short story series『と、私も前々から考えていた』郵便局員 case 03
作・草場あい子
朝だ。起きないと。
顔洗って、着替えて、メイクして、朝ごはんを食べて、靴を履く。
よし。
玄関のドアノブを回す。
開かない。
あ。無理だ。会社辞めたい。
普通のOL。普通に大学受験して、普通に就職活動して、普通に生きてきた。普通に。
でも私は幸せじゃない。普通に生きているのに。
友達も。信頼できる人もいない。会社も楽しくない。私がいなくても皆困らない。何でこんな会社に行かなきゃいけないの。そう思ったらドアが開かない。開けられない。重くて、ずっしりとして、まる