見出し画像

【漫画】何故か共感できるBL!?【向こうの人】

 私が大好きな漫画、上野ポテト先生の「向こうの人」を紹介する。

 主人公はうだつの上がらないサラリーマン「まくた」。腐女子の妹と両親と共に実家で暮らしている。会社では同年代の男性社員と仲良くしようとするが、「親友」と呼べるような友人は1人もおらず、日々の愚痴はTwitterに書き込んでは、なんとなく毎日を繰り返していた。ある日、とあることから数年前にTwitterで知り合った「エス」さんとオフ会をする事になり集合場所に行ってみると、そこにいたのは今をときめく人気若手俳優「成海早矢加」だった。と、あらすじはこんな感じ。
 
 あらすじだけではよくある話、特にBLを読み慣れている人では何十回と読んだような話だと思うかもしれない。しかし、この漫画の魅力は定番のラブストーリーではない。この漫画のすごい所は誰でも何故か共感できるところが漫画の中に散りばめられている事だ。
 例えば、友人と通話しながら月9ドラマを腐った目で見ている主人公の妹のセリフ。

 身に覚えしかねえわ。こんなセリフ現実世界で聞いたことがありすぎる。ていうかお兄ちゃんそんな顔で見ないで!いっつもこんな話してごめんな!ここは世の90%の腐女子が共感できる。まあよく考えれば、普通に上野先生はBL漫画家なので腐女子の気持ちをリアルに描写することができても驚きはそんなに無いかもしれない。でもちょっと待って、非腐女子の皆さんまだブラウザバックしないで!!
 次に主人公が芸能人のスキャンダルについて盛り上がる周りの人達を軽蔑している場面。

 こんな奴Twitterによくいんなあ。というか自分もこんなこと思ってる時あるわ。多分身に覚えがある人もたくさん居ると思う。次も主人公の描写。

 本当にTwitterに居る奴だったわ!イライラしたらTwitter開いてイライラを投げちゃう。私もやってます!
 こんな風に主人公の行動の一つ一つにめちゃくちゃ共感できてしまう。この漫画にはあらゆる場所に「自分」が存在しているのだ。私は中学生の頃、太宰治の「女生徒」を読んで、なんで太宰は男なのに女子の気持ちをこんなに理解しているんだ!と衝撃を受けたのだが、この漫画の1話を読んだ時にも「女生徒」を読んだ時と同じように、まるで自分自身の事を書かれている様な感じがして衝撃を受けた。
 このように、漫画内に散りばめられた共感できるポイントが、「芸能人との恋(BL)」という非現実的なストーリーを一気に現実感のあるものに変化させる。恋愛のもどかしさや主人公の成長もきちんと描かれ、リアルすぎる心理描写を丁寧に丁寧に積み重ねたストーリーは、単純に人間ドラマとしてもラブストーリーとしても(もちろんBLとしても)面白い。
 
 画像は無料試し読みの1話のものだが、今回書いた他にも共感できるところや魅力がたくさんある。各サイトで1話を試し読みできるのでぜひ読んで見てほしい。あと、上野ポテト先生の「ノイド」もSFチックなストーリーが面白いので、「向こうの人」が面白かったら読んでみてね。


試し読み(1話) → http://comip.jp/bloom/cbs/c789/c89-1653/

詳細→ http://comip.jp/bloom/comics/mukounohito

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?