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発音のいい英語は必要か

英語を自由に使いこなして、海外で活躍したいという日本人も多いと思います。そしてできれば、ネイティブのように"滑らかできれいな"英語を話せるようになりたいと思うでしょう。

私も高校時代、英語をネイティブのようにペラペラ喋る帰国子女の方に憧れていました。テストの点では同じくらいなのに明らかに発音が異なり、授業中の音読で格の違いを見せつけられ、自分は英語は無理だなと思いました。

しかし、その考え方は会社に入って一変しました。
私がその当時在籍していた部署の一部に、国連の会議に参加して業務を行うチームがありました。そのチームの社員はさぞ、英語がうまいんだろうと思って見ていたら、"ザ・日本語英語"でした。抑揚は全然ないし、単語間はぶつぶつ切れてお世辞にも綺麗な英語とはいえませんでした。
当時の私はそんな上司に対して心の中でこんなことを思っていました。

「なんだ国連で働いているっていっても大したことないじゃん。あのレベルなら俺もすぐに追いつける。」

今思えば本当に無知だなと思いますが、当時は英語の発音だとかイントネーションだけが英語だと思っていました。

しかし、実際にその上司の補佐として会議に出席してみると考えは一変しました。どの単語を使うのがこの交渉では最適か、相手の出身国によってこのような表現はやめよう、副詞の使い方で相手に与える印象が変わる、助動詞を間違えると誤解が生じる、発音よりスピードが大事などなど
会議ではいかに情報がスピーディーかつ正確に伝わるかが求められていました。そして、その場では私が馬鹿にしていた上司の発音などを気にする人は誰もおらず、発音が聞き取りづらい時は「Could you say that again? (もう一度お願いします。)」と言われるだけです。
その時、私は「あ、この人たちは自分の仕事を本当に全うしようとしているな」と感じると同時に発音だけで上司を馬鹿にしていた自分が恥ずかしくなりました。

もちろんこのエピソードから発音なんて下手でいいという気はありません。発音がいいことに越したことはありませんし、自分はこれから発音面でも成長していきたいと思っています。しかし、日本人にとって英語は情報共有のツールであることが多い。だから、まず最初に発音がへたであろうと伝えようとする意思、そして発音が下手であろうと聞こうとする思いやりが必要なのだと感じました。
これから宇宙機関の方や宇宙の科学者と交流する機会も増えてくると思いますが、このことを頭に入れてぶつかっていきたいなと思います。

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