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【ドラマ】「心霊マスターテープ〜EYE〜」【感想】

なんとなくアマプラで見た6話完結のドラマがめちゃくちゃ面白かったので、紹介します。

「心霊マスターテープ〜EYE〜」は谷口猛監督のモキュメンタリードラマです。(モキュメンタリー:ドキュメンタリー風のフィクション作品)
そのため、谷口監督も作中に心霊映像のディレクターとしてがっつり登場してます。ドラマ中の映像のほとんどが登場人物たちが持っているカメラで写されているものという設定で、最初の方は「これ本当にドラマか?」と思うほどリアルです。
Amazon Primeなどで視聴できます。


こんな人におすすめ!

  • 「この映像は再生できません」を見てもっとホラードラマが見たくなった人

  • お手軽にしっかりホラーが見たい人

  • リアルさ重視でおもしろいドラマが見たい人



【あらすじ】

新人映像監督のシンは親友のツカサとともに心霊映像の撮影を担当することになるが、現実でも高校時代の友人が不審死を遂げたり、ノイズだらけの謎の映像が送られてくるなど、不可解な出来事が起こり始める。リアルな映像を求めていたシンたちは、友人たちの不審な出来事をドキュメンタリーとして追っていくことにした。

【感想】

私はホラー映画は好んで見ることはあるものの、ホラーのドラマには全く興味がなかったのですが、最近Twitterでバズった「この映像は再生できません」からホラーのドラマにも興味を持ちました。前に見ていた「この映像は再生できません」はホラーではありますが、コメディ要素も強めで簡単に楽しめる軽めのホラー(ミステリー)という感じだったので、このドラマも同じような感じだと思っていました。しかし、「心霊マスターテープ〜EYE〜」は6話完結の短いドラマながらも、見終わった後の満足感と様々な怖がらせ要素があり、ドラマでもこんな本格派ホラーが作れるんだ!と驚きました。
このような本格派ホラードラマの「心霊マスターテープ〜EYE〜」の魅力を3つ紹介します!

※以下ネタバレを含みます!!!

①映像

第一話の冒頭から8ミリフィルムのカメラの映像が流れたり、オープニングもMVのようで、とにかく全体的に映像がおしゃれです。(実際に谷口監督はMVも作っているらしく、納得ですね。)
また、ドキュメンタリー風の手持ちカメラの映像が怖いシーンをより怖く、人物の会話シーンでは微妙な表情や感情の変化を捉えています。特に事務所でシンと谷口たちが話している場面では、何かを隠そうとするシンたちと上司として厳しく語る谷口の会話の緊張感が伝わってきて、こっちまでお腹が痛くなってきます。
怖い映像はたくさんあったのですが、特に一番怖かったのはヒトミのお母さんとの会話を隠し撮りしているシーンです。そもそもヒトミのお母さんの演技が笑いながら怒る人みたいでめちゃくちゃ怖いのですが、隠し撮りしているので狭い画面になり話しているお母さんの表情が半分しか写りません。泣いていると思ったら笑っていて、笑っていると思ったら泣いている。その感情のわからなさと隠し撮りのドキドキ感が合わさって、この場面は何よりもこわ〜っ!と思うと同時に、うますぎ〜っ!!とも思いました。

②リアルさ

演技っぽさの無い演技が本物のドキュメンタリーのようで、感情移入してしまいます。先程書いたように実際に監督が出演していたり、ホラー系YouTuberがそのままその役として出演していたり、これ実は本物のドキュメンタリーなんじゃないの?と思うほどリアルなドラマです。普通モキュメンタリーってそういう物なのかもしれないですが、私は普段モキュメンタリーを見ないのでこのリアルさにかなり驚きました。
主人公のシンも普段はMVを撮っている監督という設定で、谷口監督とも似た部分があります。設定も配役もリアル志向でした。シンたちの責任を逃れようとする部分が最近の若者感を感じてめちゃくちゃわかる〜と共感してしまいます。
このリアルさが後半のヒトコワ要素をうまく作り出していてとっても見応えがありました。

③ホラーとして

このドラマ、序盤はとにかく心霊的な怖さで攻めてくるのですが、話が進むにつれカルト宗教やヒトコワも登場してきます。そのような様々な要素を推理しつつ話が進んでいくのですが、毎話ごとに自分(視聴者)の中で心霊現象の元凶(だと思えるもの)または黒幕がどんどん変化していくので、そこも面白かったポイントです。
最初は単純に心霊系の呪いの話だったのが、その呪いの元凶とは?呪われるほどの過去とは?という話になっていきます。もちろん一連の心霊現象の直接的な元凶は解明されるのですが、呪いたくなるほどの怒りや悲しみを産むイジメ、映像を撮影すること=切り取ることの罪についてという、このドラマに限らない普遍的な社会問題にも広がっていきます。
このドラマで監督が伝えたかったことはご自身のTwitterで詳しく語られているので、見終わった後に気になった人はぜひ谷口監督のTwitterを訪れてみてください。
もちろんそのような部分無しにしても、色々な角度からホラーとして十二分に楽しむことができると思います。



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