幸せ、とは
久しぶりにKと会った。
Kがもうすぐ東京を離れてしまうので、久しぶりにランチへ。
眺めがいい場所、普段来ない場所は不思議と何かを話す気になる。言わなければと思って親に言わないと決めたことを打ち明けた。(何か重大な決断をするとき、Kにいつも相談や報告をする)
将来さ、去年はこう思ってたんだけどやっぱり中学生の頃から思ってたことをやるって決めたんだよね
そうか、と軽く彼女は笑った。
まただ。いつもこんな軽く言ってのける。
彼女は私と真逆な環境。お金にもある程度余裕があって、安定した仕事。
だが一人暮らしではなく自由に外に出れなかったり、門限がある。
「外の人はいいよね、門限なんかなくてプライベートも把握されてないし」と彼女はたまに呟く。
お金が貯まるし病気しても面倒見てもらえるしいいじゃん、と言うことしかできない自分がいつももどかしい。
彼女はデ私がザインの勉強をしたいと言った時も「私と違ってsakiは自由に選べるんだからさ、私はできなかったけどやりたいことをやりなよ」と言ってくれた。
それが悲しくて、嬉しかった。
彼女のおかげでデザインスクールに通うことができた。
私はやりたいことを選んでいいんだって思えた。
でも、彼女は本当にそれでいいのだろうか。
彼女は続けた。
「せめてsakiにはやりたいことをやってほしいんだよ。私はそれを見るのが楽しみだからさ。」
彼女の想いは、どこへ行くんだろう。
「夢を託したんだね」
「うん、お父さんに託したの」
「それってすごく面白そうだね!!」
朝ドラ「エール」でのセリフが蘇る。
私も託されたのかもしれない。
そう思うようにした。
生きやすい道を選ぶと決めたから。
そんな彼女も、私が羨ましいと思う幸せを持っている。
私もまた、彼女に託している。
私たちは互いにないものを持っている。
悩みながら日々選んでいる。
どんなに輝いているように見える人でも、きっと同じ。
そんな当たり前を忘れたくない。
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