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インフレータブル構造その2 TransHabとは?

皆さん、こんにちは。
TNL東北支部の小林です。

今日は僕自身が研究しているインフレータブル構造についてまとめていきたいと思います。
一度、インフレータブル構造の概要をこのnoteでまとめているので、まだ読んだことない方はこちらもご覧ください!

1.TransHabとは

皆さん、TransHabという言葉を聞いたことはありますか?
宇宙好きの人なら知っているかもしれませんが、
TransHabとはNASAが開発していたインフレータブル構造を用いた宇宙空間用モジュールのことです。

TransHabのイメージ図
Crezit : NASA

TransHab はTransit Habitatの略称で、もともとは火星に人を送るための惑星間宇宙船として考えられていたものでした。
最終的にはISSの居住モジュールとして検討されましたが、ISSのコスト超過により2000年に開発は打ち切られ、この技術はBigelow Aerspaceに買い取られました。

この技術を元にBigelow Aerospaceは開発を続け、現在ISSに接続されているインフレータブルモジュールBEAM(Bigelow Expanded Activity Module)を完成させました。

つまり、TransHabは居住用インフレータブルモジュールの原点なのです!

2.TransHabの建築計画

TransHabは軽量アルミニウムと炭素複合材料で出来ているコア(直径3.35m、高さ10.97m)の周りを、直径8.23mのインフレータブルシェルが囲んでいる構造になっています。
このモジュールは6人のクルーが滞在できるように設計されていて、4つのレベルに分解することができます。

引用:https://note.mu/spacearchi/n/na6827e431844

1階
この階には、調理室や食事用の大きなテーブル、地球が見える窓、収納棚などがあります。ユニークな点は食堂部分の1階と2階が吹き抜けになっていて、この空間はクルーの関係性や長期間の宇宙滞在における孤独さなどに大きな効果をもたらしていると考えられているのです。

2階
この階は主に、機械室や6人のクルー部屋が存在しています。機械室はコアの外側の空間の半分くらいの面積を占め、残りの半分は1階の吹き抜けになっています。
コアは5~7.6cmの水壁で覆われていて、放射線から保護されています。この中に6人分のクルー部屋を設置することによって、安全に生活できるように設計されているそうです。

3階
この階にはクルーの健康管理のための部屋や、体をきれいにするための場所、トレーニング機器などが存在している。また、地球が見える窓も設置されていて、トレーニングしながら地球を見れるように工夫されています。

4階
この階はISSとTransHabをつなぐための空間になっていて、ISSとTransHabの移動の機能、膨張に必要な機器を収蔵する機能、構造的にISSと接合する機能の3つの機能を持っています。

3.TransHabの構造計画

概要
軽さが持ち味のインフレータブルシェルと荷重を主に運ぶ剛構造のコアの二つに分類することができます。コアは8つのロンジロン(縦材)と仕切り壁、放射線保護用ウォータータンクなどで構成されています。展開に用いる展開機構とタンクはコアの端の非与圧部にあり、打ち上げ時の棚はコアに接続されいて、打ち上げ時の主要構造体として機能します。そのうちの半分は軌道に到達したら、移動し床になります。

引用:https://www.researchgate.net/publication/300690924_ISS_TransHab_Architecture_Description/figures

インフレータブル複層シェル
複層シェルは内側から内部下地、空気層(空気漏れを防ぐ層)、拘束層(内圧に耐える層)、マイクロメテオロイド・デブリ保護層、熱制御層、原子酸素保護層から構成されています。他にも展開機構や静電放電システム、放射線保護層など様々な層が存在します。

Crezit : NASA

4.終わりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
今回はインフレータブル構造その2ということで大分専門的な内容にしてみました。
質問などありましたら、ぜひ気軽にコメントください!

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