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ローカーボダイエットと尿酸

3種類のダイエットによる尿酸値への影響について検証した研究についてご紹介します。

この研究では、ローカーボダイエット(低炭水化物ダイエット)は低脂肪ダイエットや地中海食ダイエットと同じくらい尿酸値を下げ、痛風と心血管疾患の予防に効果があると主張しています。

高い尿酸値は痛風の原因となり、インスリン抵抗性や心血管疾患と関連があるとされています。

尿酸を下げるために与えられる一般的なアドバイスは「タンパク質の摂取を減らす」というものです。

しかし、そういったアドバイスを受けた人の食事は、炭水化物の摂取量が増え、それは逆にインスリン抵抗性が高まるリスクを生み、尿酸値をさらに上げてしまうという結果になってしまいます。

この研究で検証された実験では、235人の肥満者を対象にして3種類のダイエットグループに分けて尿酸値への影響を比較しています。

グループ1.カロリー制限有り+低脂肪、
グループ2.カロリー制限有り+地中海食、
グループ3.カロリー制限無し+ローカーボダイエット(低炭水化物)

結果:
どのダイエットのグループも尿酸値は大きく下がりましたが、グループ間で統計的に有意な差はありませんでした。

また3つのグループ全てで、体重、HDLの割合、中性脂肪、空腹時のインスリン値はどれも改善しました。

さらに、その中でもローカーボダイエットのグループ3はより大きな改善が見られました。

ここから分かることは、体重減とインスリン抵抗性を改善させるダイエットはどれも心血管疾患のリスクを低下させるだけでなく、尿酸値を下げ痛風の発生も減らすことができるだろうということです。

この研究グループは、尿酸値の上昇は、肥満とインスリン抵抗性が原因であり、高タンパク質、ローカーボダイエットもそれを改善する選択肢として含まれるべきだとしています。

ポイント:
・タンパク質の摂取が尿酸値の高くなる直接的原因とはいえない。
・体重を減らしインスリン抵抗性を改善させる生活習慣にすることが重要。
・それが結果として心血管疾患のリスクを低下させ、尿酸値も下げることにつながる。
・低脂肪、地中海、ローカーボダイエットはどれも効果があった。
・高タンパク質ダイエットも選択肢として含まれるべき。

記事の内容で分からないこと、生活習慣に関することでお悩み事があればお気軽にご相談下さい。


Chio Yokose; Natalie McCormick; Sharan K. Rai; Na Lu; Gary Curhan; Dan Schwarzfuchs; Iris Shai ; Hyon K. Choi. Effects of Low-Fat, Mediterranean, or Low-Carbohydrate Weight Loss Diets on Serum Urate and Cardiometabolic Risk Factors: A Secondary Analysis of the Dietary Intervention Randomized Controlled Trial (DIRECT). Diabetes Care. 2020. 43(11):p.2812–2820.

Photo by Yaroslav Shuraev: https://www.pexels.com/photo/person-in-green-shirt-holding-white-printer-paper-8844379/