった。

・変装合戦に負けてくやしかったパトは、「いじわるなごんだね、君そんなにいじわるだと、神様にお願いしても兵十さんを招待できないよ!」とごんをからかう。

・ごんは「あんなやつぜったい呼ばないもん!」とコンコン言い返すのだった。


~川のほとりで~

・そんな毎日ドタバタ騒がしい天国とは違い、兵十は一人でとてもさみしそうなのだった。

・ごんが下界を覗いているとき、ハチとパトが一緒に覗くと、兵十はごんを撃ってしまったショックで仕事ができなくなり、ひとりぼっちで、ちまちま手袋や帽子を編んでほそぼそ暮らしている。

・見かねたハチが「招待してあげたら」と言っても、ごんはがんとして首を振らない。

・「ぼくを撃った!ぼくを撃ったんだよ!ひどいよ!」とコンコン言うごん。

・「でもね、そのあと、すっごく後悔してるじゃない。許してあげなよ」とハチが諭しても、「ひとりでさびしがればいいんだー!べー!」どっか走っていくごんなのだった。

・兵十のおかあさんは、「ごんちゃんが許すまで、兵十は下界でがんばらにゃね、ガハハ」とのんきに構えている。


・ハチにべーと言って走り去り、皆がいなくなったところで、再び川のほとりまで走って来たごん。

・川に顔を近づけて、兵十の店に手袋を買いにきた子ぎつねのおうちを見ている。

・きつねの母親が「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいた。

・それをごんは聞いている。

・ごんは思う。人間はそんないいものじゃない。天国の人間はみんないいものだけど、下界ではいじわるもいっぱいいる。

・でもあの親子に、兵十は『いいもの』だと思ってほしい。そうごんは思っている。兵十は母親想いのけっこういいやつだから。

・ごんは思っている。子ぎつねが、また兵十の店に行って、今度はしっかりきつねの姿を見せて、「あなた、いいものだね」と兵十に言ってくれたら。

・同じきつねがそう言ってくれたら、兵十は自分を撃ったショックから立ち直ることができるかもしれない。

・そうしたら、兵十は元気になって、友達と遊んだり、家族を持ったり、下界の幸せを楽しむ気持ちになってくれるかもしれない。

・そして自分も、「あいつは、『いいもの』ってきつねに認められたから」という理由にかこつけて、兵十を天国に招待することができる。

・でも、パトの言うように、いじわるばかり言ってる自分は、「兵十を好き」なことが認められなくて、天国に招待する権限がないかもしれない。

・もしそうだったら、どうしよう。ごんは泣きたくなる。ずっと「招待しないで」って言ってきたおかあさんには「招待して」って頼めない。
 でも、いつか、あのきつねの親子が招待してくれるよね。

~約束のきつね~
・「兵十はまだ若いからねー。だから呼ばないんだと思うよ。ごんちゃんは優しいから」
 平屋でハチとパトのために栗をゆでながら、おかあさんが言う。

・おかあさんが言う。「でもいつか、きっとごんちゃんが招待するわよ」

・「それまでは!」
 「それまでは、まだぜったいに呼んであげないからね!」
 川をのぞきながら、ごんはまた大きな声で叫ぶのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?